時代の寵児にして反逆児、ダイ・アントワードを聴くべき5の理由

ダイ・アントワード

pic by AMANDA DEMME

一度目にしたら忘れられないインパクトを持つことで知られる、南アフリカ共和国・ケープタウン出身のヒップホップ・ユニット=ダイ・アントワード。彼らはこの9月16日に通算4作目となるフルアルバム『マウント・ニンジ・アンド・ダ・ナイス・タイム・キッド』をリリースする。同作の日本盤CDは、待ちに待った彼らの日本デビュー作だ。昨年には、SFアクション映画『チャッピー』に、メンバーのニンジャとヨーランディが重要な役どころで出演していたのを覚えている人も多いだろう。そこで今回は、強烈なキャラクター性を振りまきながら一貫した姿勢で活動し続けるダイ・アントワードについて、動画や新作インタビューでのメンバー発言を絡めつつ、あらためて探ってみたい。

文=小池宏和

“Enter The Ninja”
“Evil Boy”

ダイ・アントワードとは何者なのか

男性MCのニンジャ(Ninja)、女性MCのヨーランディ・ヴィッサー(¥o-Landi Vi$$er)、そして新たにゴッド(God)名義となった元DJハイテックの3人は、2008年にグループを結成しデビュー・アルバム『$O$』を自主リリース。これが2010年にはインタースコープから再発され注目度が高まるのだが、セカンド作『Ten$ion』以降は自主レーベル=ゼフからのリリースを続けている。グループの活動姿勢に深く関わるこの「ゼフ」というワードは、もともと南アフリカのスラングで、貧困層の白人を指すネガティヴな意味(フォード・ゼファーの所有者を指す語から転じた)を持っていたらしい。ダイ・アントワードはこれを、グロテスクあるいはキッチュ、ジャンクなアートとして出力し、極端な立ち位置から美の価値に揺さぶりをかける、というポジティヴな姿勢を打ち出しているわけだ。2010年のシングル“Evil Boy”は、ディプロによるプロデュース。


『チャッピー』予告編

映画『チャッピー』で大活躍

『第9地区』で才覚を知らしめたニール・ブロムカンプ監督作品『チャッピー』に、ニンジャとヨーランディが出演。音楽ファン以外の層にも広く知られることになった。2人とも以前から俳優としてキャリアを持っていたが、アーティストとしてのキャラクターと、ジャンク世界観のSFアクションとが面白いように嵌った名演だ。ソニー・ピクチャーズの公式サイト(http://bd-dvd.sonypictures.jp/chappie-movie/dieantwoord/)では、ダイ・アントワードを紹介しインタビューも掲載されているのでチェックしてみて欲しい。


@nylonjapan foto by chris cunningham #fukubitchwat? #😜🍫🍫🍫🍫🍫🍫🍫 #babymetal #❤️ @fox.god

NINJAさん(@zef_alien)が投稿した写真 -



“Banana Brain”

ベビメタ大好き? 日本のカルチャーを愛するダイ・アントワード

ピカチュウのルームウェアを着てみたり、“Girl I Want 2 Eat You”にアニソンのメロディが採用されていたり、何かと日本のカルチャー好きな一面を見せてくれる。ニンジャがインスタで公開したBABYMETALへのラヴコールも話題になったが、なんと新作のリード曲“Banana Brain”は、ベビメタの影響を受けているらしい。

ニンジャ「BABYMETALは、マジで世界一のバンドだよ。以前はラムシュタインが一番好きなバンドだったけど、今はBABYMETALとラムシュタインが互角だね(笑)。俺たちの“Banana Brain”は、実はBABYMETALにインスパイアされたんだ。俺たちが何かにインスパイアされていても、全く似ていないことがあるんだけどね」


“We Have Candy”

待望の新作『マウント・ニンジ・アンド・ダ・ナイス・タイム・キッド』

新作に先行してフリーのミックステープ『Suck On This』(これでもしゃぶっとけ)が公開されていたが、ニューアルバムの冒頭を飾ることになる“We Have Candy”のオペラのように重厚なラップチューンには驚かされた。DJマグス(サイプレス・ヒルetc.)が、こういった一連の最新モードの中で、助言したり共作したりといった動きを見せている。その縁あってか、新作曲“Shit Just Goy Real”には、サイプレス・ヒルのセン・ドッグもゲスト参加。

ニンジャ「俺とヨーランディが世界で一番大好きなプロデューサーのDJマグスと出会ったんだ。彼と出会う前は、彼と仕事をすることが夢だったから、実際に会えたときは信じられなかったよ。最初から俺たちのDJだったDJゴッドとメンバー全員でLAに引っ越したんだ。ゴッドがDJマグスと一緒にスタジオで音作りをするようになって、マグスがしばらく俺たちにスタジオを使わせてくれたんだ。LAに引っ越してから作った『マウント・ニンジ・アンド・ダ・ナイス・タイム・キッド』は、俺たちがずっと作りたかったけど作れなかった曲ばかりなんだ」

解散騒動、そして今後

11月には『マウント・ニンジ・アンド・ダ・ナイス・タイム・キッド』を携えた来日も予定されているということで、詳細な続報を楽しみにしたいところだが、つい先頃、ダイ・アントワードの解散が噂となってちょっとした騒ぎになった。解散についてはすぐさま公式に否定されたが、2017年に予定されている次回作が最後のアルバムとなるのは事実らしい。ニンジャは以下のようにコメントしている。

ニンジャ「このグループを始めた時から、5枚のアルバムしかリリースしない、と発表してたんだ。なぜ5枚のアルバムしかリリースしたくないかというと、5枚の素晴らしいアルバムをリリースできるバンドがかなり稀だからなんだ」「(その後については)今は何も決めてない。このグループが終わったあとは何をするかはまだはっきり分からない。5枚目のアルバムをリリースした翌年に、映画を製作するんだ。『マウント・ニンジ・アンド・ダ・ナイス・タイム・キッド』のアルバムのジャケは、映画のワンシーンなんだよ。映画を製作して、サントラも自分たちで手がけるんだ。俺たちはいろいろなことをやりたいんだよ。ダイ・アントワードは、インディーズのスーパーグループになりつつあるんだ。誰にも指図されないし、レーベルに所属してるわけじゃないから、最高の状態だよ。アホな連中とコラボレーションをせずに、自由にクリエイトできるんだ」

提供:ビートインク

企画・制作:RO69編集部

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