過去のままのイメージで終わらせたくないんです。今もっとかっこいいんやから、もっかい撮ろうの繰り返しで(HYDE)

──で、やはり、ライヴをこんなにやるバンドはそういないんですよ。「なんでこんなにやるんですか?」とシンプルに聞かれたらなんと答えますか? 

HYDE ま、うまい酒が呑みたい!(笑)。

K.A.Z ふふふふ。

HYDE いい仕事をしたあとのほうがうまいんですよね。毎日休みで、毎日酒呑んでも、そんなにうまくないんですよ。やっぱり仕事したあとにうまい酒が呑める。特にライヴっていうのは、いいか悪いかっていうのがわかりやすいですよね。ファンのリアクションであったり、スタッフやメンバーとの関係で、「あ、今日いいライヴができた。よし! 乾杯!」。

──ははははははは。

HYDE 案外冗談じゃないんですよ。VAMPSは本当に毎回、そう言って酒呑んでるし。だから、なんだろうなあ、歌でもあるけど、「血は酒」っていうね。そういうの案外、噓じゃないなって思いますね。

K.A.Z いい曲ができた時と、いいライヴができた時っていうのが、一番自分でテンションを上げられるから。やっぱりその回数は多いほうがいいし(笑)。あとは単純に、でっかい音を出して、こういうふうにやってるのが好きなんでしょうね。ただ単純に楽しいし好きだから、っていう。

HYDE 僕ね、レコーディングが嫌いだからというのも大きいです。

──はははは。

HYDE 「やっとできたんだから、ちょっとしばらく回らせてよ!」って。ライヴをやらなくなったらまた作らないといけなくなっちゃうだろうし。今回、アメリカに行ったらすごい新鮮だったんですよ。今までのライヴも、もちろん日本でのライヴもすごい多いんですけど、今回、アメリカをバスで回って、1ヶ月で結構な数をやったんですけど。やっぱり、新たな発見があったので。うーん、そりゃまた、こっちに反映されるかなと思いますけどね。向こうのバンドもすごい回ってるもんね?

K.A.Z うん。年間110本とか、200本とか。「年間200本って何だよ!」って(笑)。

HYDE 200本回るバンドとかと、年齢が倍ぐらい違いますからね、僕らは(笑)。

K.A.Z ははははは。

HYDE でもね、やっぱり、今の状況を考えても、そんなに時間があるとは思っていないんですよ。そういう意味でも、自分がある程度のポジションに辿り着くには、あんまり悠長なことをしてられないなというのも大きな理由のひとつですね。そういう意味でも、自分の理想に近づくためにも、ひとつひとつライヴを重ねないといけないなと。僕の理想というのはやっぱり、ライヴがかっこいいアーティストじゃないとだめなんで。そういう意味でDVDって、過去のライヴを塗り替えるっていう意味が大きいんですよ。Zeppのライヴって結構いっぱい出てると思うんですけど、「その時より今がかっこいいよ」の繰り返しなんですよ。VAMPSは急激な成長をしているバンドだと思うので、過去のままのイメージで終わらせたくないんです。今、もっとかっこいいんやから、もっかい撮ろう、もっかい撮ろうって(笑)。今回のDVDが、今までで一番かっこいいと思うから、また塗り替えて。だから自分の理想像にどんどん近づいていきたいし、またVAMPS変わったよ、っていうのを知らせたい。そういう意味でも、このDVDを作っていますね。

もっといろんな人に知ってもらいたい。まだまだ手が届いていないもどかしさはありますね(K.A.Z)

──なるほど。この作品を観て、メッセージの部分として強烈に感じ取ったのはそこで。僕の言葉で言い換えてしまうと、VAMPSはすごく怒ってるんだなと思ったんですよね。このバンドは、もっと伝わるべきで、まだまだ足りないんだと。それをある種、怒りのパワーだと僕は思いましたし、おふたりがこれだけライヴをやり続ける根源的なエネルギーを感じましたけどね。

HYDE そうしましょう(笑)。まあ、そういう気持ちがないことはないですけど。でも、大きなものと言うよりは、なんだろね…………そこまで考えてないかも(笑)。

K.A.Z やっぱり、まだ満足しきれてない部分があるからやってるわけだし。今回みたいに海外に行ってもまだ認知されてない。自分たちが何でアルバムを作っているかと言ったら、やっぱり多くの人に聴いてもらいたいからであって。憧れていたアメリカやイギリス、外国のいろんなところを、海外のバンドがやっているのと同じように、普通に回っていきたいし。もちろん日本のファンにも伝えるし、同時にいろんな国にも伝えるっていうのがやっぱり、やりたいことであって。だけどまだまだそこまでは届いてないから、それだったらもっと走らないとだめだし。それで、もっといろんな人に知ってもらうためには、ライヴっていうのが一番伝わると思うし。すごく説得力のあるツールだと思うんですよ、ライヴというのは。だから、そうですね……まだまだ手が届いていないもどかしさはありますね。

──VAMPSの、「このライヴのやり方はある意味で異常ですよ」と言いたくなる部分を支えるものはそのもどかしさなのではないかと思ったんですね。

HYDE 自分たちはまだスタートしたばかりだと思っているし。まだまだ課題も多いですね。ただ、日本のみんなにこうやってライヴで支えられているというのは、すごい感じているので。僕らは確かに海外を意識はしてるけど、でも一番忘れたらだめだと思うね。良き理解者? 彼らがいるからジャンプできるというかね。堂々とできるというか。日本で自信つけて向こうでやっつける、みたいなところはあるかな。でも僕らはもっと高いところに視点があるから、彼らをもっといいところに連れて行ってあげられると思うね。

──最後に、この作品を観ると、VAMPSのVAMPSたる所以を見るようなところがありまして。それは中盤の流れで、"DAMNED""EVIL"というオルタナティヴなナンバーがあって、そのあとでものすごいバラードである"VAMPIRE'S LOVE"に展開していくパートですよね。そこの流れです、僕が強くVAMPSを感じたのは。

HYDE ああ。

──その緩急にものすごいVAMPSを見ましたけどね。

HYDE これまでも同じような手法はやってきたんだけども、今回"VAMPIRE'S LOVE"が入ったことによって、その勢いがまたついたのかもしれないですね。このアルバムによってさらにヘヴィな曲も追加されたので。歌ってる身としてはヘヴィなんですけど、そこが狙いでもあるんで。なんとかねじ伏せたいと思いながら、結構試行錯誤だったんです、このツアー。声が戻らなくて歌えないっていうことがあったんだけども。僕もその流れはいいところだと思っているので、なんとしても表現したいな、と思いながらこのツアーをやってましたね。そういうメニューのドラマチックなところは、やっぱりVAMPSの面白いところじゃないかなとは思うんですよ。逆に、人のライヴに行って思うのは、なんでこんなに寒暖の差がないんだろうなと。なんか坂がない感じ? 自分たちはそこを表現したいなあと、思いますね。

──K.A.Zさん、いかがですか?

K.A.Z 最初の2曲はどっちかといったら突き放すくらいの曲だと思う。そのあとに"VAMPIRE'S LOVE"みたいな曲が来たら、今度は胸に刺さってくるといったコントラストがすごく面白いと思うし。

HYDE ドメスティック・ヴァイオレンスだね!

──(笑)そうですね。

HYDE パァーン!と叩いておきながら、「好きだよ」。

K.A.Z はははははは! でも、そういう感じかもね。あの2曲は本当に、「さあみんなで盛り上がろうぜ!」っていう感じじゃないよね、ちょっと突き放した感がある。

HYDE 「なんでこんな男と付き合ってんの? 暴力ばっかり!」「でも彼、私のこと愛してるって言うの。優しいの」。そんな感じですかね?(笑)。

K.A.Z そういうの好きなファンなの?(笑)。

HYDE やっぱりそこはファンとの駆け引きというかね。それを楽しむという構成だと思いますよ。なんだかんだで引っ張っていくのはメンバーであったりするから。そこの舵をうまく取ってあげるというのが、こういう流れにも表れてるんじゃないですかね。

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