SPYAIR × BLUE ENCOUNT「LOCK ON!!!!」/新木場STUDIO COAST

SPYAIR × BLUE ENCOUNT「LOCK ON!!!!」/新木場STUDIO COAST - All photo by 鈴木公平All photo by 鈴木公平
「マジで最高の記念日だと思います!」(田邊駿一/Vo・G)。LINE LIVE番組『さしめし』をきっかけに実現した2マン公演。オーディエンスがパンパンに詰めかけた新木場スタジオコーストには、この2バンドでしか作り出すことのできない絶景と、熱く美しい絆があった。

先鋒はBLUE ENCOUNTだ。開演前、テレビアニメ『銀魂』の坂田銀時(CV杉田智和)がサプライズでアナウンス、というか2組をいじり倒したおかげでフロアはすでに興奮状態(銀さんは終演後も大活躍でした)。ちなみにどちらも過去に主題歌を担当しており、BLUE ENCOUNTのニューシングル『VS』は10月より始まる最新シリーズのオープニングテーマに決定している。そんな中ブルエンは、登場するやいなや《イライラすんだろ?ムシャクシャすんだろ?/このまま全部全部切り裂いて!》と“MEMENTO”を炸裂させると、「かかってこーい!!」(辻村勇太/B)と“DAY×DAY”を全身全霊で叩きつける。彼らにとって2017年はさらなる飛躍を目指す年であり、その意志は年始にリリースされた『THE END』を聴けば明らかだった。これまでの熱血漢、号泣必至の人物像よりもあくまで楽曲に重きを置き、R&Bテイストの“city”やロッカバラードの“はじまり”など自身の音楽性を大きく拡張させてきた。が、この日は念願の対バン、SPYAIRを相手にするということもあってか、初期の楽曲も織り交ぜながら、真骨頂である終始トップギアの熱量一本槍で立ち向かってゆく。
SPYAIR × BLUE ENCOUNT「LOCK ON!!!!」/新木場STUDIO COAST - BLUE ENCOUNTBLUE ENCOUNT
“Survivor”から“PLACE”まではアクセルベタ踏み。変幻自在の強靭なドラム、ゴリゴリ爆裂ベース、超絶メカニカルギターの壮絶な音数と音圧が狂騒を掻き立て、グルーヴィだけれど言葉の響きに意味が負けない歌が心臓の真ん中に突き刺さる。ここでかねてからの公約通りIKE(Vo)とのコラボが実現! 彼のオンステージに割れるような歓声が上がると、「こんなに完膚なきまで負けるってあります?」と笑いを誘う田邊。ふたりのいちゃいちゃトークが展開されてから、「ずーっと歌いたい曲だった」(IKE)という“もっと光を”へ。美しいハーモニーによってぎゅっと力強くなった想いを届けた。
SPYAIR × BLUE ENCOUNT「LOCK ON!!!!」/新木場STUDIO COAST - “もっと光を”でのIKEとのコラボ“もっと光を”でのIKEとのコラボ
IKEが一旦ステージを去る。“JUST AWAKE”から再び烈火のごとき勢いで、「俺SPYAIR好きだけど、肩並べるだけじゃ嫌なんだよ! 頼むよ、ちょっとだけ勝った記念日にさせてくれよ!」(田邊)と叫びながら、“ロストジンクス”、“LAST HERO”を畳み掛ける。こんなに挑戦者としてのファイティングポーズが似合うバンドは他にいない。とにかく拳を振り回すだけの不器用な闘い方かもしれないけれど、その姿にたまらなくグッときてしまうのだ。“HANDS”で会場全員が掌を掲げた後、今夏のキラーチューン“SUMMER DIVE”のハッピーな高揚感で見事に出番を締めくくった。

SPYAIR × BLUE ENCOUNT「LOCK ON!!!!」/新木場STUDIO COAST - SPYAIRSPYAIR
続いて緩急自在、貫禄のアクトを観せつけたSPYAIRのターンである。暗転からパッと照明が点き、ステージが目に映るとKENTA(Dr)が正確無比なリズムを叩き出し、IKE、UZ(G & Programming)、MOMIKEN(B)はお立ち台の上に立つ。“OVERLOAD”の口火が切られた。IKEはピンボーカルとして両手を目一杯広げて観客を煽ったり、圧倒的な存在感を示す。かと思えば次の“現状ディストラクション”ではセンターにUZが君臨、伸びやかなソロが火を噴く。さすがに魅せ方をわかっているというか、カッコよすぎて震えてしまう。

心をふっと軽くし背中をグッと押してくれるMOMIKENの歌詞、その素晴らしさが特に際立つ“WENDY~It’s You~”、“イマジネーション”の王道ロックコンボを経て、披露されたのは最新シングル曲“MIDNIGHT”である。ミドルテンポでオシャレなコードを響かせながら、16分音符までを駆使して熱狂を生み出す手法はキャリアを重ねた現在の彼らならでは。さらに中盤以降は武器の多彩さで攻め立てていく。“サクラミツツキ”の美麗なメロディを響かせ、“ROCKIN' OUT”でオーディエンスのジャンプにより会場全体を揺らし、“RAGE OF DUST”ではメタルコアの凶暴なヘヴィネスを爆発させた。
SPYAIR × BLUE ENCOUNT「LOCK ON!!!!」/新木場STUDIO COAST - “サムライハート(Some Like It Hot!!)”での田邊とのコラボ“サムライハート(Some Like It Hot!!)”での田邊とのコラボ
「マジで久しぶりに新木場コーストで最高のライブができてるよ。この場所は思い出深いんだ。昔、大好きなアーティストをそっち(観客フロア)で観てた。俺らがうんともすんとも行かない時に、音楽で背中を押してくれたんだよね。そんな場所で今やれてるっていうのは、ほんとにやってきてよかったなって思います」と万感の想いを口にしたIKE。そして「気抜いたら追い抜かれそうなライバルっつーか、後輩っつーか、憎たらしい奴らっつーか(笑)」というBLUE ENCOUNTから田邊を迎え、“サムライハート(Some Like It Hot!!)”を届けた。肩を組んだり一緒にジャンプしたり、微笑ましいくらいの相思相愛ぶりで本編を終わらせる。アンコールは“SINGING”。その名の通り盛大なシンガロングの絶景が広がり、最高の饗宴もついに幕を下ろしたのだった。「俺たちはまた必ず対バンします!」とIKEは言った。その約束が果たされる時、さらに進化した2バンドの姿を観られるはずだ。彼らの絆は、闘い続けてきた道のりによって結ばれているのだから。(秋摩竜太郎)


●セットリスト
BLUE ENCOUNT
1. MEMENTO
2. DAY×DAY
3. Survivor
4. ルーキールーキー
5. NEVER ENDING STORY
6. PLACE
7. もっと光を
8. JUST AWAKE
9. ロストジンクス
10. LAST HERO
11. HANDS
12. SUMMER DIVE

SPYAIR
1. OVERLOAD
2. 現状ディストラクション
3. WENDY 〜It's You〜
4. イマジネーション
5. MIDNIGHT
6. サクラミツツキ
7. ROCKIN' OUT
8. RAGE OF DUST
9. サムライハート(Some Like It Hot!!)
<アンコール>
10. SINGING



終演後ブログ
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする