NO NUKES 2014(3日目)@Zepp DiverCity

『NO NUKES 2014』の3日目=最終日は、二度目の出演となるBRAHMANと、三度目のACIDMANの対バン。
NO NUKES 2014(3日目)@Zepp DiverCity - all pics by TEPPEIall pics by TEPPEI
先攻はBRAHMAN。おなじみのSEと共に脱原発や反戦のメッセージが込められたイメージ映像がステージ後方のヴィジョンに映し出される中、TOSHI-LOW以外の3人が登場。“虚空ヲ掴ム”のイントロが始まり、TOSHI-LOWがのっしのっしとステージに現れ、歌い始める。場の空気を上げていくようなこのミドル・チューンが終わったところで、TOSHI-LOWがひとこと入れ(今日は「手放して、失わなければ、新しいものは手に入んねえ。失い続けることが、唯一の失わない方法。失いながら、もがき苦しみながら、それでも人生を楽しみながら、さあBRAHMAN、始めます!」だった)、2曲目“THE ONLY WAY”に突入──と、ここ数年のBRAHMANの王道のオープニングで、ライヴはスタートした。

01.虚空ヲ掴ム
02.THE ONLY WAY
03.賽の河原
04.THE VOID
05.DOUBLE-BLIND DOCUMENTS
06.SPECULATION
07.露命
08.BEYOND THE MOUNTAIN
09.SEE OFF
10.BASIS
11.新曲
12.FAR FROM...
13.遠国
14.警醒
15.鼎の問
16.初期衝動

NO NUKES 2014(3日目)@Zepp DiverCity
全16曲で、1時間をちょっと越えたか越えなかったかぐらい。ものすごいライヴだった。自分が観たBRAHMANのライヴがすごくなかったことなどない気もするが、にしてもこの日のステージは圧倒的な密度だった気がする。“DOUBLE-BLIND DOCUMENTS”と“SPECULATION”の連打を浴びながら、「このバンドでは普通のことだけどよく考えたら「リズムが3拍子のハードコア」って、ほかのバンドではありえないよな、ということに改めて気づいたり、“露命”の間奏終わりで「おぉ~っ!!」と雄叫びを上げ己の胸をドンドン叩くTOSHI-LOWの姿に、「野獣だ!」と慄然としたり、長年このバンドのライヴの鉄板曲であり続ける “BEYOND THE MOUNTAIN”と“SEE OFF”に「きたあ!」とテンション上がったり、11曲目に披露された新曲にじっと聴き入ったり(静かな3拍子の曲だった)、「国なんかなんにもしてくんねえ! 自分で目を覚ませ!」というTOSHI-LOWの叫びと共になだれこんだ“警醒”の音塊のすさまじさに圧倒されたりしているうちに、あっという間に残り2曲。
NO NUKES 2014(3日目)@Zepp DiverCity
坂本龍一と難波章浩と次にステージに立つACIDMAN大木をいじってフロアに爆笑を起こしたあと(しかしこの人の、いじっちゃいけない人や、いじっちゃいけないことを、いじって笑いにする腕前、すごいと思う)、改めて語り始めるTOSHI-LOW。人生の基準を決めるのは、「いい」とか「悪い」とかではない。何が「いい」で何が「悪い」かは、時代によって変わってしまうし、権力者に左右されてしまう。だから自分はそんなこと気にせずに、「楽しい」か「楽しくない」かで動いている──要約するとそのような話のあと、自分の、最近楽しかったことを言葉にしていく。南相馬市だったり、仮設住宅だったり、川内村(福島県双葉郡)だったりでの経験だ。
「原発事故、楽しくねえ。なのになんの補償もしない政府、楽しくねえ。NO NUKES、俺はこの楽しいイベントが、早くなくなることを願ってます。ありがとうございました」
という言葉に続いた“鼎の問”では、ヴィジョンに福島第一原発で働く男たちの写真と名前とコメントがひとりずつ映しだされ、その合間に、作業中の原発内部の写真や、原発付近の町や山や海の写真がはさまれていく。オーディエンスみんな、じいっとステージに集中している。
RONZIのライド・シンバル連打で始まったラスト・チューンは、最新アルバム『超克』のオープニングを飾る “初期衝動”。BRAHMANの音楽は、ライヴは、というか存在そのものは、常に「で、おまえはどうすんの?」ということを聴き手に突きつけてくる。震災前からそうだと思う。ライヴが終わって4人がステージを下りたあともしばらくの間、 TOSHI-LOWの「どこで無くした衝動」というシャウトが脳内でループしているような感覚に囚われた。

ステージ転換の間を使って、昨日と同じくドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて 第二部』のトレイラー映像(http://nuclearnation.jp/jp/part2/)がヴィジョンに映し出されたあと、SEの“最後の国(Introduction)”が鳴り響く中、ACIDMANが登場。
NO NUKES 2014(3日目)@Zepp DiverCity
大木がそっと「何を手に入れた?」と、歌い出す。“リピート”だ。音数の少ないバンドのアンサンブルも、大木のヴォーカルも、淡々と響く。さっきまでのBRAHMANとすごいギャップだが、それを狙ってこの曲で始めたこと、そしてそれが大成功だったことは、オーディエンスのステージへの集中力を見れば明らかだ。アンビエントな前半、音が厚く熱くなっていく後半、合わせて10分以上。BRAHMANでいうと4~5曲ぐらいの尺か。曲が終わり、大木の短いあいさつをはさんで2曲目は一転、ラウド&ファストな初期の名曲“造花が笑う”。その瞬間、フロアは爆発状態に。「うまいなあ」と、思わず唸ってしまった。

次の“アイソトープ”は、ギター・リフとオーディエンスのレスポンスのかけあいでスタート。ますますフロアの温度が上がる。曲終わりでサトマ、思わず「みんな熱いねえ、最高だー」とひとこと。続く4曲目は「静かな曲もあればラウドな曲もある」とか「アンビエントな曲もあればストレートな曲もある」ではなく「1曲の中にすべてがある」このバンドの特性がダイレクトに出た“FREE STAR”だった。

01.リピート
02.造花が笑う
03.アイソトープ
04.FREE STAR
05.赤橙
06.アルケミスト
07.EVERLIGHT
08.Stay in my hand
09.ある証明

(encore)
10.ALMA

NO NUKES 2014(3日目)@Zepp DiverCity
“FREE STAR”を歌い終えて、大木、ひとこと。
「MCしづらい空気に、あの人はしてくれましたねえ」
フロア、ドッと笑う。しかし、さっきいじられたことに対して絶妙な返しのセリフをキメて拍手を浴びたり、「こういうことを言ってるときれいごとって言われる。でも、2年前にも言ったけど、ミュージシャンがきれいごと言わないで誰が言うんだよ」という言葉にさらに歓声が起こったりしたあと、「福島の富岡町に年に1回行っています」という話を始める大木。インディー時代に一緒にやっていたスタッフが富岡町の人で、現在も避難生活をしているそうです。「その人とインディー時代に作った曲、聴いてください」と歌われたのは、“赤橙”だった。曲が終わってもドラムは止まらず、サトマがフロアにハンドクラップをうながし、そのまま“アルケミスト”へ。

NO NUKES 2014(3日目)@Zepp DiverCity
続いては「太陽光エネルギーを使ってレコーディングした曲があるんだけど。そしたらほんとに音がよくてびっくりした。ミュージシャンだからわかるんじゃなくて、みんなわかるくらい音がいいです。その楽曲を聴いてください」と、今年4月にリリースしたシングル“EVERLIGHT”をプレイ。そして大木が手を掲げてコールし、突入した“Stay in my hand”で、フロアはジャンプの嵐と化す。さらに、大木のギターが響き、イチゴのドラムがいっそうラウドに切り込み、サトマがフロアをあおってコールを巻き起こし、始まった本編ラスト・チューンは“ある証明”だった。間奏明けで大木は、「シャウト」というより「絶叫」と形容したくなる、ものすごい声を聴かせた。

アンコールは“ALMA”。「TOSHI-LOWさんなんて絶対元不良じゃん。なんで不良の言ってることのほうが正しいんだろう、といっつも思うんだよね。こんなイベント、早くなくなってほしいし」という言葉に続き、“ALMA”をどんな思いを込めて書いたのかを語り、「坂本さん、難波さんが元気になることを願って、“ALMA”、聴いてください」と、歌い始める。最後にもう一発どーんと盛り上がって終わり、というのとは正反対の、3日間のエンディングだった。で、最高のエンディングだった。

まさに“ALMA”もそうだが、3・11以前に書かれた曲なのに、今聴くとそれ以降に書かれたようにしか思えない曲が、この3日間でたくさんあった。全5アクト、すべてがライヴの現場で鍛えぬかれてきた人たちだったが、観ていてはっきりとわかるほど、「『NO NUKES』だから」ということを念頭に置いた上でステージに立っていた。そして、驚くほど、どのアクトもすばらしいライヴ・パフォーマンスをやった。そんな3日間だった。(兵庫慎司)

最新ブログ

フォローする