椿屋四重奏 @ 赤坂BLITZ

椿屋四重奏 @ 赤坂BLITZ - 椿屋四重奏椿屋四重奏
椿屋四重奏にとってのロックとは何か?そして、ライブで表現するとはどういうことなのか?全国8ヶ所9公演を回った濃密過ぎるショートツアー『熱視線6 live circuit 「SECRET ROOM」』の最終日。常にその答えを探し続けている椿屋が少しずつその答えを掴み始め、メンバー自身がそこに手応えを感じていたからなのか、非常に充実感に満ちたパフォーマンスを届けてくれたように思う。MCもいつになく真面目(噛みまくりだったけど…)。先日東京ドームで行われたジュリーの約6時間全80曲にわたるライブを観て受けた衝撃を熱弁し、「これまでの椿屋四重奏は半端だった。これからまだまだやらなきゃいけないことが一杯ある」と心を新たに来年に向かうことを宣言。今のありのままの椿屋四重奏を全部出しきったアクトだった。

今回のツアーでは「SECRET ROOM」というサブタイトル通り、ライブで起きたことは秘密にして外に漏らしてはいけないという取り決めがツアー全体を通してあった。これは、「先入観なしにライブを楽しんでほしい」というメンバーの願いがあっての約束事。でも、本日は最終日ということで中田も「今日でばらしていいです!」と言っていたので早速レポートさせていただきます。

ステージには鎖で固く閉じられたバリケードのようなセットが立ちはだかり、天井には古く錆びたシャンデリアが2つ。まさしく「秘密の部屋」というタイトルにピッタリのイメージだ。その「秘密の部屋」へと迷い込んだ私たちをゆっくり部屋の中へと誘ったのが中田のギター弾き語りによる“ぬけがら”。艶めいた歌声にすっかり心酔しきったところで、永田によるブリッブリの重低音が場内に響き渡り、“終列車”へと雪崩れ込む。一気に椿屋のめくるめくロック・ワールドへと引き込み、“群青”“成れの果て”といった初期の楽曲を惜しげもなく披露した。

今回はリリースに伴うツアーではないので、セットリストはこれまでの椿屋四重奏も、これからの椿屋四重奏も一挙に見せるという特別なメニューだった。初期の名曲“導火線”のような本当に久しぶりに聴く曲から、新曲に至ってはこれまでの椿屋にはなかった新しいタイプの異なる5曲を披露。“CRAZY ABOUT YOU”は弾むようなリズムで小躍りしたくなるような椿屋流ドリーミー・ポップ。そして、どこか気だるい雰囲気を醸しながら挑発的に迫ってくるサウンドが印象的な“シアトリカル”。中田と安高の絡み合うギター・アンサンブルが攻撃的に迫る“フィナーレ”。繊細に刻まれる小寺による疾走感溢れるビートが効いた“スピード”。極めつけはアンコールで披露された中田と安高によるアコースティック・ギターが生み出す極上のハーモニーに乗った感動的なメロディーが涙を誘うバラード“僕にとっての君”。こんなにも表現力が増して、振り幅の広がったサウンドを聴いていると、常に貪欲に、常に進化しているバンドの好調ぶりを感じずにはいられない。

ライブが終わるのが嫌だから、「MCが長くなっちゃう!」と延々とジュリーの素晴らしさや、昔の歌謡曲の素晴らしさ(とりわけ、中森明菜)を語り尽くしていた中田。なんと、アンコールでは本当にジュリーになってしまった! ジュリーといえばあの帽子。それを中田が斜めに深く被り、まさかまさかの“勝手にしやがれ”!! 歌う仕草も振り付けも、もちろん客席に帽子を投げ込むのも見事にカバー。歌い終わった後の中田の大満足の笑顔が本当にこのライブの充実ぶりを表していた。そして、ラストは“君無しじゃいられない”。中田:「君無しじゃー?」客席:「いられなーい!」というお決まりの掛け合いで曲へ突入し、コール&レスポンスも見事に決まったところで、「KING OF SEXUAL BEAT! 椿屋四重奏!来年もよろしくねー!」と中田がバシッとキメてライブは終了。来年の新たな展開が大いに期待できる力強いアクトだった。(阿部英理子)


1.ぬけがら
2.終列車
3.群青
4.成れの果て
5.CRAZY ABOUT YOU(新曲)
6.恋わずらい
7.導火線
8.プロローグ
9.硝子玉
10.MU DA BO NE
11.シアトリカル(新曲)
12.紫陽花
13.砂の薔薇
14.トーキョー・イミテーション
15.フィナーレ
16.アンブレラ
17.スピード(新曲)
18.サイレンス
19.螺旋階段
20.空中分解

En1.僕にとっての君(新曲)
En2.風の何処へ
En3.勝手にしやがれ(沢田研二カバー)
En4.君無しじゃいられない
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