WANIMA/幕張メッセ国際展示場 9-11ホール

WANIMA/幕張メッセ国際展示場 9-11ホール - All photo by 瀧本 JON... 行秀All photo by 瀧本 JON... 行秀

●セットリスト
(SE) JUICE UP!!のテーマ
01. OLE!!
02. いいから
03. 花火
04. CHEEKY
05. つづくもの
06. BIG UP
07. Drive
08. Japanese Pride
09. THANX
10. 雨あがり
11. 昨日の歌
12. ここから
13. ともに
14. ANCHOR
15. SNOW
16. ヒューマン
17. オドルヨル
18. サブマリン
19. シグナル
20. Everybody!!
(アンコール)
01. リベンジ
02. HOPE
03. りんどう
04. For you


当初発表されていた18公演+福岡の追加公演のスケジュールを、すべてソールドアウトで駆け抜けた「Everybody!! Tour(エビバデ!! ツアー)」。ここでは幕張メッセ2デイズのうち、2日目の模様をレポートしたい。LEDの仕込まれた4本の巨大な柱が立ち並ぶステージを、約2万人のオーディエンスが取り囲む光景だ。お馴染みのイントロSE“JUICE UP!!のテーマ”が鳴り響く中、KENTA(Vo・B)、KO-SHIN(G・Cho)、FUJI(Dr・Cho)の3人がステージ床下から勢い良く射出され、まだライブ本編も始まってもいないのに大合唱を巻き起こしてしまう。

WANIMA/幕張メッセ国際展示場 9-11ホール

“OLE!!”の、否応なしに昂るコーラスと疾走感で幕を開けた本編。あらゆる方向からWANIMAを見つめるオーディエンスのため、ステージはターンテーブルのように回転するギミックが設けられていた。「Everybody!! Tour、幕張編最終日、WANIMAとみんな!!」「かーいさーいしまーす!!」のコールも皮膚を震わせる迫力だ。KO-SHINの骨太なギターフレーズに導かれる“花火”で、KENTAは鮮やかに口笛(歯笛?)を吹き鳴らし、花火の打ち上げ音を再現してみせる。3人はさながらコーラス隊のように「WANIMA〜♪」「WANIMA〜♪」「WANIMA〜♪」と自己紹介のハーモニーを重ねるのだった。

WANIMA/幕張メッセ国際展示場 9-11ホール
WANIMA/幕張メッセ国際展示場 9-11ホール

KENTAがベースのネックを執拗に擦りまくってフィニッシュする“CHEEKY”から“つづくもの”。そしてFUJIが長渕剛のモノマネや『アナ雪』の“レット・イット・ゴー”を強引に捻じ込む“BIG UP”からの新曲“Drive”(映画『OVER DRIVE』主題歌で配信リリースも決定。バンド一丸の熱いコーラスに満たされ、もんどりうって転がる不器用な生き様を映し出す曲だ)と、猥雑なパーティ性や激しいエモーションが往復ビンタをかましてくる展開には眩暈を起こしそうになる。「幕張のテーマソング」として紹介された“Japanese Pride”は、もしかすると18年ぶりに幕張の地で開催されることになったHi-STANDARD主催フェス「AIR JAM 2018」に向けられた思いだろうか。

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さて、KO-SHINがアコギを携え、FUJIがカホンに腰掛ける一幕は、トロピカルなギターフレーズが弾ける“雨あがり”をはじめとして、アコースティックのセットでありながら楽曲の根源的な力強さを導き出す名演になった。2回繰り返してプレイする“昨日の歌”にしても、“ここから”にしても、音源化を希望するレベルの素晴らしさだ。ダンスを煽り立てるKENTAは、オーディエンスのリアクションが今ひとつだと少し気にかけていたが、それは「踊れない」のではなくて「思わず聴き入ってしまう」からだろう。

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触れる者をがっちり捕まえて身も心も揺さぶりまくるパフォーマンスを繰り広げながら、KENTAはこんなふうに語った。「WANIMAよりも下の世代の人。悔しくて、手が出そうになるときもあると思うけど、カッコいい生き方を目指して、WANIMAとともに歩んでください。お父さん、お母さんや、上の世代の人。こんな時代ですけど、僕みたいにワンチャンワンチャン言ってるまっすぐな男の子もおるけん(笑)、これからも長生きして、WANIMAと共に歩んでください」。場内一斉の歌声で切り出される“ともに”は、世代のギャップそのものであるロックの役割さえ越えて、すべての人々を歌声に乗せ新しい時代へと運んでゆく。人生の航海へと乗り出す新作曲“ANCHOR”が、それに続くところも心憎い。

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記憶の中の命を弔うように、フロアにスマホのライトがひとつ、またひとつと灯される名バラード“SNOW”で、KENTAは丁寧にメロディを拾うというよりも、思いの丈を迸らせるように歌っていた。雪の舞い降りる演出も美しい。そこから《まだ…くたばってたまるか!!》と反骨のメロディを燃え上がらせるのは“ヒューマン”だ。情熱的なフレーズが弾ける“オドルヨル”や、欲望の深層へとダイブする斬新な曲調の“サブマリン”は、フロアを激しく波打たせる。「いろんなことに挑戦して、駄目だったらまたWANIMAのとこに戻ってきて」と言葉を添え放たれるのは“シグナル”だ。そして、会場が丸ごと歌声とハンドウェーブで作り上げる爆走の大団円“Everybody!!”。終盤は怒涛の新作曲連打によって、『Everybody!!』というアルバムの凄さをあらためて思い知らされる。

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エビの着ぐるみに身を包んだ3人が挑む「エビの気持ち選手権」映像で笑いを誘ったのち、来場者のリクエストにも応えるアンコールへ。最初に決まった“For you”は緊急会議で最後に披露することを決め、“HOPE”はKO-SHINが慌ててギターソロを確認しつつプレイ。さらに、ここでまたもや新曲“りんどう”が届けられる。和のソウルを感じさせる、ミドルテンポの味わい深いナンバーだ。『Everybody!!』という名盤を経てなお、魂に触れる歌の冒険に挑み続けるWANIMAがいた。というか、今後はあの曲もこの曲も聴けないことが有り得るという、名曲だらけゆえの贅沢な悩みと向き合っていかなければならない。8月25日・26日の埼玉・メットライフドームには、一期一会のツアーファイナルが待っているはずだ。(小池宏和)

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