感覚ピエロ 初のフルアルバム『色色人色』完全解説! メンバー全員で全13曲を語る

7.0になって

横山 これは2017年の頭くらいにできた曲で。

秋月 2017年に入って、俺らは自主で全部やってきて、今もそうなんですけど、改めてJIJI INC.っていう新しい家を建ててる時にふと、帰る場所っていうのを思い返して作りました。全速力で走ってれば疲れもするし、パンクもするんですけど、そういうのもあっていいんじゃないかなって。全部フラットにして、もう一回走っていきましょかみたいな、僕らのまた新しいスタートラインというか、踏み切る場所みたいな感じの曲ですね。今回曲順もすっごい迷ったんですよね。どの曲を最初にして、どの曲を最後にしようかって。そういう意味ではこのアルバムを前半、後半に分けてくれるような曲というか。“A BANANA”までが前半戦で、ここからまた後半がスタートする。アルバムを通して、感覚ピエロのいいバランスを感じてもらえるんじゃないかと思います。あとはこれもね、スマホアプリのパニパニ(『PaniPani-パラレルニクスパンドラナイト-』)のCMに起用してもらって。

――配信シングルのオーケストラアレンジも素晴らしいですよね。

秋月 壮大になりましたよねえ。横ちゃんがメロディとかを作ってきて、それがめちゃくちゃカッコよくて。僕らの代表曲になるんじゃないかっていう曲が、さらにフルオーケストラバーションになって。聴いた時に、「これはまたすっげえ広がんな〜」と思いましたね。新しい経験というか、自分らの曲がこういうふうに聴けるんやっていう。

横山 メロディをつけた時に、「これは洋楽や」と思って、でも歌詞は(秋月に)お任せしたんですよ。《Naked.》っていう言葉がね、サビの頭に英語を持ってくるイメージがなかったんですけど。

秋月 ああ、今まではね。

横山 そう。《Naked.》は仮歌の時からあったんですけど、それがそのまま残ってるのはちょっと違和感があって。でも今はその言葉も含めて“0になって”の歌詞がピタッとハマっていて。すでにシングルとしても出ているんですけど、このタイミングでもっとたくさんの人に聴いてもらいたい曲になったなと思います。

――横山さんが歌詞もつけていたら違う形になってたかもしれませんね。

秋月 はい。仮で歌ってた《Naked.》って言葉がすっごい印象的で。もしからたらそこからタイトルもインスパイアされてるかもしれないんで、ふたりで作ってよかったですね。


8.さよなら人色

秋月 これはレコーディング前日にようやく完成したんですよ。

横山 アルバムのまとめ役を担っている曲なのかなって気もしてます。

滝口 サウンドだけで言ったら結構激しいけどな。

秋月 そこはこれまで得意としてきた部分で、同時に今までのテイストとは違う新しい面もあって。最初はザ・ラブソングみたいな感じで作ったんですけど、この曲は切ないだけじゃない、悶々とさせるような、聴く人の心境によって受け取り方が変わるような感じがあると思うんですね。そこで僕らの中で新しいジャンルを増やせているような気がします。

横山 まず、冬を感じさせる曲が感覚ピエロにはなかったし。冷たいんだけどどっか温かくて切ない感じ、景色の向こう側に葛藤があって、それが恋愛に対してなのか、人生に対してなのかは聴いた人次第ですけど、そういう曲は今までなかった。テクニカルな部分では、Aメロで低いところを歌って、サビでガーンといきなり跳ね上がるのも僕らの中では斬新なんです。人間が葛藤を抱いて悶々としてる時って、大声で喋らないじゃないですか。だけど何かを伝えたい時に大声が出る。そういうシステムもメロディに組み込まれているので、すごい人間らしい曲だなと思います。

秋月 なるほどね〜。

――作った秋月さんが感心してる(笑)。すごく大きな表現の幅を持った曲だし、ある人との記憶やその瞬間の自分の気持ちを「人色」と名付けたことは発明だなと思いますよ。

秋月 もしかして褒められてます?

横山 正解(笑)。

秋月 ありがとうございます(笑)。歌詞は恋愛に見立ててはいるんですけど、人生を進んでると出会いと別れってずっと続くじゃないですか。その人と喋ってるとその人の色が自分に混ざって変わっていくようなことを、生きてる中で感じることが多いんで。誰にでも当てはまるけど、それぞれ違う解釈で聴いてもらえたらいいですね。


9.触れてみればいいんじゃない?

横山 これ、きっかけは何でしたっけ?

秋月 僕が横ちゃんにお題を出したんです。「触れてみればいいんじゃない?」っていう言葉を考えて、「これで1曲書いてくれへん?」って。今まで出してきた作品から曲をピックアップした盤のジャケットを作ってる時があって、その写真から思いついた言葉なんですけど、キャッチーな言葉やなと思って。僕らっぽいし。エロ要素もあればメッセージ性もあって。で、YouTubeっていうところに歌詞が落とし込まれたんですけど。

――ライブ会場で配布していた生産限定CDのことですよね。

秋月 そうですね。僕らの中で新しい取り組みというか、YouTubeでリンク取れて、音源落とせてっていうことがあったんで、じゃあそんなんせんでもいいからあげるよみたいな。もっと言うと、一番最初はTwitterで、Dropboxに音源と歌詞カードを入れたものを提供したんですよ。

横山 そうだった。

秋月 正直CDをリリースする理由とか、こんだけ音源ってどうにでもなる時代に、俺らがそこを保守する理由って何やろみたいなところで、“触れてみればいいんじゃない?”っていう言葉がハマってるんかなって。

横山 うん。現代的な曲でありつつ、YouTubeだったり、今の音楽の聴かれ方を考えると、このアルバムの中では今聴いたら一番新しい、ホットな曲になってるし、10年後に聴いたら2018年を象徴する1曲になったかなと思います。

秋月 こういう感じやったねってな。


10.LOVE GENERAL

横山 これは楽しかったね。(作詞の西尾に)どういう曲ですか?

西尾 ラブソングです。

全員 (笑)。

西尾 ホンマにストレートなラブソング。誰が何を言おうと俺はあいつが好きや、みたいな。サウンドは僕結構アイドルとかジャニーズが好きなんで、そういうアンテナに引っかかったというか、そういう曲をこのバンドでやったらおもしろいやろなって思ってた感じですね。

秋月 曲の土台はあったんですよね。「こういう曲があったら」って健ちゃんがずっと言ってて。

滝口 じゃあもうちょっとイメージを膨らませてみようかって。

秋月 歌詞も健ちゃんが「書くわ」って。

横山 大正解でしたね(笑)。

――めっちゃいいことも言ってますもんね。

横山 《脱ぎたて嗅ぎたい》?

――もそうだけど(笑)、サビとか、すごくきれいなラブソングだなって。

西尾 そうですね。もう真っ直なラブソング。僕がそうなんで、そのまま書いただけです、ほんとに。

横山 歌入れの時、西尾が横にいて、「今のどうでした?」って訊くと「もっとなぁ……握手会でな、目の前にその人がおんねん」みたく言ってましたもん(笑)。こういう曲をやるにあたって、なんかやってみたけど中途半端とかじゃなくて、やるからには思いっきり突っ切っていく感じがいいなと思ってます。

滝口 ライブも今から楽しみやしね。


11.変幻

横山 これはもうメンへラった曲ですね(笑)。僕らがミニアルバムを手売りしてた頃の、1〜2枚目ぐらいまでの感じかなと。

秋月 それはあるな。

横山 『色色人色』っていうアルバムは、今まで4年間の感覚ピエロと、今の感覚ピエロを詰め込んだ作品で、その中で今までの良さを思う存分詰め込んだと胸を張って言えるポイントの曲だと思います。テンポや展開がめまぐるしく変わっていきながら、バーンとカッコよさだけを残して去っていく。そういうアプローチの仕方が、手売りでやってた頃と近しい感じがしてて。そういう1曲を、4年経って成長した僕らがまた改めて書けたっていうのがすごく嬉しいです。


12.ハルカミライ

秋月 (TVアニメ)『ブラッククローバー』のオープニングテーマで、書き下ろしになるんですけど。アニメに寄せるっていうよりは、やっぱ僕らの曲なんで、そこまで意識はしなかったですけど、わかりやすく前向きなエールソングですよね。ほんと先のことは誰にもわかんないですけど、次のことに対して今の時間を使ってたりするんで。リスナーも僕らのそれぞれの時間を歩きながら、どっか未来でまた会いましょうね、みんな元気でねっていう、そんな曲ですね。オケはすごいキャッチーにできたかなっていう。

横山 うんうん。

秋月 すごい短い曲なんですけど、フルはドラマチックな展開になっているんで、そういうところも聴いてほしいですね。


13.Just to tell you once again

横山 最初はUKロックを作ろうと思ったんですけど、メロディが浮かんでからはちょっと難しいなと思って。

――ものすごく繊細なメロディだからUK感は出しづらいですよね。

横山 どうしてもメロが浮かんだ時の僕の思いが強すぎたんで。

――昔大切だった人のことを思ったらメロディが浮かんだんですよね。

横山 そう。最初のアイディアは多少功を奏して、サビにいく前のコーラスでUK感を出したりはできたんですけど。2017年の僕の思いを全部ぶつけた1曲ですね。

秋月 時空を超えてね。

横山 時空を超えて2018年に発売されます(笑)。楽器隊はちょっとUK感あるよな。

滝口 意識したよ。

秋月 まさに大先輩の、オアシスパイセンを頭に描きながら。

西尾 楽器だけ言うとね。

秋月 レコーディングでは横ちゃん泣いてたけどな。

横山 泣いてた。サビ歌われへんくて(笑)。そんだけ思いの詰まった曲になってます。

――なるほど(笑)、ありがとうございました。最後に改めて、このアルバムを総括するとどんな言葉になりますか?

横山 初めてフルアルバムを作るにあたってテーマとして掲げたのは、感覚ピエロってこういうバンドだよねっていう、これまでの4年間をパッケージしようってことだったんですよね。通して聴いた時にチグハグでバラバラでもいい。その代わり、どこかで聴く人にとっての「推し曲」を見つけてほしいっていう思いで作りました。何をやっても感覚ピエロ、だからこそ『色色人色』。リスナーの皆さんにもそう受け取ってもらえたらなと思います。

秋月 だからこそちゃんと聴いてほしいなって思うんで、どこかを飛ばさずに、47都道府県全部を回って、僕らを応援してくれてる人、まだ知らん人にも届けたいなって思ってます!

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