ひめキュンフルーツ缶 全10バンドからの楽曲プレゼント! ミニアルバム完成インタビュー
愛媛を拠点に活動を重ね、全国にその名を浸透させているアイドルグループ・ひめキュンフルーツ缶。様々なロックバンドが楽曲を「プレゼント」しているミニアルバム『脳天ドロップ~Present For HIMEKYUN~』が、とても刺激的だ。対バンなどを通じて彼女たち自身が築き上げた関係性によって、豪華なコラボレーションが実現している。今作についてメンバー全員に語ってもらったこのインタビューは、彼女たちの逞しい精神性が随所に滲んでいると思う。
いろいろな経験をしてきたおかげで、「届ける」っていう意識が必要だとすごく思える
──とても熱いアルバムですね。
岡本真依 最高傑作です。いろんな方々に提供して頂いた曲が入っているので、様々な表現を感じられるミニアルバムにもなっていると思います。去年、ひめキュン蝦夷乃無頼缶(ひめキュンフルーツ缶と怒髪天のメンバーによるバンド)でツアーを回ったんですけど、その経験によって歌が成長したとリーダー(谷尾桜子)が言っているんです。そういう部分も反映されている作品ですね。
谷尾 ひめキュン蝦夷乃無頼缶は、私たちにとってすごくいい経験になったんです。ライブ毎の反省点をちゃんと活かしていけたツアーでしたから。今回のミニアルバムのレコーディングで録ったものを聴いてみて、「前よりもレベルアップしたな」と、自分たちでも感じています。
――ひめキュン蝦夷乃無頼缶がまさにそうですが、ひめキュンフルーツ缶は、これまでの活動で、ロックと密接に繋がってきましたよね。
岡本 はい。所属している事務所はライブハウスの松山サロンキティをやっていて、ジャパハリネットさんとか、様々なバンドを育ててきたところなんですよ。最初の頃は、怖かったです。女の子のグループを扱うことがあまりなかったらしく、スタッフも手探りだったみたいなので。
菊原結里亜 「ビシバシ!」という感じでした。
河野穂乃花 「勉強のためにライブを観ろ」と言われて、何も分からないままライブハウスでいっぱい観ながら育ったグループでもあります。
奥村真友里 今までに聴いたことがなかったような大きい音を聴いて、びっくりしました。
谷尾 だって、社長のバンド(ハードコアパンクバンド・anacon)のマイク、バットなんですよ。
河野 最初の頃に観たのがそれでしたからね(笑)。
岡本 「私たちもこれをやるのかな?」と(笑)。
谷尾 とにかく、「放り込まれた」という感じでした。でも、いろいろな経験をしてきたおかげで、「届ける」っていう意識が必要だなとすごく思えるようになっています。アイドルのライブは、お客さんが盛り上げてくれることが多いんですけど、自分たちから盛り上げていけるようになることが、実は大切なんですよね。そうじゃないと、フェスとかイベントとか、アウェイの場所で戦っていけないと思っています。
打ち上げで「曲書いてください」ってお願いしたのがたくさん実現した
──結成以来、ライブ活動にすごく力を注いでいますよね?
谷尾 はい。生半可な気持ちでは続けてこられなかったと思っています。機材車で全国を回ったりしていますし。
河野 飛行機移動とかじゃないですからね。
菊原 ご飯もコンビニです。
谷尾 あと、サービスエリアですね。
河野 自分たちでお弁当の手配をしたり。
岡本 移動のスケジュールがものすごいこともありますよ。愛媛でイベントがあって、その次が台湾とかあったよね?
菊原 うん。愛媛の次が台湾でワンマン。あの時は台湾にほとんど滞在しないで日本に戻って、ツアーの続きの沖縄へ行ったんですよね。
谷尾 銭湯で仮眠をとって、そのままライブに行くようなことは、珍しくありません。
菊原 そういう日が続くと記憶が曖昧になってくるんですけど。金縛りにあったり(笑)。
岡本 機材車移動も慣れましたからね。ドアに近いひとりの席が一番寒いんですよ。座席は公平にするために、ローテーション制にしています。
──なんだか、バンドの取材をしている気がしてきました(笑)。
岡本 バンドのみなさんと対バンさせて頂く機会も多いですからね。「激突!Battle」という対バンシリーズをやっているんですけど、そこで出演して頂いたみなさんが、今回のミニアルバムで楽曲提供をしてくださっています。
奥村 打ち上げに参加した時に「曲書いてください」って私たちがお願いしたのを、たくさん実現してくださったんですよ。
谷尾 私はお酒を飲める年齢なので、打ち上げの時は一緒に飲んだりもしています。そうやって私たちのことを知ってくださったみなさんなので、ひめキュンのことをすごくイメージして曲を作ってくださったのを感じています。愛情が伝わってきて、とても嬉しいです。
奥村 今回、恋愛の曲が多いのが新鮮です。意外とそういうものが最近のひめキュンにはなかったんですよ。
谷尾 例えば、同郷のLUNKHEADさんから提供して頂いた“オトナ?オトメ?”は、乙女な感じなので、そう思ってくださっていたんだなと。LUNKHEADのみなさんは、私たちのことを「姪っ子」っておっしゃってくださるんです。「おじ」として書いてくださったのが、“オトナ?オトメ?”なのかもしれないですね。
奥村 「おじ目線」の曲です(笑)。
──(笑)。かりゆし58の“Say hi, say goodbye”は、サウンド面でも新境地では?
岡本 そうですね。こういうレゲエなサウンドの曲は、今までになかったですから。
谷尾 前川(真悟)さんの歌ってくださったデモが、すごく気持ちよかったんですよ。私たちの曲は激しいものが多いので、この曲はライブでも新しい感じになっていくと思います。いつか、フェスとかで青空の下で歌いたいですね。
──ライブに関しては、ドラマチックアラスカの“ガールズドントクライ”と、ガガガSP の“ぐるぐる”が、ストレートに盛り上がるんじゃないでしょうか。
奥村 “ぐるぐる”は、すでにライブで歌っているんですけど、好評です。
岡本 “ガールズドントクライ”も楽しみですね。
谷尾 “ガールズドントクライ”は、ひめキュンの王道という雰囲気の曲だと思います。
──《女の子は負けない》《女の子は泣かない》《女の子は強い》という歌詞が印象的です。
岡本 私たちも負けません!(笑)。
奥村 《ふぁぼられたい》という最新のワードも新鮮なんですよ。
河野 ドラマチックアラスカのヒジカタ(ナオト)さんは、お若いですから、こういうワードを使ってくださったんだと思います。
谷尾 楽曲を提供してくださった方々の中で、ドラマチックアラスカさんは唯一、私より年下なんですよね。年下の方に作って頂くというのは、今回、初めてのことです。