4s4ki、最新フェーズへと突入する。ログアウトするべきはこの現実のほうだ、という強烈なメッセージ

4s4ki、最新フェーズへと突入する。ログアウトするべきはこの現実のほうだ、という強烈なメッセージ
6月23日深夜に、ライブ映像「4s4ki - Live in Parallel World 2022[YouTube Edition]」をプレミア公開し、8月24日(水)にメジャー2作目となるアルバム『Killer in Neverland』をリリースすることを発表した4s4ki(アサキ)。

メジャーデビューから約1年、昨年末に繰り広げられた初の東名阪ワンマンツアーでは「HYPER NEW-PUNK LAND」を標榜し、対になった2作のデジタルEP『Here or Heaven』、『Here or Hell』を順次発表することで、4s4kiは自身の混沌としたマインドを明確に表現してきた。国内の人気だけには留まらず、海外の音楽メディアや主要プレイリストにおいても注目を集めるアーティストである。

4s4kiが向かう最新フェーズへの招待状として差し出されたのが、ニューアルバム『Killer in Neverland』からの先行配信シングル“LOG OUT”だ。《オンラインでネトゲをしてた/中学2年の春が今/作る音楽に与えた portion/漠然と飲んでた 「独」》。トレードマークでもあるオートチューンを噛ませた歌声でそんなリリックをエモーショナルに歌い上げるこの曲は、理不尽と失望に塗り固められ色彩を失った視界を突破する、そんな4s4kiの決意表明・宣戦布告として響いてくる。

インターネット音楽シーン隆盛の時代に感化されDTMによる音楽制作を開始した4s4kiにとっては、自由に自己表現することのできる音楽もまた、アバターをデザインしプレイするオンラインゲームと同様に現実を超えてゆくための大切な手段だ。仮想空間はもはや単に逃避の場所ではなく、4s4kiは実際に表現を通じて自身の生きる現実を塗り替えてきた。一辺倒に創造性を否定し旧い価値観を押しつけてくる「現実」に意味などない。これは、現代を生きる人々にとって浅からず共感することのできる思いだろう。

《生き辛い世を捨てろ》というメッセージと同様に素晴らしいのが、“LOG OUT”の曲調である。作曲は4s4kiと、盟友maeshima soshiとのコライト。我々が耳馴染んだポップソングのコーラス構造と、ポストEDM時代のドロップ構造を融合させ、新鮮なヴァイブをもたらしている。

フューチャーベース風のヴァース〜ビルドアップパートからドラムンベースの熱いコーラスへと移り変わり、間奏なしに再びヴァースへと向かう楽曲デザインは、4s4kiの歌が渦を巻いてとめどなくエモーションを増幅させるようだ。2度目のドラムンベースパートは、あらためて高揚感を募らせるインストゥルメンタルのドロップとしても機能している。歴史の重荷から解き放たれ音楽の形式を自由に横断するハイパーポップを、堂々引き受けてみせた作風である。

エモラップやポストEDMの同時代性に感化され、またインターネットネイティブらしく歴史上のさまざまな音楽を見渡す4s4kiの表現は極めてカオティックだが、情報の氾濫に押し流されることのない芯の強さも持ち合わせている。“LOG OUT”はその象徴であり、言葉と音楽の双方から4s4kiのアティテュードを明らかにした一撃と言えるだろう。来るニューアルバムも楽しみだ。(小池宏和)

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