CSS @ 恵比寿リキッドルーム

CSS @ 恵比寿リキッドルーム - CSSCSS
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今夏、2年ぶり、通算2作目のアルバム『ドンキー』を発売したブラジル発のディスコ・パンク・バンド、CSS。新作発売後初の日本ツアー、東京会場は2公演ともチケットがソールド・アウトしており、場内は超満員。ステージ上でふわふわゆれる風船達が、開演を待っている間もワクワク感を高めてくれる。

まだ大阪公演と横浜公演が残っているので、詳細は書けないけど、ラヴフォックスの変装には、場内唖然、そして沸騰。でも彼女達のことだから、今後の公演では意表を突いて、ほんと普通に登場するかもしれないけど…。

オープニングの“Jager Yoga”からラストまで、場内の温度は高いまま。お菓子をぶぁーっと客席に投げたり、アンコールでまた違う衣装で登場したりと、サプライズ満載。日本で(というか多分東急ハンズで)調達したと思われるグッズをふんだんに活用していて、この日本での滞在時間をキャッキャとエンジョイしているんだろうな、と思わせるところがなんともほほえましい。日本文化のしゃぶりつくし方ひとつとっても、日本人目線からすると、正直嫌味っぽく感じられる海外アーティストもいるけれど、この無邪気さは狙って出せるものじゃない。本当に得難いキャラの持ち主たちなのだ。

新作からの楽曲にも歓声があがり、フロアが揺れて、オーディエンスにかなり聴きこまれていることが感じられる。楽曲がiPodやキューピー・ハーフのCMなどに起用されていたこともあってか、幅広いファン層をもつバンドである。それだけに、言い方は悪いかもしれないけど、CM曲人気だけが先行しているとも思われがちだ。でも、愛情をもってアルバム単位でじっくり向き合ってくれるリスナーをちゃんと獲得してきている。そのことをフロアの盛り上がりは何よりも証明していたし、またバンドもそうしたファンの期待に応えるような2ndを世に送り出せたということだろう。

CSSの魅力は何といっても「理屈抜きで楽しんだもん勝ち」なところにあるけれど、インタビューなどによれば、2ndは彼女達にとって「楽しんだもん勝ち」のこの“バンド”をどうプロとして継続させていくか、という課題に真摯に向き合った結果産み落とされたものだ。2ndの楽曲は1stよりぐっとバンド・サウンド色が強くとてもライブ映えしていたけど、そうした意匠もこれまでのツアーなんかの手ごたえが反映された結果だろう。

ベースやギターの音に、粘りとコシが出ていて、初来日ステージ(06年のカサビアンのフロント・アクト)のときのペタペタ演奏と思うと、飛躍的にグルーヴィになってきている。“演奏”そのもので踊らせてくれるようなバンドに進化してきているところが頼もしい。キャラ的に期待されているポップさやキッチュさはそのままに、磨くべきところは磨き上げていってる。お気楽&天然児にみえて自分達を相対化して進化させていく力はかなりのもの。3rdアルバムがどうなるのか本当に楽しみ。(森田美喜子)

1.JAGER YOGA
2.MEETING PARIS HILTON
3.THIS MONTH.DAY 10
4.LEFT BEHIND
5.OFF THE HOOK
6.RAT IS DEAD(RAGE)
7.MOVE
8.MUSIC IS MY HOT,HOT SEX
9.GIVE UP
10.BEAUTIFUL SONG
11.ALCOHOL
12.JAMAICAN FLAG

アンコール
13.AIR PAINTER
14.LET\'S MAKE LOVE AND LISTEN TO DEATH FROM ABOVE
15.ALALA
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