【インタビュー】ずっと真夜中でいいのに。独占取材! 謎に包まれた未知なる存在・ACAねとの対話で解き明かす、その実像と新作『形藻土』のすべて

【インタビュー】ずっと真夜中でいいのに。独占取材! 謎に包まれた未知なる存在・ACAねとの対話で解き明かす、その実像と新作『形藻土』のすべて

幼少期の記憶で覚えてることって、たいていちょっと嫌なことで、シューゲイズで。それをちゃんと記録して「みんなもこの感じ、あったのかな?」って聞きたい

そんな“メディアノーチェ”からの“TAIDADA”。アルバム全体でリマスタリングしてますが、さらにリズムが気持ちいい“TAIDADA”になってると思いますね。自分を奮い立たせる、蘇らせる鼓舞ソングで。“蟹しゃぶ(ふぁんく)”は……アルバムの中でも大事。これは、歌の録音は、リボンマイク。詳しく言うと、RCA BK-11A 60’sっていうリボンマイクを使っていて。水の底で浸かっている質感にしたくて。歌ってても聴いてても質感がすごい心地よくてアガりますね。あと、オケRECのときに、新聞紙を団子みたいに丸めて、それをドラムに投げつけて。

──(笑)。

音を録るのを混ぜ込んでいて。アウトロのファンク部分のアクセントになってるんですけど。砂ガニとかが団子を作ったりするからやってみようよってドラムの神谷(洵平)さんと話して、投げながら録音していました。“微熱魔”のドラムンベースも、より歌と合わさって感じられるように煮詰めています。“クリームで会いにいけますか(Disco Re-Edit)”も、元の曲のバランスを変えてみたり差し引きして、踊り忘れずなDisco Re-Edit仕立ててみてます。ベースとスネアとクラップがすごい好きなんですけど、歌のうねりの関係性が心地よくて。これもレコードにして流したいって思う感じのバランスですね。“またね幻”(Live in Studio_80光年先の君へ)は、前回の『コズミックどろ団子ツアー』で、アコースティックでコズミックの編成でやった“またね幻”をちゃんと記録しておきたくて。フリーテンポで「せーの」でみんなで録音できたのも、あのときの生身の熱が宿っているものをそのまま封じ込めたいから。幻を封じ込めて、その先、80光年先にいる星の人にもちゃんと届くように形にできたなって思ってますね “シェード(の埃は延長)”もやっぱり、ぬるい記録にいつまでも自問自答を続けてしまうけど、その時間の経過、埃が溜まっていくのを温もりだと信じたいなっていう。 “形”は、《しみになるの/私の涙を吸うTシャツ》とか、時間が経って染みになったり古びたものにときめきを感じるんですよね。この緊張感からの“ultra魂”っていう(笑)。小学生の頃から見よう見まねで初めて操作した機械がラジカセで、自分で好きな曲をカセットテープに録音して車で流すっていうのが楽しくて。“ultra魂”でも、ラジカセでテープに録音して、実際にボタンを押す音も録って入れているんですよ。日々、何かと比べがちだけど、特に今は、いい部分しかみんな投稿してないだけで、特別魂のオンリーワンを今も大切にしていいんだよって言いたいです。この流れで情緒不安定でアップダウンが激しい“不死身の訓練”が来るのも、すごくかっこよくて。心の治安の悪さは平常で、自分の中での JKヤンキー魂を宿している曲を作りたかった。アツくなれるもの──熱のほうの熱くなれるものと、厚みのほうの分厚くなれるものに飢えてる、探してる曲ですね。


“海馬成長痛”は、リズムで最近意識してるのが早めブラック──リズムが前ノリと後拍がせめぎ合ってるリズムのズレ感とかが癖になるような曲。さっき話した、ぼーっとスクロールしてたら一日終わっちゃうっていう、自分にとって本来必要じゃない情報に費やされちゃう、必要な情報が埋もれていく、でも自分の出番にコソコソ備えていく曲です。どこか、そういう自分への怒りとか葛藤みたいな、心の治安の悪さが、この“不死身の訓練”から“海馬成長痛”の流れにも見え隠れしているのかなあって思ったり。“アンチモン”は、また違うダンス曲だけど、スンっていうリズム──情緒だよなって思ってたけど、スンってするときもあるし。アルバムができあがっていく中で、ハウス曲を間に忍ばせたくなって。これはフリスクパーカッションが気に入っているんで、それを入れてみたりとか。認識できない程度にローのズドンっていう音が入っているんですけど、それはウォータードラムで、自分で入れてみたりしていて。ハンドパンっていう楽器をライブでも使ってるんですけど、さり気なく頭に入れてみたりしていますね。 “アンチモン”っていうのは、自分で種を作ってほかの金属の種も刺激したり、自ら秩序を作る。スターレグルス──星状のレグルスが、種が規則正しく与えたときに成功の印となるっていうニュートンの錬金術をヒントにしているんですけど。星が最も規則正しく永続的で。自然は死んだ機械ではないっていうか。“アンチモン”の原子番号が51なんですけど、《starless》っていうフレーズを51個にしてみたり実はしています。 “よもすがら”は、これも80年代のサウンド、テクノ、シンセ音色とか、クラフトワークとか、ニューウェイブ。“メディアノーチェ”も、ベースの感じとか DEVOに影響を受けたりしてますけど、“よもすがら”もその時代のテンション感や、シンセ音や、歌のメロディを意識していたり。なんか心、魂を穏やかに鎮められる世界線があるのかとか、嘘で取り繕われた慈愛の歪曲と、でもいつか前向きに手放すってことを手掛かりに作り進めてました。“クズリ念(Live in Studio_温蔵庫)”も“またね幻”を録ったときと同じ、歴史深いアバコスタジオってところで録っていて。アバコスタジオの冷蔵庫を歌ブースに持ち込んで開け閉めの音も、ノイズ感とかも敢えて録音していて。ワンルームの小さいところでポツンと《孤独じゃなきゃ眠れない》って歌いたくて、各々の孤独と向き合って戦っていることで、支え合っているメンバーと鳴らせているから、ちゃんとひとりでいられる。その空間とか空気感を録った録音にしていますね。でも暗くはしたくなくって、歌い方も自分の中にある小学生のままを温蔵庫に閉じ込めたいと意識しました。この終盤で“嘘じゃない”が来ると泣けるんですよ、はああ……って。 “噓じゃない”を作るまで1年ぐらい、ライブをしていたので、曲を作ってはいたけど出せてはいない状況で。“噓じゃない”から、わりと常に曲を出し続けているので、その分岐点になっている曲ですね。で、“lowmotion algae”が結構、アルバムを象徴する曲になってますね。

──というか、この一曲でアルバム一枚分ぐらいの濃度がある感じがします。

(笑)いやあ、ほんとそうですよね。これは、なんかノイズ混じりの走馬灯の夢を見ることがあって。幼少期の記憶で覚えてることって、たいていちょっと嫌なことで、シューゲイズで。3歳ぐらいの夏から、思春期の高校生とかの夏を、小さい場所から覗いているような。聴いたあとにまた、今の世界線で日常を送ろうって思えるようなものにしてみたくて。なんか嫌なことって時間が経つと通り過ぎていくし、考えないように、違うことで埋め尽くすことがだんだんできてくるけれど、そこに恐怖もあって。脆いけど強い、嫌な記憶をちゃんと記録して「みんなもこの感じ、あったのかな?」って聞きたい。記憶とか化石、走馬灯を巡っているような、そんな曲です。

【インタビュー】ずっと真夜中でいいのに。独占取材! 謎に包まれた未知なる存在・ACAねとの対話で解き明かす、その実像と新作『形藻土』のすべて

辛いこととか、孤独とかを肯定してなくても、それ自体が…………経験値上げの奥行きになるから。いいことだよねとは片付けられないけど、そういう話をしたい

──この“lowmotion algae”は、懐かしいけど聴いたことない音楽で、自由な構成の中に孤独な時間のありのままが詰まっていて。でもポジティブな感じがする。

それは意識してますね。最終的に、また今日も一日生活を送ってみるか、って、私自身も思いたいし。それまでのちょっと嫌な記憶とかも共有し合えたら、それ自体を経験してよかったって思えることになるから、むしろ感謝っていう。実際にちょっと嫌だなとか、人との関わりでうまくいかないことに直面してるときって、なんか見えてる世界がすべてで、時間が経てば風化してくかもしれないけど、今、まさに辛いじゃないですか。そういう人の救いになるには、そこと自分が向き合わないといけないなって思ったんですよね。

──だから、ありのままの自分の歴史を力強く肯定している曲という感じがします。

そうかもしれないですね。でも、辛いこととか、孤独とかを肯定してなくても、それ自体が…………経験値上げの奥行きになるから……いいことだよねとは片付けられないけれど、そういう話をしたい。

──この歌詞で、それがすごくはっきり歌われている気がするんですね。《あまりにも 無力で/ちっぽけで いられて ありがとう/この寂しさだけは 健やかに/認めてあげるんだ》って。ずとまよには、曖昧だからこそ近づける歌詞も多いけど、これは曖昧じゃなく、すごくはっきりと歌われている。こうやってはっきり書いてくれたことによって、それが生きてく糧になるっていう人が確実にいる感じがします。

ああ、そう言っていただけてよかったです。ひとりで合唱しているような。同じように感じてる人の背中を押せる何かになっていたら、安心できますね。あと、褒めてもらえたら嬉しいっていう、単純な理由で作ってる部分もありますね。

──このアルバムを作るにあたっては、今までよりも聴いてる人の深いところに刺さりたい、入り込みたい気持ちもあったんですか?

んー、根本的なところで握手する方法が、今はこの形だったんだと思います。あと、こういう走馬灯みたいな幼少期を、どんなふうに感じて過ごしてきたのかを聞きたいから。こっちが先に投げてみてて。その返答を待ってる、みたいなのもあるかもしれないです。

ヘア&メイク=AOKI スタイリング=ACAね

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