音だけでも十分

ザ・クロマニヨンズ『ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン』
2013年12月25日発売
ALBUM
ザ・クロマニヨンズ ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン
67公演に及ぶ全国ツアーの模様を収録したライヴ盤である。映像なしの音だけであっても、彼らのステージでの躍動やエネルギーが生々しく伝わってくる。ビデオが登場する前はこうして音だけを聴いてあれこれ想像を逞しくしていた。初回盤には24P写真集がつくというから、それを眺めながら聴くのがライヴ盤の妙味。映像がないことで想像力は制約から解き放たれ、その世界は聴き手の中で何倍にも広がっていく。それが音楽の楽しみであり、それでオレたちは育ってきたんだ、と彼らは言いたいのかもしれない。観客との阿吽の呼吸、言葉にならないやりとり。複数箇所の録音を集めたものだろうが、雰囲気は統一されている。厚みのある骨太な音は、ぜひ同時発売されるアナログ盤で聴きたい。中規模ぐらいのライヴハウスで、ガンガンと鳴らし続けているイメージ。熱気が汗となり、水蒸気になって立ち上り、天井にくっついて再び水滴になって落ちてくる。デビュー以来変わらぬ体型の甲本ヒロトの、痙攣したように動く肉体。そんなものが、まざまざと浮かんでくる。諸君、これがロックンロールというものだ。(小野島大)
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