奥田民生/カルッツ川崎

奥田民生/カルッツ川崎 - All photo by Kenji MiuraAll photo by Kenji Miura
会場に入ると、15年ぶりに奥田民生が日本武道館で開催するワンマンライブのポスターが貼り出され、そこに大勢の人だかりができていた。奥田民生が4月から開催している全国ツアー「MTRY TOUR 2018」、全20本のうち8本目となるカルッツ川崎公演の2日目だ。この日は奥田民生の53歳の誕生日ということもあり、終始お祝いムードが漂うライブだった。ここではツアー中盤に迎えたメモリアルなライブの模様を、ネタバレを最小限にレポートする。

奥田民生/カルッツ川崎
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今回は、昨年9月に自身のレーベル「ラーメンカレーミュージックレコード」からソロ名義で初めてリリースしたオリジナルアルバム『サボテンミュージアム』を携えたツアーということで、ステージにはアルバムのアートワークを再現するようなセットが用意されていた。定刻。民生が、サポートメンバーの小原礼(B)、斎藤有太(Key)、湊雅史(Dr)と共にステージに現れた。同じ会場の2日目ということで、まず「昨日と何が違うかと言うと……」と口を開いた民生。「いろいろあって、もう楽屋で呑んでしまいました(笑)。最後まで何とかしたいと思います」。そんなカミングアウトに会場からは笑い声が起こるが、MCがどんなにゆるいスタンスであろうとも、演奏が始めれば、ピリッと引き締まるのが奥田民生だ。最新アルバムの楽曲を中心に、往年のヒット曲では会場の大合唱を巻き起こしながら、ライブは進んでいった。

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「さっきから、こいつ酔っぱらってる?と思ってるでしょ。いやいや、そんなことはない。ユニコーンのほうが……(笑)。あっちは人数が多いから、“大迷惑”だけちゃんと歌えばいいから」。最初のMCでそんなふうに冗談言う民生に、すかさず会場からは「やって!」という声が湧く。それに「何言ってるの。あれはEBIちゃんがいないとできない(笑)」と切り返すと、アルバムからの楽曲を披露した。混沌とした光の演出のなかで聴かせた“歩くサボテン”など、ルーツミュージックへの憧れをふんだんに盛り込み、これまで以上に無邪気で、自由な気風が漂うアルバムのムードは、この日のライブにも引き継がれていた。ふと弾いてみたギターのフレーズに「ふふふ、何これ(笑)?」と思わず民生自身が笑ってしまう場面もあり、それがどこまでがアドリブで、どこまでが予定調和なのかはわからなかったが、どこまでも自然体でライブを楽しむ民生の姿そのものが、何かロックンロールのひとつの理想のようでもあり、とても尊く感じた。

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民生が自分のギターを誇らしげに高く掲げて突入したのは“俺のギター”だった。イントロが始まり、「ここから!」というところで、民生がチューニングを始めるというまさかの展開には笑ったが、それでも直後には唸るほどかっこいいプレイをさらりと見せつけてくれる。疾走感あふれるロックンロール“いどみたいぜ”では、何度も《いどみたいぜ》というフレーズを繰り返し、“ヘイ上位”では《雲にかじりついてでも そこに行くから待っててよ》と渾身のちからで歌い上げていた。本人が意図すると、意図せざるとにかかわらず、そこには齢53を迎えたベテランミュージシャンでありながら、いまなお挑戦者であり続け、これからも前に進んで行こうという、奥田民生の強い意思が滲み出ているような気がした。

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アンコールでは、バンドメンバーがサプライズで“ハッピーバースデートゥーユー”の演奏を始めると、お客さんの大合唱が巻き起こり、女優の武田梨奈がバースデーケーキをステージに運び入れた。ろうそくの火を吹き消した民生は、「OTロボ」が描かれたケーキを客席に見せると、その端っこを少し食べて、「甘い(笑)。これを食べるべく、早く(ライブを)終わらせよう」と言いながら、楽器をスタンバイ。「ありがとうございました。これからも頑張ります」と民生らしい飾らない言葉で感謝を伝えると、さらに2曲を披露して、ライブは幕を閉じた。民生の去り際まで、会場からは「おめでとう!」という声が長いこと鳴りやまず、最後まで、希代のロックンローラーに捧げる惜しみない祝福に満たされたライブだった。

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なお、冒頭に書いた、奥田民生の15年ぶりの日本武道館ライブは10月13日(土)と14日(日)に2Daysで開催される。1日目は「MTRY LIVE AT BUDOKAN」と題したバンド編成、2日目は「ひとり股旅スペシャル@日本武道館」で民生のひとりステージになる。6月に沖縄でツアーファイナルを迎えた後の公演ということもあり、最新アルバム『サボテンミュージアム』の楽曲がどんな風に進化しているのか、とても楽しみだ。(秦理絵)

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