ダンスは『魅せる』。バンドは『巻き込む』。ライブって、両方ほしいじゃないですか(安井)
――7ORDERは、バンドで表現できることと、ダンスで表現できることの違いを誰よりも知っているグループだと思うんですね。それぞれの表現から湧き出るものの違いを、どういうふうに感じていますか。安井「ダンスは『魅せる』というか。大きい会場でもグッとお客さんが入り込めるような『魅せる』パフォーマンスはダンスが強いと思っていて。逆にバンドは『巻き込む』。ライブって、両方ほしいじゃないですか。食い入るように見る瞬間もほしいし、自分が会場の一部になるみたいな感覚もほしいから。『王道の流れ』ってあるなと思ってて。やっぱり最後は一体感がほしいし、頭も盛り上がった感がほしいけど、中盤くらいはグッと魅せるシーンがほしい。使い分けることでその緩急を作れることが楽しいなと思います」
阿部「めちゃくちゃ同じことを言おうとした。びっくりした。感動した」
安井「はははは(笑)」
阿部「曲を聴かせたいのか、俺らを見せたいのかで、バランスが変わる。会場の大きさにもよっても熱量と曲の見せ方のバランスが難しいよね」
萩谷「それぞれ音楽のルーツは違っても、好きなライブとかは意外と一緒かもしれないですね。映画とかを観に行ったときは『俺はあそこが好きだった』『いや、ここ好きじゃなかった』みたいな話になるけど、ライブ観たときって大体感想が一緒なんですよ。好きな曲とかは違うんだけど、発信の仕方の好みは近いかも」
阿部「確かに」
萩谷「『王道』って言ったけど、僕らの中では王道なんだけど、たとえばスローに始まるアーティストさんもいるじゃないですか。4年やってきて、僕らのスタイルが前回の『DUAL』ツアーで定まってきたという感じがしますね」
――ブルーノ・マーズ以外に、ライブの作り方でロールモデルにしているアーティストはいますか?
阿部「俺はマイケル・ジャクソンだと思ってた。めっちゃロックやって、急に踊るから」
安井「確かに」
阿部「かっこいいです。マイケルがいちばん好きです」
安井「みんなで桑田(佳祐)さんのライブを観に行ったときがあって。同じライブを観ると、『こういう部分すごくいい』みたいなものがみんなに馴染んでいくよね。頭や後半の持ち上げ方とか」
真田「親近感の湧き方とかね」
1人辞めちゃったとき、すごくショックだったんです。でもそれじゃダメだなと(長妻)
――12月8日から始まる『7ORDER LIVE [ONE,] - DUAL Endroll』のリハ中に今お邪魔させてもらっているわけですけど、どんなツアーになりそうですか。メンバーの脱退があったあとに[ONE,]というプロジェクトを立ち上げて、そこでどういうことをやりたいと思っているのか、どういう気持ちでこのツアーに挑もうとしているのか、それが今いちばんみんなが知りたいポイントだと思うんですね。安井「ライブでいろんなことを経験したり曲が増えたりした中で、『バンド×ダンス』の表現を突き詰めたのが『DUAL』だったんですけど、メンバーが1人抜けて『おっと、どうしようかな』となって。立ち上げたときから7人でやりたかったことを形にできたのが『DUAL』だったので、それをちゃんとファンの人たちと一緒に、2019年5月22日からの期間を振り返りながら、『DUAL』という形のエンドロールがもしあったら、というものを提示したいなと。本当は7人でそこをやりきりたかったんですけど、7人のつもりで、6人でちゃんとお客さんと一緒に幕を閉じるというか。そういうプロジェクトにできたらいいなと思って[ONE,]というプロジェクト自体はやってます。だから『新生』という気持ちはあまりなくて、どちらかというと、最初に作ったときの7ORDERの一旦の閉幕式みたいな気持ちでこのプロジェクト自体は走ってますね。ただ、これは個人的な感覚なんですけど、こないだのオンラインライブは、7人の7ORDERで作ったものを6人でさらに進化させるとしたらという感で、「1.5ver」みたいだった。ちょっとバージョンアップしているなって。『7ORDER LIVE [ONE,] - DUAL Endroll』は、『DUAL』のエンドロールとして『DUAL』までにやったことの中から抽出しているんだけど、新しいものができている感はすごくある。それは今リハをやっていても思うんだけど、どう?」
萩谷「いろんなものを再現してバージョンを直すという作業だったのに、気づいたら新規で作っていることがめっちゃ多かった」
安井「オンラインライブのほうが今までの名場面集という感じで作っていた気がする。ライブはやっぱり癖が出ちゃって。エンドロールなんだという気持ちで作っていたんだけど、本編にないものもめっちゃ入っちゃった。『こっちのほうが面白いかも』みたいなことをいろいろメンバーが持ってきてくれたりして。モロ(諸星)が土台を作ってくれるところがあったり、もちろんサナピー(真田)が持ってきてくれるところがあったり」
真田「正直、エンドロールというテーマを意識はするんですけど、『楽しい』と『面白い』が先行しちゃって。ここにいる6人全員そうだと思うんですけど、観に来てくれた方を熱狂させたいという気持ちが根底にあるから」
安井「いいバランスになってる感じがするけどね。最初の頃から7ORDERを観てきた人も、『ここでこの曲を持ってくるんだ』とかがあるだろうし、初めて観る人にも『これが名刺です』と言える内容になっていると思う。今までのファンの人に向けて作っているんだけど、意外と新規向けにもなっているライブだなって」
長妻「僕の担当は楽しい空間を作ることなんですよ。だから1人辞めちゃったとき、すごくショックだったんです。でもそれじゃダメだなと。1人でもちゃんと立てるような人になったうえで7ORDERとして活動できたらいいなと思ったので、1人でも頑張れるようにしていこうと思って。だから結果、今6人になったんですけど、楽しいですね。それがいちばんだなと思います。『Endroll』という作品なのでお客さんも不安があると思うんですけど、そこを感じさせないくらいの楽しいライブがリハーサルからできてます」
――6人体制のお披露目となったオンラインライブの手応えはどうでしたか。
諸星「歴史が刻まれたなという感じがしますね。俺らは酸いも甘いも経験したから。同じ歌詞でも、何も知らないピュアな人が歌うのと、いろいろ経験した人が歌うのとでは響き方が違うじゃないですか。1人抜けて、みんないろいろ考えて、そのうえで歌っているのを観たときに、ちょっと感じ方が違うなと思いました」
――特に『DUAL』は“Who I Am”、“Get Gold”とか、きれいな言葉だけじゃなく感情の発露を激しく音楽に乗せた楽曲があって、今の7ORDERがこれを歌うとより響く、というものが多いですよね。
真田「オンラインライブを自分たちで観たときに、みんなの成長具合がすげえなと思ったんですよ。終わったあと、みんなが自然と褒め合ってたから。それが素敵だなと思いました」
萩谷「お客さんの前に立つ前にあれをできたことにすごく意味があったと思うんですよね。実際にお客さんがいる場合といない場合では、エネルギーの当て方が全然違って、お客さんがいるときはエネルギーを前に放出するけど、無観客の客席に向かってやるときは、グループの内側に意識がいったというか。だからこそ普段気づけないことにも気づけました」
――無の空間にエネルギーをぶつけるのは難しいけど、逆にグループ内でぶつけ合ったからこそ気づけるものがあったと。
萩谷「しかも後日コメントを見ていると、『こういう感情を自分たちはもうちょっと前に持ってたけど、お客さんは今あのときの僕たちの気持ちになってるんだ』とか、応援してくれてるファンの人たちの意見を理解できたので。そのうえで今リハができているから、すごく意味があったなと思いますね」
――『7ORDER LIVE [ONE,] - DUAL Endroll』はこれまでを振り返って「ありがとう」を伝えつつ、これからの7ORDERを見せる内容になっていると。
萩谷「振り返ることは大事だと思いますね」
安井「改めて昔のライブを見返したりすると『全然違うな』と思う。これまではテーマも交互にやってたんですよ。武道館から始まって、次のZeppツアーは『裸一貫』『飾り気なし』みたいな。で、『Date with.......』が演出とかも華やかに作って、その次にやった『7ORDER LIVE FACTORY~脱色と着色~』はまた『裸一貫』みたいな。それを経て『DUAL』で今の自分たちのやりたいことを全部詰め込んだ感じで。振り返ると、いろんな自分たちが過去にちゃんといてくれているのがいいなと思いますね」
――6人体制になって新しく見せられる7ORDERとはどういうものになりそうですか。
安井「今までと圧倒的に違うのは、ゲストさんを迎えること。サポートメンバーも入ってもらって、メンバーは6人なんですけど、チームとしては大所帯になったことが今までと違うと思います。メンバー以外がステージ上に乗ることは、これまでほぼなくて。『7ORDER LIVE FACTORY~脱色と着色~』でストリングスさんに入ってもらったくらい?」
諸星「あとは対バンくらいだよね」
真田「『7ORDER project』として始まって、今がいちばんプロジェクトっぽいなって感じますね」
阿部「確かに」
真田「7ORDERと7ORDER projectの違いみたいなものは、いろいろあったんですけど、今回のツアーはメンバーが見えないところでも何かをやっていたりして。裏で音を作る人もいれば、裏で演出を補佐してる人がいたり。メンバーの顔がひとつだけじゃない。そういうところがプロジェクトとしての動きっぽいなと個人的には思ってます」
――ファンタジーを見せてあげるのもライブの良さだし、人間臭さやリアルをぶつけることもライブの良さで、その両方をステージでもバンドストーリーでも表現しているのが7ORDERであるということが今日よくわかりました。
長妻「今日、本当に楽しかったですね。6人で初めての取材だったのでみんなの話を聞くのも新鮮でした。エンドロールですけど、始まりそうな予感もします」