「一緒に戦おうな。ひとりじゃねぇぞ」……竹縄航太（Vo・G・Piano）が放ったその言葉で、決戦を目前にしたバンドとファンの絆が固く結ばれたのだったーー3月9日にシングル『MONSTER WORLD』でメジャーデビューを果たすHOWL BE QUIETが、デビュー前日の3月8日に渋谷CLUB QUATTROでワンマンライヴ「チャンス到来TOUR～決戦前夜編～」を開催した。インディーズ最後となるこの日のライヴは、メジャーという大海原へ飛び込む意気込みをひしと感じられた期待溢れるステージとなった。

会場が暗転し、ジャジーな音楽に乗ってメンバーが登場……と思いきや、ステージに映し出されたのはシックにまとめられたメンバー紹介映像！ そのクオリティーの高さに、ファンからは歓声が上がりっぱなし。そんなボルテージが急上昇した会場に、竹縄、黒木健志(G)、橋本佳紀(B)、岩野亨(Dr)の4人が現れると、「こんにちは、HOWL BE QUIETです！ 今日は最高の一日にしようね」という挨拶と共に“From Birdcage”の煌びやかなイントロが響いた。続く“PERFECT LOSER”では黒木と橋本はお立ち台の上から積極的にフロアを盛り上げ、竹縄はピアノの鍵盤に顔が付きそうなほどの迫真のプレイを繰り出した。

そして「今までの僕たちとこれからの僕たちを繋ぐ大事な一日です。今夜は最高で最大のエンターテインメントショーをお送りしたいと思いますので、最後まで楽しんでいってください」と節目となるこの日の重要性を改めて告げ、アルバム『DECEMBER』から“Merry”などを演奏。この流れから改めて感じられたのは、歌詞の持つ抜群の浸透力だ。一曲のなかで完結するストーリーが心にすっと入ってきて、情景描写が頭に浮かんでくる。歌詞の世界観を最大限に引き出しているメロディーの起伏や竹縄の感情のこもった歌い方が、聞く者の心をぐいと引きつけるのだ。辛いことは辛そうに、楽しいことは楽しそうに、感情的に奏で上げる4人の表現力には、音楽ライヴというより観劇に近いものを感じたし、前半では手を上げて盛り上がっていたファンたちが呼吸をすることすら忘れたように静かに聞き入っていた様子がとても印象的だった。そして続く“クローバー”では、竹縄がフロア中央にセットされた花道を歩きながら至近距離でファンとの交流を図り、会場は再度大きな盛り上がりを見せた。そんなエンターテイナーとしての力を持つ4人は、MCの掛け合いでも絶妙なトーク力を発揮。竹縄が最も気持ちよく歌っているところで岩野が茶々を入れてきたことを指摘・再現してみせて会場を大きく沸かせていた。

そして“ステレオライダー”からスタートした後半戦は、橋本のつま弾くベースラインと黒木の細やかなギターフレーズが大人っぽさを引き出す“有言不実行”へ繋げて、前半・中盤とは異なった雰囲気を演出した。そして不朽のバラード“A.I.”を終えるとメンバーは一旦ステージを去り、もともと着ていた白い衣装から、“MONSTER WORLD”のミュージックビデオで着用していたカラフルな衣装にお色直しして再登場！ 大シンガロングを巻き起こした“ライブオアライブ”から“Daily Darling”“レジスタンス”と最新シングル収録曲を堂々披露し、「最後に相応しい曲を」と演奏されたのは、過去と未来を繋ぐ渾身の曲“MONSTER WORLD”！ 「一緒に戦おうな。ひとりじゃねぇぞ」という竹縄の激励の言葉と共に、曲中で銀テープが発射！ さらに照明がブラックライトに変わりメンバーのカラフルなペンキを塗られたような衣装が浮き上がって見えるなど、最後の最後までサプライズたっぷりのステージングとなった。

そして熱望されたアンコールでもそのサプライズは続く。青いスーツに身を包んだ竹縄と黒木によるアイドルユニット・タッケー＆剣士が登場！ これにはファンも大喜びで、途中で許可された撮影タイムではシャッター音が鳴り止まなかった。そんなふたりが花道に腰かけて演奏したのは、SMAPの“オレンジ”。竹縄の哀愁ある声と黒木のアコギのメロディーが抜群に映える素晴らしい選曲だった。そして橋本と岩野による物販紹介を経て、バンド編成でラストに演奏されたのは“孤独の発明”。竹縄は「俺たちはみんなの大本命になりたいんです、あなたの一番を奪いたい。根本は何も変わらないから、これからもよろしくね」と告げた。はち切れんばかりの大歓声と拍手に見送られ、4人は決戦の日に向けステージを後にした。(峯岸利恵)

●セットリスト

01. From Birdcage
02. PERFECT LOSER
03. 千年孤独の賜物
04. クローバー
05. Merry
06. バトルナイフ
07. ステレオライダー
08. 有言不実行
09. A.I.
10. ライブオアライブ
11. Daily Darling
12. レジスタンス
13. MONSTER WORLD
（encore）
14. オレンジ(タッケー＆剣士／SMAPカヴァー)
15. 孤独の発明