──ポップなこともやる。そこが肝要ですよね。現場叩き上げ!みたいになると、価値観が固まる場合も多い中で。おちゃらけるスタイルだけど、でも音楽を聴いたらレベル高いことやってるよねって。やると決めたらどれだけ楽しませられるか、自分で正解にするしかない
本当にそう。でも、俺もそのタイプの面もあって、HIP-HOPのかったい考えとの戦いはずっとありましたけど、ありがたいのは……なんだろ? 普通のラッパーがやってたらシャバいことも、僕がやると受け入れられちゃったりとか……やっぱり見栄張ってないからかな。めちゃくちゃおちゃらけるスタイルで、こいつダセエよって言うのも野暮ってくらい。でも音楽を聴いたらレベル高いことやってるよねって。やると決めたらどれだけ楽しませられるか、自分で正解にするしかないというマインドがついてきた気がしますね。
──ここまで聞いた内容も、これまでの作品で感じた印象もすべて集約されたのがEP『絶』だと思います。
うん。曲に関してもずっと同じスタイルでやってる気はしますね。ディスコやダンスミュージックみたいなものを中心に幅広く、ルーツにあるブーンバップのビートでもラップしてるし。
──メジャーデビュー一発目としてどういう作品にしようと思いました?
正直、自分のドラマは必要ないなって。過去の自分ではなく、パッと初めて聴いてもらった時に、「人柄が楽しそうだし、こっから先のこいつが気になるな」って思ってもらえるような、外面いいところだけ見せれたらなとは思っていて(笑)。だから初めにおっしゃっていただいたこと、すごく嬉しかったんです。弱みを出して自分を助けるリリックはないかも。ほんまにアトラクションとして楽しんで聴いてほしい。
──ああ、これはアトラクションですね。そこに『絶』というタイトルをつけ、各曲のタイトルにも「絶」の字を入れたのは発想だったんですか?
Zeppツアーのタイトルを、深く考えずに『(Zepp=)絶って読ませましょうよ』『俺って絶っぽくないですか?』みたいな(笑)。絶って攻撃的な表現というか、強めじゃないですか?
──《絶倫》とかね。
まさに。目次みたいに『絶』をめっちゃちりばめた”Ahhhhhhh! -絶叫-”を最初に書いて、「じゃあサブタイトルも全部、絶系にしてみるか」って言ったのが、もう苦悩の始まりでした。ヤバいっすもん……だって、“スパンコールじいちゃん -輝絶-”ですよ?
──好きですけどね(笑)。
ありきたりなものしか浮かばずに悩んでたら、雲の上からじいちゃんが降ってきた。それでワクワクしちゃったんで、止まらず行っちゃいました(笑)。
──なんというか、こういう80年代由来のキラキラした音楽ってちょっと嘘っぽいところがあるじゃないですか。
すげえわかります。いいんですよねえ、嘘くせえ感じでテヘペロってやりつつ、実は本気でやってるみたいな。これもニュージャックスウィングとは言い難いんですけど、プロデューサーさんにもあえて「そんなに本場っぽくはしないでくれ」と頼んで、安っぽい音使いにしてたり。
──でも、ひょっとして将来の自分なのかな?と感じる曲でもあって。
まさにそうです。将来こうなりたいって言ったらあれですけど、こういうジジイでもええなと思って書いたんです。そういう意味では“超 Super Star”と書き方は一緒だったんですよ。これ本当、歌詞はいちばんエモくて。スパンコールじいちゃんは街の迷惑ジジイだけど、《「ワシも昔はすごかったのに」》《かつて競った一流アーティスト/は皆お空でアフターパーティ》で、ダイヤの額縁に嫁さんの遺影を飾っていたり。大事にしていた人たちはみんな、この曲ではお空の上に行っちゃってる。
──取り残されたジジイですよね。
そんなジジイが明け方の街で爆音流して、《シェキナベイビー!》って歌ってると考えるとエモいというか、人生を感じますよね。いちばん真面目な曲かもしれない(笑)。
──おふざけと真面目が共存できてるって、素晴らしいと思うんですよ。全曲そうかもしれないけど。
ありがたいです。そのバランスはめちゃくちゃ考えてますね。パンツ一丁で宙吊りにされるたった5分を、本気の2時間ライブでバランスとる、みたいな。実力ない奴がふざけてたらサムいから、そういう意味ではふざけるために真面目に頑張ってるというか。
──リード曲の“Shangri-La -絶景-”。Shin Sakiuraさんと制作されていて。
Shinさんとは昔からで。名刺代わりの“超 Super Star”もそうですけど、Shinさんとやりましょうっていう話し合いもしないぐらいマストで入ってくださってます。これを作ってる時に(Shin Sakiuraが共作したアイナ・ジ・エンドの)“革命道中”がドバーンといって、改めてすごさを感じましたね。さっき過去の自分のことはあまり喋ってないとは言ったんですけど、この曲はもしかしたらメジャーに行く気持ちが出ちゃってるかもなって。メジャーから曲を出すのは、シャングリラ=架空の理想郷に向かっていく気分だなと思っていて、見える景色も、たぶん自分も変わっていく。セルアウトって言われることが怖いアーティストは多いと思うんですけど、別に僕なんかもう、セルの中もセルの外みたいな立ち回りをしてきて(笑)。とはいえ、やっぱり昔のほうがよかったって言われることはあると思うんです。変わりゆく自分に降りかかるヘイトも増えるんだろうけど、そんなの気にせず行くとこまで行くしかないよねっていう心持ちをちゃんと言えてんなって思いますね。
──間違いなく節目のタイミングなので、先への展望も聞いておきたいです。「超スーパースターと言えば?」ってChatGPTに聞いたら「それはSKRYUです」って返ってくるまでいけたらいいなって。その胡散臭さも込みで(笑)
最近は「ああ、なんか音楽として認めてもらえてるわ」っていう手応えと嬉しさがあるし、ルーツはHIP-HOPだけど、ジャンルとかを取っ払ってポップスもロックもすべてを唸らせられる音楽とライブでアタックしようと思っていて。だから、尖ったり凝り固まった考えはどんどん柔らかくなって、前はサムいなって思ってた人に対しても、どんどんすごいなと思うようになってきました。あと、これは本気のギャグで言ってるんですけど、俺を知らない奴を抹消していくっていう(笑)。高いところで目立ちたがってるマインドなんですけど、ほんまにめっちゃ人気者になりたいっすね。
──誰もが知ってる超スーパースターに。
「超スーパースターと言えば?」ってChatGPTに聞いたら「それはSKRYUです」って返ってくるまでいけたらいいなって。その胡散臭さも込みで……なんか、わかります?
──はいはい。
「超スーパースターって誰?」って言われて本当のスーパースターは言いにくいけど、あいつなら自分で言ってるし、あいつでいいんじゃない?みたいな(笑)。まずはそこまで行きたい。
──半ば「偽物かも?」と思われてるけど、みんな知ってる存在。
そうそうそう! スパンコール纏ってキラキラはしてるけども、あいつ歯並びガチャガチャだしナヨナヨしてるし、三茶でめっちゃ飲んでるけどなぁみたいな(笑)。
ヘア&メイク=Yumi J
スタイリング=金光英行(CEKAI)
SKRYUのインタビューは、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』4月号にも掲載!