【来日レポ】フォスター・ザ・ピープル @ 新木場Studio Coast公演

【来日レポ】フォスター・ザ・ピープル @ 新木場Studio Coast公演 - Photo by Masanori NarusePhoto by Masanori Naruse

昨年の夏にリリースした3rdアルバム『セイクレッド・ハーツ・クラブ』を引っ提げての来日公演を果たしたフォスター・ザ・ピープル。アルバムごとに果敢に音楽性を進歩させてきたフォスター・ザ・ピープルだが、そうした試みとその成果を音として実感させる、頼もしいライブだった。

オープナーとなったのはどこかポスト・パンク的な重厚なリフを押しまくりながら繊細なメロディを聴かせる2nd『スーパーモデル』の“A Beginners Guide to Destroying the Moon”で、ある意味でこのバンドの基本的なサウンドの釘をまずは刺すという素晴らしい展開。今回のツアーでは新作からの“Pay the Man”がオープナーになっていることが多く、ある意味でそちらの方が新作モードとしてはわかりやすいのだが、フォスター・ザ・ピープルのライブのオープナーとしてはこの幕開けはかなり聴き応えがあって嬉しかった。

そして続いたのはその新作『セイクレッド・ハーツ・クラブ』からの“Pay the Man”。限りなくヒップホップ的なビートと饒舌なボーカルが繰り出され、コーラスでは極上のメロディを聴かせるという、この新作の試みの真骨頂をいきなりたたみかけてくる。ある意味で辛い時代をともに乗り越えようというまさに今のアメリカに向けた曲である一方で、こうした果敢なリズムへの試みが行われているところが、今の時代にどうやって歌を届けるかという、この曲の切実なテーマを打ち出すものになっていて、とても頼もしい。

すると一転してどこまでもパンキッシュな1stからの“Helena Beat”が続き、一斉に歓声が沸いて、1stの人気の高さもよく窺われてくる。重いキーボードのリフに乗せて、自分のネガティヴな性向を醒めた視線で描くこの曲と、続いて怒濤のドラムとエレクトロニック・サウンドを叩きつけてくる“Life on the Nickel”、そしてさらに薬物でまともに振る舞えなくなっている相手にずっと付き添いたいと願う気持ちを強烈なベースラインとともに歌い上げる“Waste”と、この1stの3曲はどれも実はマーク・フォスターがかつて経験したドラッグ体験記にもなっているものだ。

実際、どれもマークの表現衝動を確かなものにした楽曲でもあって、この流れの演奏の性急さがこのバンドの原点そのものをよく伝えるものになっていた。

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すると今度は新作からの“Doing It for the Money”が繰り出される。ビートとグルーヴと美メロが交錯する今作の特徴的なサウンドが打ち出されつつ、歌詞的な内容が“Waste”のアンチテーゼとなっている印象を強く伝えているところにとても感銘を受けたし、今作のダイナミズムもよくわからせてくれるものにもなっていた。

そのまま、ロックとしてのグルーヴを押し通す2ndからの“Pseudologia Fantastica”へと雪崩れ込む。続く“Are You What You Want to Be?”ではもともとヴァースとブリッジで聴かせていたアフリカン・リズムをことさらにマーク・ポンティアスとアイソム・イニスのダブル・ドラムでよりポリリズミックにアタックをかけていくというかなり攻撃的なパフォーマンスをみせると同時に、序盤から感じていたパフォーマンスの圧倒的な説得力を確信するに至った。

基本的にこのまま演目は1st『トーチズ』、『スーパーモデル』、そして『セイクレッド・ハーツ・クラブ』の3枚からの曲を順繰りに提供してはローテーションしていくというものになった。バンドは1stのどこまでもパンク的なエレクトロ・ポップから始まって、2ndのバンド・サウンドへ、そして今作ではヒップホップを前提にしたグルーヴも打ち出すまで深化を遂げてきたわけだが、今現在のこのバンドの持てる最高の水準で全楽曲をたたきつけてくるところがとても痛快だった。

実際、各曲の細部に至るまで今回のバンド・アンサンブルはあまりの説得力と豊かな表情に満ちていて、終わってみれば本当に素晴らしいパフォーマンスだったと感銘を受けた。その一方で、どれだけ趣向を凝らした楽曲になったとしても極めつけの聴きやすさとメロディを必ず決めてくるところがたまらない魅力だとあらためて思い知らされた。今回のツアーについてはライブ作品が待たれるところだし、ぜひまた確認したいとも思った。(高見展)

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〈SETLIST〉
A Beginner's Guide to Destroying the Moon
Pay The Man
Helena Beat
Life on the Nickel
Waste
Doing It for the Money
Pseudologia Fantastica
Are You What You Want to Be?
Don't Stop (Color On The Walls)
Lotus Eater
Blitzkrieg Bop (Ramones cover)
Coming Of Age
Houdini
Call It What You Want
Harden the Paint
Sit Next to Me
Miss You
(encore)
Pumped Up Kicks
Loyal Like Sid & Nancy
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