FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch

FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - locofranklocofrank
2011年にスタートしたlocofrank主催のパンク・フェスティバル『FOUR SEASONS FESTIVAL』(以下、『FSF』)。前回(2013年2月)は初の2デイズ開催を実施、3度目を迎える今回はロコの地元・大阪に加え仙台(5月18日@仙台RENSA)でも開催と、毎回キッズ垂涎のラインナップを打ち出し、着実にスケールアップを果たしてきたDIY精神溢れるイベントだ。ここでは1,800人ものキッズが熱狂した大阪なんばHatch公演をダイジェストでレポートしたい――。
FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - ROTTENGRAFFTYROTTENGRAFFTY
見事な五月晴れに恵まれたゴールデンウィーク最終日。定刻の午後3時を迎えると、メインとなるSUMMER STAGEにlocofrank・木下正行が登場。出演アクトを一組ずつ紹介すると共に「楽しむ用意はできてますか? アー・ユー・レディー!?」とオーディエンスを焚きつけ、呼び込まれた「古都のドブネズミ」ことROTTENGRAFFTYが“This World”など重量級ナンバー連続投下でいきなりHatchをレッドゾーンに叩き込む。「俺たちがROTTENGRAFFTYだ! 初っ端からブッ飛ばして行こうぜ!」(NOBUYA)、「やりたいように、やっちまえ!!」(N∀OKI)と2MCがステージを縦横に練り歩き、ギターKAZUOMIも客席に真っ向ダイヴ。「ライヴの爆発力、スゴいよ」というロコ木下の言葉どおりの、怒涛のアクトが何しろ圧倒的だ。MCでは盟友ロコへの感謝を届け(「最初は苦手やった」との告白も…笑)、終盤も「ラスト2曲、飛ばしていこかオオサカ!? ナニワ魂見せてくれよ!」と、“銀色スターリー”“金色グラフティー”の強烈コンボで一気に絶頂へ! 十分すぎるほどフロアを過熱してトップバッターとしての責務を果たしたロットンだった。
FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - THINK AGAINTHINK AGAIN
FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - YELLOW MONSTERSYELLOW MONSTERS
FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - 片平里菜片平里菜
FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - 3style3style
ロットンがステージを去る頃、階下のWINTER STAGEなるサブステージでは東京ハードコアシーンの暴れ馬・THINK AGAINがメタリックな高速ビートと闘争心を滾らせて疾走! そう、今回の『FSF』大阪はイベント初の試みとなる2ステージ制を導入し、THINK AGAINの後には(出演順に)YELLOW MONSTERS、片平里菜、3styleが代わる代わる登場。盟友・韓国のイエモンことYELLOW MONSTERSは、あらゆるボーダーを越える熱烈なメロディック・パンクで場内をひとつに繋ぎ、この日の紅一点アクト=片平里菜は、スウィートでありながら芯の強さを感じさせるハイトーン・ヴォイスで誰しもを魅了。そして773Four Recordsの若頭・3styleは「コケたら次はない」(ロコ森勇介)という先輩からのプレッシャーを物ともしない(若干ビビってたけれど。笑)、烈火のごときパフォーマンスでダイヴァーを量産――と、それぞれ25分という長くはない持ち時間ながら精いっぱいのアクトを繰り広げ、メインステージに負けず劣らずの熱狂を生み出したのだった。
FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - ASPARAGUS ASPARAGUS
再びメインのSUMMER STAGEに話を戻そう。2番手となるASPARAGUSは、「オーケー、ヒア・ウィー・ゴー! 俺がヒア・ウィー・ゴー!」(渡邊忍)と冒頭“WANDER AROUND”からハイテンション&ハイスペックなアンサンブルで場内の熱は急上昇。ゴールデンウィークの渋滞を見越して夜走りで大阪入りしたという3人だが、そんな疲れを微塵も感じさせない鉄壁のアンサンブル――イチセの自在なドラミング、ナオウの踊るようなベースライン、そしてシノッピの切れ味鋭いギタープレイ――を響かせる。MCでも、「今日は(時間が)押しちゃダメだから。カラオケみたいに『すぐ出ますから! すぐすぐすぐ!!』って言ってもダメだから(笑)」(シノッピ)と客席沸騰。そのステージがいかに心躍るものだったかは、諸手を突き上げて歌い踊るフロアの光景が何より物語っていた。
FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - the 原爆オナニーズthe 原爆オナニーズ
午後5時10分には「ウィー・アー・原爆オナニーズ!」と、30年以上のキャリアを誇るこの国のハードコア・レジェンド、the原爆オナニーズがオンステージ! “GO GO 枯葉作戦”からTAYLOWはコードを持ってマイクをブンブン振り回して熱烈なパフォーマンスを繰り広げる。“なんにもない”“発狂目覚ましくるくる爆弾”など代表曲を惜しみなく投下し、TAYLOWの先導で幾度もモッシュピットが発生。パワーだけに頼らない、しなやかにうねるグルーヴは今時のハードコアバンドとは明らかに質が異なっていて、心地よく洗脳されるような陶酔感が格別だった。フロアにマイクスタンドを突き刺すように合唱を煽り、オーディエンス一人ひとりを指さして真っ向からコミットするステージングにはフロアもコブシを掲げて応戦。彼らにあまり馴染みのない若いキッズも多かっただろうけど、先人たちが育んできたパンクロックの意志とヒストリーを丸ごと受け継ごうとする、locofrankならではのナイスブッキングだったと思う。
FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - Fear, and Loathing in Las VegasFear, and Loathing in Las Vegas
続く「ラスベガス」ことFear, and Loathing in Las Vegasは、登場するなりお立ち台で客席を煽りまくり、目も眩むようなフラッシュライトのもとオープニング曲“Acceleration”から躍動的かつダイナミックなパフォーマンスで猛攻。メンバー全員がアジテーターと化したようにステージ狭しと駆け回って、続けざまに“Scream Hard as You Can”“In the End, the Choice is All Yours”と畳み掛ければ、もう盆と正月とゴールデンウィークがまとめてやって来たような目くるめく狂騒感が場内を席巻する。フロア一面が一斉にバウンスする様は、圧巻のひと言だった。とっくに絶頂に達しながらも、「大阪のみなさん、行けますか!? もう一段テンション上げていくから!」(Sxun)とバンドは終盤に向けてさらにスパート。雨後の筍のごとく後から後からダイヴァーが押し寄せ、その熱量/運動量/情報量過剰なアクトは最後までピークを刻み続けたのだった。
FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - Ken YokoyamaKen Yokoyama
フルハウスのキッズが待ち受けるなか、午後7時20分にはKen Yokoyamaが登場。東北ライブハウス大作戦の旗を掲げて、「locofrankのファンでこれ知らない人いないでしょ? 勝手にテーマソング!」と“Let The Beat Carry On”を高らかに響かせながら、Kenはマイクスタンドをステージ前ぎりぎりにまで持ち出して熱唱する。何か焦燥感のようなものに突き動かされるように、遂にはポーンとマイクをフロアへ投げ入れて熱狂と一体感は急上昇。ほろ酔い加減のJun Gray(B)をイジったり、「いつものKEN BANDのライヴより、若くて可愛い子多いなあ(笑)」とジョークを飛ばしたり、“Popcorn Love”でFUNなムードを広げながらも、なりふり構わぬ熱血的パフォーマンスで真っ向からキッズに立ち向かっていくKEN。汗まみれの笑顔で、気持ちを剥き出しにして交歓する両者を見ていると、なんだか無性に胸が熱くなってしまった。「俺ひとり歌ってんの寂しくてさ、みんなで歌ってくれよ!」とステージ上のマイクを次々に投げ入れて絶頂へと駆け上がり、ラストの“Believer”ではKenの5カウントから場内一丸のシンガロングが勃発。最高潮のムードのなか主催者にバトンを継いだ。
FOUR SEASONS FESTIVAL'14@なんばHatch - locofranklocofrank
時刻は午後8時20分。万雷のクラップのなか、いよいよlocofrankが登場! 東北ライヴハウス大作戦の前掛け姿の木下が「最後やぞ! もう終わるぞ! 行けるとこまで行くぞー!!」と檄を飛ばし、“survive”“Mountain range”“Before It’s Too Late”と冒頭からフルスロットルでブッ飛ばすロコ。この錚々たるメンツの後で最後にステージに立つその重責たるや、想像するだけでも吐き気のする思いだが、3人は文字どおり全身全霊のパフォーマンスで沸き立つような熱狂を立ち上げてみせる。ペース配分上等のエモーショナルな熱演でありながら、一音一音のトーンにも気を配る丁寧な演奏は実に堂々たるもので、15年以上メンバーチェンジもなくストイックに突き進んできた彼らの自信と自負がありありと伝わってくるようだった。MCでは「散髪してパーマあてたら、陣内(智則)度が増した」と爆笑を誘いつつ、「俺ら3人、今年33(才)になります。だけど、まだまだ33。まっだまだlocofrankやりたいし、知らないことだらけよ。こうやって1,800人以上の人が来てくれて、みんなのお陰で最高の一日にできました。本当にありがとうございます!」と野心と感謝も届けて、本編ラストの“STARLIGHT”に至るころには、このうえない高揚感と多幸感が場内を満たしていた。

出演者たちが総出で見守るなか、「もう一回、火ぃ付けたるわ!!」とアンコールではロコ随一の必殺ナンバー“START”で再度絶頂へと駆け上がり、その後、木下はおもむろにベースとマイクスタンドを持ちだしてフロアへ。そのままラストナンバー“ONE”を取り囲んだキッズと共に熱唱する。ステージ上の森とTatsuyaも、この時ばかりは武装解除してフェスの祝祭感を目いっぱい味わうように笑顔でプレイ。最後は盛大な一本締めで『FSF』大阪は万感のフィナーレを迎えたのだった。「ここでもらったもんをちゃんと繋げるから、ぜひ見に来て!」と誓っていた来る5月18日の仙台公演でも、魂震わす熱演を見せてくれるはずだ。(奥村明裕)
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