ROCKIN'ON JAPANによる新世代プロジェクト「JAPAN'S NEXT」。誌面からスタートしたこの企画は、2014年からはライヴイベントに発展、これまで10回にわたり、新たな世代のアーティストを集めて熱い一夜を展開してきた。11回目となる今回は規模を一気に拡大、キャパシティ3000人超の豊洲PITに8バンドが集結しての新世代祭りとなった!
出演はKEYTALK、GOOD ON THE REEL、SAKANAMON、Czecho No Republic、フレデリック、Mrs. GREEN APPLE、夜の本気ダンス、め組(オープニングアクト)。昼間から夜まで繰り広げられたライヴの模様を、詳細レポートとフォトギャラリーで振り返る!
- ライヴレポート
- フォトギャラリー
め組
オープニングアクトは、活動休止中のさよなら、また今度ねのフロントマンである菅原達也(Vo・G)が新たに立ち上げたバンド、め組。CDリリースはまだなし、公開されているのはYouTube上の2曲のみ、という現状だけに彼らの曲を初めて聴く人も多かったのではないだろうか。しかし、そんなことはお構いなし。超陽性な5ピースサウンドが奔放に走り出せば、フロアからはたくさんの腕が挙がっていく。菅原のソングライティングの持ち味である人懐っこさもありつつ、さよ今とはまた違う遊び心がちりばめられた計5曲。「オープニングアクトなのにこんなに集まってるのすごいな!? みんな僕ら目的じゃないんでしょ?(笑)」と笑いを取ることも忘れずにしっかり会場を温めた。
- 01. マイ・パルプフィクション
- 02. クラシックダンサー
- 03. 余所見
- 04. 独りな武士
- 05. 500マイルメートル
フレデリック
フレデリックは“オドループ”でスタート。深くてでっかいグルーヴの渦に巻き込まれ、フロア一面踊りまくる! 「次世代のロックバンドが集まってるって言うけど、俺たちバンドだけちゃうぞ。みんなで作ってこそ次世代なんちゃうか!?」という三原健司(Vo・G)の言葉も観客を焚きつけた。vol.8出演時にも当時の最新曲でライヴを締めくくった彼ら、この日のラストは最新作『OTOTUNE』から“ハローグッバイ”。「今日はCDも持ってきています。ここからは俺たちとあなたたちの勝負です。あなたの答えを見せてください」と健司が語りかけると、フロアからはたくさんの腕が天へ伸びる。常にバンドの「今」と対峙しながら「あなた」との繋がりを望み闘う、彼らだからこそ生み出せた光景だった。
- 01. オドループ
- 02. DNAです
- 03. ディスコプール
- 04. プロレスごっこのフラフープ
- 05. トウメイニンゲン
- 06. オワラセナイト
- 07. ハローグッバイ
Mrs. GREEN APPLE
1曲目が始まったその瞬間からみずみずしいサウンドで豊洲PITを席巻したのはMrs. GREEN APPLE。本当にこのバンドは成長期真っ盛りというか、これまでの自分たちを上回るライヴをあっさりとやってのけてしまうから恐ろしい。曲のリズムに合わせてメンバーが揃って身体を動かしたりして茶目っ気を覗かせながらも、「一番上まで手挙げられますか!?」と叫びながら真っ直ぐな歌声で会場を貫いていく大森元貴(Vo・G)を筆頭に、会場をグイグイと引っ張っていくサマが逞しい。6曲目には12月16日に発売を控えたシングルの表題曲“Speaking”を披露。開放的なサウンドが躍り出し、会場の温度が何段階も上昇したのだった。
- 01. 愛情と矛先
- 02. リスキーゲーム
- 03. アンゼンパイ
- 04. VIP
- 05. ナニヲナニヲ
- 06. Speaking
- 07. StaRt
夜の本気ダンス
「JAPAN'S NEXTにお集まりのみなさん、踊れる準備はできてますか?」と夜の本気ダンスが登場すれば、観客のジャンプで会場の床が大きく波打つ。快楽中枢にダイレクトにぶち込まれるリフの数々、絶妙なリズムの余白はもちろん心と身体をくすぐってくれる。毎回名(迷?)MCを繰り出す鈴鹿秋斗(Dr)は豊洲PITのことを「トヨスピ」と斬新な略称で呼びながら、会場を熱く煽った。ラストの“戦争”では観客をその場にしゃがませ一斉にジャンプさせる。この演出、vol.8出演時=代官山UNITでも行っていたものだが、やはり何度見ても圧巻。あらゆるリミッターが外れたかのように身体を動かす観客でフロアが満たされたのは言うまでもない。
- 01. WHERE?
- 02. B!tch
- 03. By My Side
- 04. Too young
- 05. fuckin' so tired
- 06. 戦争
GOOD ON THE REEL
イベントもついに後半戦へ、というタイミングで登場したのはGOOD ON THE REEL。幻想的な青色の照明のなかで届けられたのは“迷子センター”。鼓動のようなビートを土台に熱量を高めていくバンドサウンドと、顔をくしゃくしゃにして歌う千野隆尋(Vo)が紡いでいく滑らかなメロディラインとの対比が鮮やかだ。「あなたらしく、僕たちを受け取ってほしいと思います」という千野の言葉を受け入れるかのように、ステージをじっと見つめながら5人が生み出すサウンドに聴き入る観客の姿が印象的だった。そしてラストは“素晴らしき今日の始まり”からの“ハッピーエンド”。幸福を願うことの温かさを描き出しながら、次のSAKANAMONへとバトンを託す。
- 01. 迷子センター
- 02. サーチライト
- 03. いらない
- 04. 素晴らしき今日の始まり
- 05. ハッピーエンド
SAKANAMON
ジャパネクシリーズ通算4回目の出演となる「ジャパネクのヌシ」ことSAKANAMONは、「愛してるよジャパネクー!」と“マジックアワー”でスタート。曲の合間でフレデリック“オドループ”のダンスをする藤森元生(Vo・G)や、先日武道館公演を行ったKEYTALKを引き合いに出し「俺たちもネクストに行きたい」と自虐する森野光晴(B)、「アゲ!」コールで盛り上げる木村浩大(Dr)……というメンバーの個性とともに、鬱屈とした自らの青春時代を飾らずに鳴らす3ピースサウンドが炸裂していく。その真価は、「音楽というものは人を救うものであってほしいという祈りの曲」と紹介された“PLAYER PRAYER”にもよく現れていた。
- 01. マジックアワー
- 02. ミュージックプランクトン
- 03. ぱらぱらり
- 04. 花色の美少女
- 05. PLAYER PRAYER
- 06. 幼気な少女
- 07. アリカナシカ
- 08. TSUMANNE
Czecho No Republic
「こんばんは、Czecho No Republicです! 一緒に歌おう!」と武井優心(Vo・B)が呼びかけると、山崎正太郎(Dr)のパンキッシュなビートを先頭に5人のカラフルなサウンドが溢れ出す——というオープニングから、この豊洲PITを至上のユートピアへ塗り替えたのはCzecho No Republic。MCは少なく、次々と曲を演奏していくような構成だ。「今日はいろいろなバンドに出会ったかもしれないけど、ここからはCzecho No Republicに出会ってもらえると嬉しいです!」と語っていた通り、この場に集まる人々と出会えた歓喜を溢れさせながらも、前月終えたばかりのツアーを経て培った豊かな表現力を発揮していった。
- 01. Amazing Parade
- 02. Festival
- 03. MUSIC
- 04. エンドルフィン
- 05. No Way
- 06. Firework
- 07. ダイナソー
KEYTALK
さてこの日のトリを務めたのは、2014年1月に渋谷TSUTAYA O-WESTで行われたvol.1にも出演していたKEYTALK! 初っ端の“トラベリング”から4人の生み出すサウンドが会場の空気をビリビリと震わせ、さらにその電撃は観客の心へと伝播していく。文字通り全身全霊で楽器を叩きまくり掻き鳴らしまくる八木優樹(Dr)&小野武正(G)。寺中友将(Vo・G)&首藤義勝(Vo・B)のツインヴォーカルによる旋律は、放物線を描きながら会場の奥までよく伸びる。八木による「あス!」「アゲ!」コールのあとに演奏された“スターリングスター”は10月に終えた武道館公演へ向けて作られた曲ではあるが、ここから先のバンドの道のりも確かに照らしている。全9曲、イントロで大きな歓声が上がるほどのキラーチューンを連続投下し、会場を大沸騰させ続けた。
- 01. トラベリング
- 02. sympathy
- 03. 桜花爛漫
- 04. スターリングスター
- 05. fiction escape
- 06. パラレル
- 07. 太陽系リフレイン
- 08. YURAMEKI SUMMER
- 09. MONSTER DANCE
そして「今日はたくさんのバンドが出てるし、KEYTALKだけでアンコールをするわけにはいかないので……みなさん出てきてください!」という小野の呼びかけに応えてアンコールではこの日の全出演者がステージ上に集結! ドラム:寺中、ギター:首藤、ベース:小野、メインヴォーカル:八木という変則KEYTALKによる演奏をバックにMONGOL800の“小さな恋のうた”を会場一体となって歌い上げ、大団円を迎えたのだった。
なお、この日の模様は2015年12月28日~2016年1月27日の期間中、GYAO! MUSIC LIVEにてアーカイブ配信されるとのこと(註:一部アーティストの配信はございません)。当日会場に来ることができなかった人も、あの日の熱狂をもう一度味わいたいという人も、ぜひチェックしてみてほしい。(蜂須賀ちなみ)