MIYAVIとゲストアーティスト陣が、それこそ「コラボレーションアルバム」という概念ごと刷新するような音の真剣勝負を繰り広げる対戦型アルバム第2弾=『SAMURAI SESSIONS vol.2』が発売された。三浦大知/SKI-HI/EXILE SHOKICHI/VERBAL(m-flo, PKCZ®)/Masato(coldrain)/ちゃんみな/KenKen(LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)/シェネル……といった世代もジャンルも越えたコラボレーターの中でもひときわ強烈な存在感を放っているのが、激キャッチーなリフとタイトなビートが印象的な“All My Life”をともに作り上げたHYDEだ。ワールドツアーを繰り返す中で「サムライギタリスト」としてのアイデンティティを確立したMIYAVI。今年だけでも2回VAMPSでアメリカツアーを敢行するなど積極的に海外ツアーを行うHYDE。今回『SAMURAI SESSIONS VOL.2』のリリースを記念して実現したMIYAVI×HYDE対談からは、「世界を舞台に闘うこと」の難しさと、それでもなお沸き立つ冒険精神が明快に浮かび上がってきた。
インタビュー=高橋智樹 撮影=山川哲矢
このアルバムを通じて「キャッチー」っていう言葉を学んだ(MIYAVI)
――『SAMURAI SESSIONS vol.2』でおふたりの共演が実現して、どういうテイストになるんだろう?と思っていたら、“All My Life”はこのアルバムの中でもキャッチーの極みのような楽曲で。
HYDE ふふふ。
――実際、この間の「HALLOWEEN PARTY」でライブ初披露だったわけですけども。
MIYAVI HYDEさんとは――付き合いっつうか、知り合ったのは結構前ですもんね?
HYDE 何の時だっけ?
MIYAVI だいぶ前、どっかのテレビとかじゃないですか?――ああ、誕生日パーティーにも来てくれましたもんね。僕の30歳の時の、カオスなパーティーがあったんですけど(笑)
HYDE そうそう(笑)。
MIYAVI プライベートではちょくちょく会う機会はあったんですけど、こうやってステージを共にしたのは初めてで。「キャッチー」っていう言葉は、本当にこのアルバムを通じて僕が学んだことですし――この曲(“All My Life”)が特にやっぱり、制作過程において時間もかかりましたし。最初のリフも俺、たぶん3〜4回書き直してんじゃないかな? なんかね、「もっと行けるんじゃないかな」っていうのがずっとあって。何回かデモを送ったんですけど……「キャンプファイアーで歌えるような曲を作りたい」ってこの人が言いだして、「えー? 全然そんなモードじゃないんですけど」みたいな。
HYDE (笑)。
MIYAVI ちなみに、なんでキャンプファイアーなんですか?
HYDE ギター1本でやるのがいいなと思って。ちょうどあの、auのCMがすごいカッコいいなと思って。逆に、あのギター1本で、僕の歌1本で、っていうのも新鮮でいいんじゃないかな?っていう意味でもあったし。それで……キャンプファイアーっていう(笑)。
MIYAVI この間のライブで言いそびれましたけど、別にルックス的にはキャンプファイアーのキャの字もないじゃないですか。何を言ってんのやろな?と思って(笑)。だから、逆に「どういうイメージがあんのかな?」と思ってHYDEさんに訊いたら、ビデオデモみたいな、カメラの前で弾き語りをするHYDEっていう――このままYouTubeに載せたらすごい再生回数上がるんじゃないか? っていうのがきて。ビデオである必要があったのか?っていう(笑)。
HYDE (笑)。いや、ビデオだとほら、コード進行とかもわかるから、簡単かなと思って。
どっかで「いい曲ならいいや」っていうところがある(HYDE)
――今回のリリースにあたってHYDEさんは《僕がアイディアを送ったらどんどん彼がアレンジしてほとんど原型がなくなったかな笑》とコメントを寄せてらっしゃいましたけども。
HYDE そうそうそう。
MIYAVI そんなことないっすよ!(笑)。
HYDE 最初「COOL!」って返事が来たから、ちょこっと装飾ついてくるんだろうなと思ってたら、思いっきり装飾してあって(笑)。「コード進行ぐらいかな、残ってるのは」っていうぐらい。
MIYAVI ヴァイブスが、魂が残ってます!(笑)。でも、俺の中ではやっぱり、「キャッチー」っていうのが大きくて。こういう性格なんで、僕は勝手に身構えてたんですよ、斜めに見てたというか。でも改めて、キャッチーっていうのは――多くの人の心を掴むことでしょ? それは逆に今、自分がすべきことだと思ったし。そこを攻めること自体がロックだなと思って。キャッチーかつ斬新なものって何だ?っていう禅問答に、この曲がきっかけで入りましたね。イントロのリフとかも、キャッチーな方向にも行けるし、MIYAVIっぽい方向にも行けるし。どっちも成立しているもの、新しいもの、かつキャッチーなものって何なんだ?っていうのを、すごい練りましたね。でも最終的に、ポーンと出てきたものが――便秘気味だったものが全部出た!みたいな感じですね(笑)。
HYDE 途中途中の段階で聴いてはいたんだけど、「どんどん完成度が上がってくなあ」とは思ってました。「ここ、確かに俺もちょっと『おかしいな』と思ってたんだけど、そういうのがわかるんだな」と思って。どんどんクリアになっていって、最終的には「あ、そっか、聴いたことない音楽を作りたいんだな」とか、そういうのも伝わってきて。やっぱりアーティストだなと思いながら……逆にそういうところは、自分でもいい勉強になったかなと思って。僕、なんかどっかで「いい曲ならいいや」っていうところがあったから。これまであったような曲でもね。でも、「ないところ」を探してくるっていう――「ああ、確かにそれは俺、欠けてたな」って。そういうのも、すごい勉強になりましたね。
MIYAVI ……めっちゃ関西弁ですね。僕、前から思ってましたけど。
HYDE ……お前もな(笑)。
MIYAVI 顔と一致してないですよね?
HYDE お前もな(笑)。