“酸欠少女”さユりが5月にリリースした1stアルバム『ミカヅキの航海』はそのまま、歌に「救い」を求めるしかなかった10代の少女が、20歳の境界線を超える大切な季節の中で、自らの孤独や欠落と向き合い渾身の歌を紡ぐことで、自ら時代の「救い」となっていく過程の、どこまでもシビアでポップなドキュメントそのものだった。
そして――アルバムのリリースツアー「ミカヅキの航海2017 ～夜明けの全国ツアー編～」全公演ソールドアウト＆赤坂BLITZ追加公演決定、と彼女への支持が刻一刻と熱を帯びていく状況の中、2017年8月30日（水）発売の『ROCKIN’ON JAPAN』では改めて彼女の唯一無二の本質を解き明かしておきたいと思い、「声」、「福岡」、「焦燥感」、「ギター」、「ポンチョ」、「21歳」、「空白」の7つのキーワードを軸としたテーマインタビューを行った。その中から発言の一部をお届けする。

インタビュー＝高橋智樹　撮影＝藤原江理奈

小学生の頃から「なんて普通の声なんだ」ってずっと思ってました。小学生の頃は、自分の声に特徴ないと思ってたから、いろんな人の真似をしてました。それで、仲の良い子には嫌な顔をされたりして、「自分を持ってないのかい！」みたいな感じで(笑)。いや、今の時点で自分なんてないよ！って思ってたから

シンプルに「居場所が欲しかった」っていうのは確実にあったと思いますね。だって、普通の中学生が、田舎に住んでて、天神まで行って、そこまでやらないと思うんですよ。そこまで行って歌うって――やっぱり「私、生きてます」っていうのは見せたかったですね。何かを伝えたかったっていうのは、その時はなくて。やってますよっていう感じの気持ちだったし。だから挑発的でもあった気がします

「出来損ないだな」って思う感覚が、小さい頃からずっとあって。普通のことが普通にできなくて、「自分はズルい人間だな」って思ったり……いろんなことを諦めてきてるんですよね、あんまりそうは見られてないんですけど。いろんなものを途中でやめたり、その場から逃げたりして、一番最後にあったのが「音楽」で

私の曲はコード進行自体は結構シンプルなんですけど、コードの押さえ方はこだわってるかもしれないですね。Fのコードとかも、ちゃんと押さえたら明るくは聴こえるけど、ちょっと指を浮かせたら――邪悪な響きがしたんですよ、音がぶつかり合ってて。「ああ、こっちの方が私らしいな」って思って。曲を作るのも、何にも種がなくても、「この響き、好き！」ってなっただけで、そこから広がっていくから不思議だなって思うし

続きは2017年8月30日（水）発売の『ROCKIN’ON JAPAN』10月号で！

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