ブラッド・レッド・シューズ/ザ・キルズ @ 渋谷O-EAST

ブラッド・レッド・シューズ/ザ・キルズ @ 渋谷O-EAST - Blood Red ShoesBlood Red Shoes
ブラッド・レッド・シューズ/ザ・キルズ @ 渋谷O-EAST - Blood Red ShoesBlood Red Shoes
ブラッド・レッド・シューズ/ザ・キルズ @ 渋谷O-EAST - The Kills The Kills
ブラッド・レッド・シューズ/ザ・キルズ @ 渋谷O-EAST - The KillsThe Kills
人気男女デュオ2組によるカップリング公演ということで、場内もほぼ満員。両バンドともすさまじい熱量を放つパフォーマンスをみせ、その魅力が存分に楽しめる一夜となった。

トップを飾ったのは、UKはブライトン発のベースレス・デュオ=ブラッド・レッド・シューズ。07年11月に日本限定EP『アイル・ビー・ユア・アイズ』で日本デビューを果たし、今年3月に1stアルバム『ボックス・オブ・シューズ』を発表。昨年12月のブリティッシュ・アンセムズで初来日ステージが実現、続いて3月に単独公演、そしてサマーソニック08と、これまで3度来日している。ライブの評判が良く、そのたびに着実にファンを増やしていると言っても過言ではないだろう。

まず、そのライブを初めて観る人は、ローラ(Vo/G)とスティーヴン(Dr/Vo)、両人の可憐なルックスと、演奏の力強さのギャップにやられてしまうのではないだろうか。とくにスティーヴンのドラムさばきは、的確かつパワフル。ローラも飄々とギターをかき鳴らし、絶唱。シンプルなギター・リフと歌詞の反復で、フロアを高揚させていく。2人の芯のしっかりした歌声の掛け合いとユニゾンも、迫力満点。アートワークなどで、女の子(ローラ)優位のSMチックな主従関係性を暗示する、何かと妄想が膨らむ仕掛けをふりまいている彼らだけに、そうした伏線も含めて楽しんできたリスナー(自分も)にとっては、ところどころで“萌え〜”ポイントがあるところも、ライブの醍醐味だったりする。実際のパフォーマンスでは、ドラムのスティーヴンが完全にリードしているところが、またなんとも味わい深かったりして。それはともかく、今回は新曲も3曲ほど披露してくれたが、基本的に現在の路線の延長上。デビュー時にすでに独自の世界観が確立されていたバンドだけに、その枠をどう広げていくのか、今後の展開が楽しみなところだ。

続いてのザ・キルズが登場する頃には1Fフロアの人口密度がさらに上昇。ちなみに、やや男性率高め。03年のアルバム・デビュー以来、着実にキャリアを積み上げてきた彼らだが、昨年夏以降のジェイミー“ホテル”ヒンスとケイト・モスとの熱愛報道が女性誌などでもバンバン取り上げられており、ロック・ファン以外の層への認知度が変な形で高まりつつある。しかし、ザ・キルズは、そうした騒動を完全に外野へ隔離し、進化的新作『ミッドナイト・ブーム』を作り上げ、しっかりした根幹のあるバンドであることを証明してみせた。今夏のサマーソニック、東京会場では残念ながら、当日機材トラブルのためステージが中止になってしまっただけに、とくに東京のファンにとっては待望の日本ツアーとなる。

ホテルは黒っぽいスーツにストールを巻いて、ヴィヴィは超ミニのワンピースにヒョウ柄のジャケットを羽織って登場。立ってるだけでサマになる2人だけど、パフォーマンス中の所作がこれまたいちいちかっこいい。ヴィヴィのマイクスタンドのあしらい方ひとつとっても、実にドラマチック。03年の初来日ステージから何度かライブを観ているけど、最初はやっぱりここまでこなれてなかった。

テクニックに長けたバンドではないが、ソリッドな演奏をものにしてきている。アート性の強いパンク・バンドは数あれど、キャリアとともにその理想形と内実のギャップを地道に埋めてきているバンドはそういない。もはや貫禄すら漂わせている2人だが、初期の頃を凌ぐような攻撃性や切迫感をもって、ざらついたサウンドを鳴らしている。独自の美意識に貫かれたステージで、フロアを陶酔させ、狂騒へと導いていった。ライブ後半にドラムマシンのプログラミングが間違っていたのか、想定外の音がスピーカーから鳴り出して、ホテルが慌てて止めに入り、何とか演奏を軌道修正させていくというトラブルがあった。基本クールな彼らだけに、ホテルの焦った表情が見られたのはレアだったかも。(森田美喜子)
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