Hi-STANDARD 突然の新作、メンバーの関係、パンクの在り方――横山健、全てを語る(2)
「恒のドラムがハイスタなんだな」って思いました。あのドラムが曲をおもしろくしてる
――音楽的な部分で思ったところはあります?
「『恒のドラムがハイスタなんだな』って思いました。あのドラムが曲をおもしろくしてるなと。僕と恒は前からすごく楽器で会話をするんですよ。『あ、そーきた? なら、俺はこうしてみる』ってやると恒が笑ってたりとか。それがハイスタの良さのひとつだなと昔から思ってたんですね。今回の音源に関しては恒にバーッと一方的に言われた感じですね(笑)、ドラムでグワーッと。『僕もちょこっと相槌は打ったけど、一方的に恒が話したな』みたいな」
――恒さんはいろんなところでサポートなどのドラマー活動をしていたけど、自分の声、自分の歌として叩くっていうことがハイスタにおいてはできるわけだからね。
「そうだと思います。どこの現場でも100%やってるとは思うんすけど、101ぐらいいってましたね(笑)。一度恒とおもしろい会話をしたことがあって、『AIR JAM』とかで何回かハイスタでライブをしたあと、表立った活動は大してない時に僕と恒がいるところでハイスタの話を誰かにされて。僕が『いや、ハイスタでいることって大変なんだよ』って思わずその人に言ったら、恒が『まさにそれ!』っていう言い方をしたんですね。それは、自分のすべてを乗せる場所がほんとに欲しかったことの裏返しのような気がするんですよね」
僕、すごく好きなんですよ。自分たちの“WAR IS OVER”のテイクが。あと、“WAR IS OVER”をやってるHi-STANDARDが
――そして『Vintage & New, Gift Shits』、これは昔のカバー2曲と、新録のカバー2曲なんですけど、どういう意図からこうなったんですか?
「ジョン・レノンのカバーの“HAPPY CHRISTMAS(War is over)”を7インチでしか出してないんですけど、ちゃんと今の世の中で聴ける状態で音源化したいって思ったんですね。その一心だったんですけど」
――なんで?
「僕、すごく好きなんですよ、自分たちの“WAR IS OVER”のテイクが。あと、“WAR IS OVER”をやってるHi-STANDARDが。それを出すために『新録もいくつかあったほうがいいよね』っていう発想があって、そしたらそっちも思わず一生懸命やってしまったという(笑)」
――たとえば“WAR IS OVER”を『ANOTHER STARTING LINE』のボーナストラックみたいな形で付けるとかそういうこともできたと思うんです。同じ4曲入りのこういうしっかりした形にしたというのは、ほかに意図があるのかなあと思ったんだけど。
「特別ないですよ。『レコーディングするんだったらシングルの4曲と一緒に録らなきゃいけないよね』とか、結構成り行きです」
――逆に言うと、そういう成り行きのリリースものとかがポンと出ちゃうってことは、「ほんとにハイスタが普通に始まってんな」って気はしますよね。
「そうすね。メンバーみんな、その音源どう扱っていいんだかわかんなくて持て余してるぐらい、それぐらい成り行きです(笑)」
――なるほどね(笑)。“WAR IS OVER”を改めて聴いたけど、演奏も歌も当然いいんだけど、あのミックスとか構成は斬新ですね。
「あの音源は『レコーディングマジックが潜んでる』っていうふうに聴こえちゃうんですよね。だから新録とかじゃなくて、あのバージョンにしたかったんです」
僕は今、難波も恒岡もすごく尊重してるし、またふたりといれることに感謝してる
――Hi-STANDARはKen Bandの感覚とはちょっと違っていて、健さんのエゴみたいなものはそんなに提示されていないように聴こえます。
「僕が楽曲に対して『こうしようぜ』って言うと、ちょっとエゴイスティックになっちゃいそうだから控えたところはありますね。それは昔と一番変わったとこかもしれないです。たぶんその感覚って3人それぞれちょっとずつあると思うんですよ、お互い認め合ったってことも絡まって。20代で上り調子の時ってものすごい全員がエゴイスティックで、お互いがいてくれること、自分がそこに属せることの感謝とか、周りが動いてくれることの有難みもわからずに『自分サイコ―! 自分のアイデア、ナンバー1!』でいけちゃうんですよね。でも今は年取って、10何年間も一緒に音源作らなかった仲間と一緒にやって『丸くなったのかなあ。でもちょっと感覚違うよなあ』みたいな感じですね。僕は今、難波も恒岡もすごく尊重してるし、またふたりといれることに感謝してるんですよね」
――たぶん発するメッセージも以前のハイスタとは違うと思うんですよね。「パンク」っていう意味では同じだけども、前は若い価値観みたいなものを肯定する音楽だったと思うし、逆に言うと、それ以外の価値観はある種否定するっていうか。でも今の新しいハイスタが放つメッセージっていうのは、特定の何かを肯定するためにほかを否定するのではなくて、価値観とか世代とか、「いろんなものと手をつなげる部分はつないでいこう」みたいな、そういうメッセージを含んだバンドになってる。それはメンバー同士の関係性がそうだからこそじゃないかなと思いますけどね。
「間違いないと思いますね、それは。『パンク』って言うとセックス・ピストルズとかザ・クラッシュとかそういうことになるじゃないですか。今の僕にとってのパンクって『多様性を認めること』とか『肯定』なんですよね。しかも、最初からそこに行くのではなく、一回否定する時期があってからの肯定っていうか」
――「白い目で見られながらNOでずーっと生きてきた人間のYESはすごいよ」っていう感覚はありますよね。
「今のハイスタにはそれがあるんすよ。しかも、今はどっちも行けますからね。大YESも大NOも行ける(笑)。すごい振り幅ができましたね」
――たとえばみんなにとっての、あるいは今の日本にとってのHi-STANDARDはこう在りたいとかってあります?
「そうだなあ――やっぱ、異端でいたいっていうのはありますけどね。いつでもHi-STANDARDにしかできない発想とか、そういうものを常に持っていられる集団でいたいっていうか。どうしても『あれもこれも』ってなっていくじゃないですか。それを周りの人が刺激的に思ってくれたら嬉しいなあって感じですね。うまく言えないですけど、あんまど真ん中には行きたくないというか。……合ってんのかな、自分の気持ちと今の言葉……うん、そんな感じです。でも案外、みんなにとってどういう存在で在りたいかって展望を述べているようで、結局、結果論であって、あんまり考えてないのかもしれないですね。『おもしろそうな活動があったらしていきたい』『曲が溜まったら作品を出したい』とか、ほんとその程度かもしれないです」
ミュージックビデオ
リリース情報
『ANOTHER STARTING LINE』
発売中
PZCA-79 / ¥1,200(税抜)
収録曲:
1. TOUCH YOU
2. ANOTHER STARTING LINE
3. NOTHING TO LOSE
4. RAIN FOREVER
『Vintage & New, Gift Shits』
発売中
品番:PZCA-80
価格:¥1,200(税抜)
収録曲:
1. I Get Around(The Beach Boys)
2. You Can't Hurry Love(The Supremes)
3. Money Changes Everything(The Brains)
4. Happy Xmas(War Is Over)(John Lennon)
※TRACK 3.4 は過去発売した7inch Vinyl Recordの再録、CD化
ライブ情報
「GOOD JOB! RYAN TOUR 2016」
2016年12月3日(土) 宮古KLUB COUNTER ACTION ※終了
Open 17:00 / Start 18:00
Guest band:GOOD4NOTHING
2016年12月5日(月) 石巻BLUE RESISTANCE ※終了
Open 17:30 / Start 18:30
Guest band:GOOD4NOTHING
2016年12月6日(火) 仙台PIT ※終了
Open 17:30 / Start 18:30
Guest band:locofrank
2016年12月8日(木) 新潟LOTS
Open 18:00 / Start 19:00
Guest band:04 Limted Sazabys
※小学生以下チケット無料(要保護者同伴)
※入場時にドリンク代として別途¥500が必要
「AIR JAM 2016」
日程:2016年12月23日(金祝)
会場:福岡 ヤフオク!ドーム
出演:Hi-STANDARD / ONE OK ROCK / MAN WITH A MISSION / 10-FEET /東京スカパラダイスオーケストラ / BRAHMAN / Crossfaith / WANIMA / HEY-SMITH / The BONEZ / HAWAIIAN6 (順不同)
アリーナスタンディング / ¥8,800(税込)
※中学生以下入場不可。
※各ブロック毎の入場規制有り。
荷物置場はございません。ロッカー、クロークをご利用ください。
アリーナ指定席 / ¥8,800(税込)
※中学生以下入場不可。
スタンド指定席 / ¥8,800(税込)
※小学生以下入場不可 / アリーナエリア入場不可。
ファミリー指定席 / ¥8,800(税込)
※年齢制限なし / 小学生以下のお子様と一緒に楽しんでいただく為のお席となります。
※アリーナエリア入場不可
※大人1名につき未就学児童1名まで無料、但しお席が必要な場合はチケットが必要。
※大人は必ず着席してご鑑賞ください。
※小学生以下のお子様は必ず保護者と一緒にご購入・ご入場ください。
※お一人様4枚まで
※指定席は指定された座席でのご鑑賞になります。
※出演アーティストの変更等による払い戻しは行いません。
※いかなる場合でもチケットおよびリストバンドの(紛失・破損・焼失)再発行は致しません。
※営利目的の転売禁止 / 転売チケット入場不可 / オークションへの出品禁止
提供:PIZZA OF DEATH RECORDS
企画・制作:RO69編集部