──そういったIVVYの今の想いや人間としての美しさを映すことは、ミュージックビデオでも意識されたことですか。絶対にキラキラさせないと思ってました。キラキラしてない表情もわかってほしかったから。「それくらい葛藤してきているよ、この人たちは」っていうことを伝えたかった(真田)
真田 絶対にキラキラさせないと思ってました。わざと土臭く、目元とか寄り(のカット)を多くしたのは、キラキラしてない表情もわかってほしかったから。「それくらい葛藤してきているよ、この人たちは」っていうことを伝えたかったです。その僕の強引さがあったから、人間としての美しさを見せることができたのかなと思います。あと、トラックの「7」を触るシーンがあるんですけど、それはリーダーにやらせたかったんですよ。それぞれの関係性もあるし、メンバーがひとり抜けちゃってという話も聞いて──どこかで聞いたことあるなと思いながら──だからこそやらせたかったという意図がデカいです。リーダーが背負わなきゃいけないから。グループの中でポジショニングってあるし、一人ひとりがそれを背負わなきゃいけない瞬間が絶対に出てくるから。
──楽曲のアレンジとしても、もっと打ち込みとかも入れてデジタルな質感に仕上げることもできただろうけど、血と汗が飛び散るような泥臭さを残したことが重要なポイントですよね。
真田 絶対にキラキラさせない、キラキラは走ったキラキラでいい、と思っていたので。とにかく土臭く、アツく、古くてもいいからどストレートを入れまくるっていうのが今回のコンセプトとしてありました。最後の転調は俺の中ではランナーズハイを意識していたり、技術的にこだわった部分もありますけど、それはどうでもよくて。本当はピアノも弾いてたんですよ。でも「いらない!」って最後に外したんです。テクニックではこの曲を作れないと思う。関係性と、同じ時間を過ごした人にしかわからないものがあって、それはパソコン上ではできないしなって思いますね。
──ちょうど真田さんが7ORDERの楽曲を書き始めたのが、今のMASAKIさんの年齢だそうですね。そういった意味でも、MASAKIさんにとって真田さんは背中を追いたくなる存在だといえますか?
MASAKI 表のステージでも、制作でも、両方で活躍されているので、話を聞いて勉強になることが多くて。自分が作詞させていただいた曲が世の中に出ることは今回が初めてで、それをさなぴーとできたことがすごくありがたいなと思ってます。急に電話させていただいたときもあって、相談させてもらえる人が身近にいることがすごく心強くて。それこそご飯行ったときとかもそうなんですけど、僕らメンバーが悩んでることを聞いてくれて、「いやあ、俺もそういうことあったよ」と言ってくれることもあれば「そんなことで?」みたいに言ってくれることもあったりして。先輩でもありますし、兄貴みたいな感じで接してくれるから気兼ねなく話せて、そういう立ち位置にいてくださるのがすごくありがたかったです。「MASAKI、もっと音楽やったほうがいいよ」とも言ってくださって。
真田 グループって……あるじゃないですか。役者やってる人もいて、何々やってる人もいて、みたいな。IVVYの中で自分の存在意義ができてる人もいると思ってて。MASAKIからは「音楽やりたい」っていうのがすごく伝わってくるから、もっと詞とか曲を作ったほうがいいと思う。でも「自分なんて」みたいな瞬間があることもわかるんですよ。「言っていいのかな」「それがグループの足並みを乱す瞬間だったらどうしよう」とか。
──MASAKIさんとしては、ずっと作詞作曲をやりたいという気持ちがあったということですか。「世に出る曲は初めて」ということは、これまで世には出してないけど作り溜めている曲もあった?
MASAKI 歩いてるときとか、サウナ行ってるときとか、パッと思いついたらとりあえず携帯のメモに言葉を残すようにしていて。いつかのタイミングで使えるだろうなと思っていたので、それはずっとしてますね。またタイミングがあったら作詞作曲はどんどんチャレンジしていきたいです。そのときはまたさなぴーに相談させていただくかもしれないですけど。
真田 もちろん!
MASAKI 「作詞作曲のこともわからないことがあったら訊いて」とも言ってくださってるんですよ。ステージに立ってるとき以外の音楽力も上げていきたいなって、今回すごく感じました。
真田 それこそ俺も7ORDERになってから曲作りを始めたし、俺も劣等感タイプで、いまだにそういう気持ちはあるし。でも続けることが大事ですからね。
──MASAKIさんは10周年、真田さんは20周年という中で、この曲は「ここでは終わらない」「まだまだ走っていく」と歌ってるわけですけど、この先はどんな挑戦をしたいですか?僕は……めちゃくちゃ売れたいっていう。ひとりでも多くの人に自分の歌を届けたいということしかないかもしれないです(MASAKI)
MASAKI IVVYは新体制になって3年目なんですけど、僕ら3人が新メンバーとして入ってから、活動の幅も曲の幅もまた広がったと思うんです。だからまずこの7人で、一つひとつの目標に向かって進んでいきたいなという想いがあります。今“Runners”がリード曲のE.P.を引っ提げたツアーを回らせてもらっていて、それぞれアツい想いを持って挑んでいると思うので、まずは地方を経てファイナルの東京でどれだけみんなにぶつけれるかというところかなと思います。それを成功させて、地に足をつけてどんどんステージを上がっていきたいなと思いますね。
──メンバーそれぞれにアツい想いや悩みもある中で、MASAKIさん個人としては今どういう気持ちがいちばん大きいですか。
MASAKI 僕は……めちゃくちゃ売れたいっていう。ひとりでも多くの人に自分の歌を届けたい。正直、僕はそれしかないかもしれないです。「売れたい」というのは、自分の歌をひとりでも多くの人に聴いてほしいからっていう理由だけなんですけど。たくさんの人の前で歌いたいですし、時間とかお金を自分のために使ってくれた人たちに心を動かすものを与えたい。だから歌の言葉も一つひとつ大事にしてるつもりです。みんなの原動力になるような歌を届けていきたいなと思います。……うん、ひとりでも多くの人に届けたいです。
──その手段としても、MASAKIさんが作詞作曲した曲をもっと聴いてみたいなと私も思うし、きっとファンの人も思っているんじゃないかと思います。それこそライブで“Runners”を歌ってるときにグッときたという話もそうだけど、自分で書いた歌詞を歌ってる瞬間は感じるものも違うだろうし。
MASAKI いやあ、全然違いますね。自分の言葉でしゃべってるような感覚でしっかり歌えるというか。曲の主役や風景を思い浮かべるんじゃなくて、もう自分を思い浮かべればいい、というより、自分の人生を歌えばいいので。ファンの人たちも聴こえ方が違うと思うんですよね。今回自分の想いを詞でも伝えることができて、それはすごくいいなと改めて思ったので、そういうタイミングがあればやりたいですね。
──タイミングは「ある」ものじゃなくて「作る」ものでもありますからね。
真田 本当にそうだよ。
MASAKI やります!
──7ORDERも3月に独立という転機を迎えたところで。
真田 そうですね。僕らも走り続けてる途中だから。でも、この曲の歌詞は別にそこにリンクすることはないと思っていて。俺は今回、「提供した」という感覚があまりなくて、MVも撮らせてもらって、「人」をすごく見た気がしてます。一人ひとりの人生をしっかり見た感じがする。それが自分にとってありがたい学びだったし、人が美しいと思える瞬間をもっと作りたいって思えました。
──そもそも曲を書き下ろすことが決まったときに、作詞作曲編曲だけでなく、ギターも弾いて、MVも監督する人なんていないですよね。それは真田さんにしかできないことで。人や人生を描きたいという想いを根底に置きながら、メロディやギターの音色から歌詞、MVまで全部作っているからこそ、目を逸らせないような強さのある作品が生まれたのだなと思います。
真田 そういうことだと思います。MVも含めて1個のパッケージにして、自分が曲の中で思い描いた画や歌詞がリンクする瞬間がいっぱいあったので、いい曲になったなって思えるし。全部がいいほうへ動いてくれたなって思います。これまでにはなかったような曲ができて、最初に思ってたコンセプトにハマった感じがします。
MASAKI 今までにない曲で、IVVYとして新しい顔を見せられたというのもありますし、「意外とバンド曲が合うじゃん」って思われる可能性もあると思うんです。僕も、みんなの声が乗る前は「どういう感じになるんだろう?」と思ってたんですけど、意外にみんなの声が合うなって思ったし、これがIVVYの新しい武器になるかもしれないと思いました。真田さんに書いてもらった意味をすごく感じる曲になったので、大事に歌ってパフォーマンスしていきたいです。
ヘアメイク=やすす