壊れそうな想い、雄大なロック

back number『fish』
2014年02月05日発売
SINGLE
back number fish
《あの子みたいに笑えれば/あの子みたいに泣けたなら/甘え上手になれてたら/今もそばにいられたの?》と、別れを受け止めきれない女心の細かな震えにきっちりフォーカスを合わせて描ききった――つまりは「女々しい歌も貫いていれば生き様になる」という清水依与吏(Vo.G)の核心そのものの極限センチメンタル&メランコリックなバラード・ナンバー“fish”。だが、ここで鳴っているのは、触れたら壊れそうな心に寄り添って女性目線のリリックとして歌い上げる清水のソングライターとしての描写力よりもむしろ、そんなフラジャイルな想いすら雄大なロック・ソングとして響かせてしまうback numberの「今」の包容力だ。昨年9月の日本武道館ワンマンで見せつけた、「ロック・バンド=back number」の存在感が、今作にひときわ力強い輝きを与えている。何をやっても様になるオシャレなスターへの嫉妬心の連射を《僕は僕の歌しか歌えないよ》のひと言でネガポジ変換させる疾走ナンバー“ネタンデルタール人”、陽だまりのようなポップ感とともに「優柔不断の極意」を歌う“優柔不断宣言”も実に秀逸。(高橋智樹)
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