SiXX、7年越しの1stアルバム『ROLLIN’ LIFE』堂々完成! 個性派プロデューサー陣を迎えてなお揺るがない、バンドの核に迫る

ギターの人がエフェクターでいろいろ音を変えるように、サックスの奏法をいろいろ変えたりして、その曲に合ったものにしたい(レイジ)


――加藤ひさしさんがプロデュースされた“YEAH YEAH YEAH”も個性的で。ずばりTHE COLLECTORS感が出たビートロックになりましたね。これはどういうディレクションがあったんですか?

菅 僕が、この曲は加藤さんにやってもらうといいんじゃないかなと思ってお願いしたんです。結構、サウンドよりも歌詞についてが多かったですね。

DAISHI 初めて歌詞をなおしました。ちょっとコミカルな感じもあって、いいですよね。勉強になりましたね。

――曲調はあんまり変わらず?

菅 全然変わってないですね。でも、この曲だけは、THE COLLECTORSが使ってるロンドンのスタジオの人にミックスをお願いしたいって、最初から加藤さんが仰ってて。それもお願いしました。

DAISHI もうめっちゃかっこええやん!と思って(笑)。ええ? 俺らの音がロンドン飛ぶの?って。

――本当にいろんな曲が入っていますけど、改めて、やっぱりサックスの存在がバンドのカラーにはなっていると思います。いわゆるジャジーなサックスから、歌謡曲っぽいものとか、ラウドに合わせたスピード感のあるフレーズとか、曲ごとに全然違っておもしろいですよね。

レイジ そこは意識して変えてますね。ギターの人がエフェクターでいろいろ音を変えるように、僕は吹くだけですけど、奏法をいろいろ変えたりして、その曲に合ったものにしたいなとはずっと思ってて。難しかったですね、正直。

菅 一緒にやってて、吹くだけなのにこんなに違う感じが出るものなんだなって、ちょっと関心しました。

DAISHI でも、一緒にやり始めた最初の頃より、表現力は全然あがったよね。うまく吹くという意味ではもとからちゃんと吹けてたけど、こういうロックの――ボーカルでいうダミ声みたいなものは、すごくうまくなりましたよね。実際ああいうの吹くと、喉痛いんですとか言うんですよ。ボーカルと一緒で。

レイジ はい。最初は音大仕込みだったんで(笑)、ある程度綺麗にまとめてやるのが当たり前だと思ってたんです。でもそれだと、やっぱり音が馴染まなかったんですよね。SiXXの音っていうか、バンドというものに。それでいろいろ、がなる感じの奏法とかを試してみて。今やそれが当たり前になりました。

DAISHI おもしろいのが、ギタリストのプロデューサーの方が、ギターみたいな感じで「サックスでこういうフレーズ吹けますか」って言うと、「すいません、ブレスないと無理です」とかあるんですよ(笑)。そこはボーカルと一緒か、みたいな。もうツインボーカルみたいなもんやからね、サックス。メロディを吹いてるんで、ボーカルがふたりいるような感じのイメージで僕はやってます。

レイジ ちょっと気を使う部分もあって、変に出すぎたりすると、ボーカル食っちゃったりも――。

DAISHI やめなさい(笑)。俺のキャラ弱いみたいやん。

レイジ いや、音的にってことです(笑)。

DAISHI まあね。歌ってるうしろで吹くのは難しいよね。

レイジ ジャズでもなくはないですけど、やっぱり勝手が違うので。どこでどう存在感を出すかっていうのは難しいですね。

DAISHI 今回はギターソロでいくのか、サックスソロでいくのか、はたまたバトってる感じでいくのか、いつも新曲ができると悩みます。どれが合うんやろって。

特に若い男の子に聴いてほしいんですよね。僕らの時代は、やっぱり男の子がロックバンドにすげえ憧れてたから(DAISHI)


――で、最後が“朝まで飲もうぜ”で終わるのがすごくいいなあと思いました。SiXXの空気感を表してるというか、ご機嫌なロックンロールで。結成初期からある曲ですよね。

DAISHI そうですね。昔からライブのラストでやることが多いんですよ。ほんまにこのあと打ち上げするよって意味で。今は年齢重ねて、そんなに朝まで飲まないですけどね(笑)。

――いい終わりですよね。バシッと終わるんじゃなくて、まだまだ続くぜって感じもして。

DAISHI ゆるーいんでね。ゆるいんですけど、歌詞は結構、一番伝えたいところが詰まってたりするんです。メッセージ性はすごく強いんで。

雄飛 そう、“朝まで飲もうぜ”っていうところが取り上げられがちなんですけど、歌詞がめちゃくちゃいいんですよ。

――《幸せなんかは自分しだいで 他人と比べてちゃ見つからないから》とかいいですよね。

DAISHI これと、“勝手に地球は回る”の歌詞は結構、自分の中でバシッときてますね。楽しいですよ、SiXXの歌詞を書かせていただけると。Psycho le Cémuで歌詞書く時って、やっぱり表現の限界がね。勇者の格好で“朝まで飲もうぜ”はヤバいので(笑)。それがSiXXでやる楽しさでもありますね。日常の言葉使えますから。

――もともとが特殊すぎるパターンなんですが(笑)。でも本当に、人間性とか、生身で今バンドをやってるっていうリアリティが出てますよね。古い曲も、歌詞はそんなに変えずに?

DAISHI ちょっとは変わってますけど、あんまり変わってないですね。

――伝えたいメッセージとか、メンタル面は変わってないってことですね。

DAISHI そうですね。で、なかなか出てこない時は、目をつぶってTHE BLUE HEARTS聴きます(笑)。

――ははは。やっぱり、“勝手に地球は回る”にも《流行りの歌が流れてきたけど 俺には理解出来ないぜ》ってあるとおり、まわりに流されないロックバンドの楽しさというか、変わらない美学っていうのが核にあるんですね。

菅 うんうん。好き勝手やってるなあと、自分で思いますよね。

DAISHI 子供っぽい感じで音楽できてるなあと思います。

――こういう歌詞がくると、そうそう、これがバンドだよなって。

菅 って思いますね。

――レイジさんはいかがですか?

レイジ インストをやってたので、歌詞の持ってるパワーっていうのが、僕には計り知れないものがあって、まだわかってない部分がありますね。でも《朝まで〜》とか《勝手に〜》みたいな歌詞は、DAISHIさんの人間味がすごい出てるところじゃないですか。で、僕とやっぱ真逆のタイプだと思うんですよ、特に昔の僕の、音大でまじめにクラシックをやってたときとは全然違うので、そういうのはすごく魅力を感じますし、おもしろいなって思います。僕が一番好きなやつは“ROLLIN’ LIFE”の《公衆便所の落書きに ほんの少しだけ癒された》ってくだりなんです。なんかわかんないけど、心うたれたんですよ。

雄飛 僕も、DAISHIさんの人間性が出てていいなあと思います。SiXXっってバンドは、やっぱり世界観、歌詞も含めてDAISHIさんが作って、サウンドは大助さんが作ってるバンドなんで。僕はいつも一歩引いて客観的に見れてるなって思うんですけど、今回ほんとに名盤ができたから、やっぱりSiXXってすごいなあって。

DAISHI 特に、めっちゃ若い男の子に聴いてほしいんですよね。最近は女の子のアイドル勢に押されてるけど、僕らの時代はやっぱり男の子がロックバンドにすげえ憧れてたから。僕なんて、部屋に矢沢永吉とBOØWYのポスターとか――男の子が男のポスター貼ってましたからね。もっとかっこよくなりたい!って。歌詞も楽曲も、たぶんそこに向けて書いてる部分が一番大きい気がするな。自分が少年時代に聴いたら、かっこいいなって思うような感じの作り方してるのかなあと思います。

菅 好きなものはなんでもいいんだけど、たとえば自分が子供のころ大好きで憧れたような存在にSiXXがなれたら、すごく嬉しいですよね。

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