BOYは今……

ボーイ・ジョージ『ディス・イズ・ホワット・アイ・ドゥ』
2014年03月26日発売
ALBUM
ボーイ・ジョージ ディス・イズ・ホワット・アイ・ドゥ
18年ぶりのスタジオ・アルバム。やんちゃで御茶目で破天荒なスター、ボーイ・ジョージがポップ・シーンに戻ってきた。「これが僕のやってること」という馬鹿正直なタイトルと、問答無用なジャケットのポートレイトが凄い。長年アル中に悩まされ、度重なるリハビリを経て2008年には完全に断酒に成功したという。「これ以上時間をドブに捨てるわけにはいかない」と悟った彼も、今年で53歳。久々のアルバム制作はハイテンションで、クリエイティヴな開放感に満ちたものだったらしい。

カルチャー・クラブの原点でもあったレゲエ、スカ、カリプソをベースに、ダブ、ヒップホップも盛り込んだ楽曲には、長年人気DJだったジョージの直観的なポップ・センスを感じる。当人の声は〝カーマは気まぐれ〟の頃の影もない「誰?」と耳を疑うハスキー・ヴォイスだが、波乱の半生を過ごしたポップスターが、こんなにもオプティミスティックな境地に辿り着いたことに胸がすくような痛快さを感じる。1曲目〝キング・オブ・エヴリシング〟の「俺の王冠は失われた? それともまた王座につけるだろうか?」という自己告白的な詞が心に沁みた。(小田島久恵)
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