SEKAI NO OWARI/富士急ハイランド・コニファーフォレスト

SEKAI NO OWARI/富士急ハイランド・コニファーフォレスト

●セットリスト
01. インスタントラジオ
02. マーメイドラプソディー
03. Error
04. Love the warz -rearranged-
05. サザンカ
06. Hey Ho
07. ANTI-HERO
08. 深い森
09. RPG
10. Death Disco
11. MAGIC
12. 炎と森のカーニバル
13. Re:set(新曲)
14. 白昼の夢
15. Monsoon Night
16. ラフレシア(新曲)
17. スターゲイザー
18. スターライトパレード
19. Dragon Night
(アンコール)
EN1. ピエロ
EN2. Fight Music

Photo by 太田好治(yoshiharu ota)/アミタマリ(mari amita)/ 立脇卓(taku tatewaki)


ステージ頂上から会場を見下ろす巨大なピエロ像の横には「NICE PEOPLE MAKE THE WORLD BORING(良い人々が世界を退屈にする)」の文字。そして、色とりどりのネオンサインをまとった舞台は巨大な機関車となっていて、警笛とともに煙突から時折天空へ高々と火柱が噴き上がり、「コープスフラワーの花が咲いた頃、貴方の街にインソムニアトレインがやってくる」という厳かな英語アナウンスとともに、舞台も客席も一丸となってポップの異次元へと旅立っていく――。

SEKAI NO OWARI/富士急ハイランド・コニファーフォレスト

野外ワンマン「炎と森のカーニバル」(2013年)&「TOKYO FANTASY」(2014年)とスタジアム公演「Twilight City」(2015年)、さらに全国アリーナツアー「The Dinner」(2016年)とドーム&スタジアムツアー「タルカス」(2017年)を通して、壮大なスケールのポップとファンタジーをコンセプチュアルなライブ空間へと結実させてきたSEKAI NO OWARI
彼らがこの4月からスタートさせた「INSOMNIA TRAIN」は、全6会場12公演にわたって行われる「野外ツアー」。中でも、「炎と森のカーニバル」「TOKYO FANTASY」に続いての野外ワンマン開催となるここ山梨・富士急ハイランド・ コニファーフォレストでは、2週にわたって金・土・日公演、計6公演が実施された。

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その6日間の初日となった5月25日。開演に先立って12時からオープンされている会場内には、メンバー考案メニューの屋台やバーコーナーが立ち並び、それ自体がひとつの野外フェスのような開放感を生み出している。そして――。
「インソムニアトレインがやってくる」のアナウンスの後、舞台を覆っていた煙が晴れると、黒の衣装でシックに決めたFukase/Nakajin/Saori/DJ LOVEの姿が! 「INSOMNIA TRAINへようこそ!」というNakajinのコールとともに、シャッフルアレンジが施された“インスタントラジオ”へ流れ込むと、広大な会場は一気に歓喜と躍動感に包まれていく。「歌える?」と問いかけるFukaseに応えて、客席から熱く湧き上がるシンガロング。「いいね!」と笑顔を見せるFukaseに、さらなる大歓声が巻き起こる。

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これまでメンバー4人/4人・リズム隊・ストリングス/4人・リズム隊・ストリングス・ホーンといった具合に、ライブごとにさまざまな形態で演奏を繰り広げてきたSEKAI NO OWARIだが、今回はメンバー4人とドラム&ベースのリズムセクションを迎えた計6人編成でのステージ。
何より、今回の「INSOMNIA TRAIN」用にリアレンジされた今回のライブのサウンドは、音数が減ったことによってバンドとしてのグルーヴがよりいっそう際立ち、アンサンブルそのものが巨大な生き物であるかのような痛快なまでのダイナミズムを描き出していたのが印象的だった。

SEKAI NO OWARI/富士急ハイランド・コニファーフォレスト

あたかもポップの使者のように晴れやかな歌声でオーディエンスの心を重力から解き放ちながら、“深い森”などの楽曲ではベースの演奏も披露していたFukase。“マーメイドラプソディー”では12弦ギターにウクレレ、“Error”ではエレキギターを構えつつスタンドつきアコギ、さらに曲によっては太鼓にバンジョーに……と次々に楽器を持ち替えながら、アンサンブルをリードしていたNakajin。“サザンカ”の静謐な演奏から“ANTI-HERO”の不穏な美しさまで、その音像をカラフルに彩っていたSaori。そして、DJブースでサウンドを操るその姿が、ステージ頂上の巨大ピエロと呼応して独特の存在感を放っていたDJ LOVE。舞台から放たれる楽曲のひとつひとつが、微塵のブレも淀みもないファンタジー空間を編み上げながら、観る者すべてを包み込んでいく。

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“Hey Ho”、“RPG”などシングル曲群も盛り込み会場を刻一刻と高揚の頂へと導く一方で、ライブの随所に挿入されたアニメーション映像の物語によって、自分たちがどこかからの「逃亡者」であるかのような背徳的な空気感も表裏一体で場内に漂っている。
そんな中、“MAGIC”を終えたところで「みなさま、昼のショーはお楽しみいただけましたか? ここからは、夜のショーが始まります!」のアナウンスを合図に、ステージのネオンサインが舞台を極彩色に照らし出し、特効の花火と警笛&煙突の火柱が、そして“炎と森のカーニバル”のでっかいビート感が、観客をさらなるポップの奥底へと誘っていく。

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「新しい曲やります!」のFukaseのコールとともに披露された新曲は“Re:set”。テクノ/ハウス系のリズムの上でNakajinのサンプラー使いとSaoriの生ピアノがミステリアスにせめぎ合い、セカオワの音楽世界に新たな光と闇を添えていた。
Fukaseがベースで奏でる低音コードが、その歌のセンチメントと至上のコントラストを生み出した“白昼の夢”。舞台両袖に並んだファイヤーダンサーの演舞と煙突の火柱が冷えた夜空を熱く染め上げた“Monsoon Night”。そして、「囚われの身となったFukaseが脱出、街を抜けて扉を開くと……」というアニメーションがビジョンに流れた後、客席上手に設置されていたテントからFukaseが登場! もうひとつの新曲=ダンスナンバー“ラフレシア”を歌いながら、Fukaseが包帯姿のダンサーたちとともに花道でステップを踏みダンスを披露。場内が割れんばかりの大歓声に包まれる。

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“スターゲイザー”のパワフルなビートと光の筋が巨大なステージを神秘の王宮へと塗り替え、“スターライトパレード”ではLED内蔵リストバンド「スターライトリング」が客席一面に光り輝く中、熱いシンガロングがめくるめく多幸感とともに広がっていく。
「4年ぶり?……な感じはしないんですが。ほぼ僕らのホーム化しているコニファーフォレストに、帰ってきました!」とFukaseが呼びかければ、「4年帰らないと親が心配してますよ」とNakajinが続ける。「俺、ずっと東京で。東京って『ただいま!』みたいなのがないんですよ。だから、羨ましいんですよ。他のミュージシャンの方が地元で『ただいま!』ってやってるのが。だから、今日からここにします!」。そんなFukaseの言葉に、拍手と歓声が巻き起こる。

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本編最後の“Dragon Night”では、Fukaseの「歌おうぜ!」のコールに応えて圧巻のシンガロングが響き渡り、会場を濃密な祝祭感で満たしていったSEKAI NO OWARI。
アンコールで“ピエロ”を披露した後、「自分のことなんですけど、去年の年末に子供を出産しまして。9ヶ月お休みしてたんですけど、無事帰ってくることができました!」と語るSaoriに、客席から次々に「おめでとう!」の声が飛び交う。
「『大変じゃない?』ってよく言われるんですけど……もう大変なんですよ、本当に(笑)。いろんな人の助けを借りて、メンバーも本当によく手伝ってくれて。Fukaseくんも(子供に)歌ってくれたりして」と語るSaoriに続けて、Fukaseが♪北風小僧の寒太郎〜と歌い、それを受けて客席が「寒太郎!」とまさかのコール&レスポンスが実現。「INSOMNIA TRAIN」のステージ&観客の一体感あればこその場面だ。

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「こうやってみんなが待っててくれて……頑張ってよかったなと思いました。今日、金曜日じゃないですか。ガラガラかもなあって思ったら全然そんなことなくて。すごく嬉しかったです!」
そんなSaoriの言葉に続けて放たれたこの日のラストナンバーは“Fight Music”。客席一面にタオルが渦を巻き、シンガロングが夜空を震わせる。そして、最後の銀テープキャノンと花火が、ファンタジックな一夜の終わりを眩しく飾っていた。(高橋智樹)

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