【インタビュー】め組、春を先取りして咲く! 新たな方法論で紡いだ最新ミニアルバム『七変化』について、菅原達也が語る

【インタビュー】め組、春を先取りして咲く! 新たな方法論で紡いだ最新ミニアルバム『七変化』について、菅原達也が語る

ランジャタイの国崎さんが書いた本を読んで、感動したんですね。思い出がぼやけていくことは分かっているけど、やり続けることに意味があるなって

──“咲きたい”は、歌詞にも強烈に菅原節を感じました。世の中の理不尽に対して毒づいてる部分もあるんだけど、菅原さんは自分の中のダメな部分や冴えない部分を見つめて、それを歌にし続けていますよね。

「そうですねえ……なんか、姑息なんですよね。愚痴とか強気なことをサビで思いっきり歌えばいいのに、Aメロで歌ったりして。サビでは自分を見つめ直しているんですよね」

──そう、結論がそこなの。“ストレージ”もさ、自分らしさの呪いを見つめているでしょ。丸裸な菅原さんが出ていると思う。エモさで言ったら、今作でいちばんの曲かもしれない。

「呪い、ですねえ。仰る通りです。いちばん気に入っている曲です。こんなに弱っている僕なんだけどねってことを、示しやすいんですよね。でも、メロディとかの行間がないと出せないのかな。歌詞は濃ゆいですけど、メロディに委ねている部分がありますね。今回はボカロを使って作曲しているおかげもあって、ちょっと前の自分だったら、もっと歌詞を詰め込んだりしていたと思います」

──確かに、今回は言葉の総量がスッキリしているなと思っていて、それはボカロのおかげなんですね。“お茶の子再々!”は、個人的にいちばん好きな曲なんだけど、キャッチーに聴こえるわりに実はすごく入り組んだ曲調じゃないですか。転調とかも含めて。

「ありがとうございます。この曲はコード進行から作ったのかな。ここで転調したら面白いなってことを細かくやっていたら、全部が転調になっちゃって(笑)。だからメロディを迷子にしないように、っていう自分自身の約束のもと、緻密な作業をひたすらやってました。いちばん時間がかかった曲ですね。今のシーンって、BPMが高い曲ほど緻密に作られていることが多いなって思って。自分もそれをやらなきゃっていうか、まあ楽しみながら作ったんですけど」


──まさに、ボカロもそうだと思う。あと、これだけ入り組んだ曲を作ったうえで、みんなが楽しめる合言葉を入れているでしょ。これも菅原節のいいところですよね。

「そうですね、全部やってやりましたね、これは(笑)」

──次の“さたやみ”は、これも力強いロックチューンになっているんですけど、歌詞がすこぶるリリカルで抽象的なところがあるから、そのあたりを説明してもらえますか。

「はい。この曲の経緯としては、お笑いコンビ・ランジャタイの国崎和也さんが書いた本(エッセイ集『へんなの』)を頂いたんですよ。俺はランジャタイを存じ上げないまま、その本を読んで、感動したんですね」

──ランジャタイが“咲きたい”のMVに出演するよりも前の話ってことね。

「もっと前の話です。国崎さんが昔の、小学生時代の思い出とかを記した本を読んで、なるほどな、と思って。国崎さんは、忘れないように、さたやみにならないように記す努力をしていたんですよ。それでも思い出がぼやけていくことはわかっているんだけど、やり続けることに意味があるなって思って。そこにインスパイアされて、できた曲です」

──うんうん。いい曲だし、いいテーマですね。リリカルな中でも、個人的にはブリッジ部分が好きで。ブリッジが響く曲って、なんかいいじゃないですか。曲の総合力が高いというか。

「や、そうなんですよね。そこがお勧めポイントです(笑)。ブリッジがいい曲は信用できるんですよ。この曲は絶対いい曲だって。それですまさに。狙ってやったわけじゃないんですけど、客観的に聴くと、それができるようになったなって思います」

【インタビュー】め組、春を先取りして咲く! 新たな方法論で紡いだ最新ミニアルバム『七変化』について、菅原達也が語る

やっぱり僕は何も考えず楽しめる音楽が好き。歌詞なんか共感しなくてもいいし、勝手に行間を読んでくれてもいいし。童謡と同じような感じです

──今作は全体的に、メンバーのコーラスが豊かに織り込まれているんだけど、“さたやみ”では頭からうららさん(久佐賀麗/Key)のバッキングコーラスが入っていますね。

「はい。実はこれも、ボカロの影響なんですよ。作曲段階でボカロと一緒に歌っていたら、いざ自分のボーカルだけになったときに、なんか寂しくなっちゃって。それです(笑)」

──そういうことか。でも、とてもいいと思う。さっきも話に出た“ストレージ”は、ストリングスやコ―ラスが効いたアレンジになっていますが、これについてはどうですか。『七変化』のバラエティ性が表れていると思います。

「ストリングスの基本的な部分は自分でやって、アレンジャーの花井さんにきれいに整えてもらいました。ちょっとオアシスっぽいことやりたいな、と思ったんです」

──で、ライブでは既に好評を博しているダンサブルな“(I am)キッチンドリンカーズハイ”ですが、あらためて、主婦目線の日々の憂鬱をしたためた歌詞が面白いなと思って。

「これの歌詞は、しっかり読むもんじゃないんですけどね(笑)。“お茶の子再々!”とか“ストレージ”もそうなんですけど、苦しい、苦しいっていう音楽も確かにいいんですが、やっぱり音楽って、楽しい部分がないと無理ですから。それが証明できればいいですね。顔をしかめてアルペジオを弾きながら、それでは聴いてくださいっていうのを姿勢正して聴くよりも、やっぱり僕は何も考えず楽しめる音楽が好きだなって思います。歌詞なんか共感しなくてもいいし、或いは、勝手に行間を読んでくれてもいいし。だから、童謡と同じような感じです」

ヘア&メイク=栗間夏美
【インタビュー】め組、春を先取りして咲く! 新たな方法論で紡いだ最新ミニアルバム『七変化』について、菅原達也が語る
次のページリリース・ツアー情報

公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする