かつてのポップ・パンク、ビート・ロックの直線的なショウの運びと比較すると、今回はもっと曲線的な抑揚の効いたパフォーマンスで、その中で3枚の大ヒット・アルバムを持つ5SOSの無数のアンセムが次々に再定義されていく感覚だ。「ワン・ダイレクションの弟分にしてバンド版」という彼らの出発点は、2010年代前半のバンド・シーンにおいては最適なポジショニングだったし、The 1975やイマジン・ドラゴンズのようなハイブリッドなポップ・ロック・バンドへと舵切った現在の彼らは、2010年代後半のバンド・シーンにおいてやはり大正解なのだということが、ショウの全編を通してビシバシと証明され続けていくのだ。随所で雷のような爆音メタリックなバスドラを打ち込み、人力EDM、時々トラップみたいなことになっていたアシュトンのドラムを筆頭に、新作のグルーヴ感覚で会場を掌握していった前半に対し、中盤はルークとマイケルが交互にアコギに持ち替えていくバラッド中心のセクションだ。今回の曲線的で抑揚の効いたステージだったからこそ、彼らの“Amnesia”や“The Only Reason”といったリリカルなシンガロング・チューンもより一層際立つのだ。そして前半の黄色い悲鳴から一転、スマホのカメラライトで彼らを照らし、4人が歌い継ぐ“The Only Reason”ではヴァースから一語一句違わぬ大合唱を捧げるファンもまた、今回のショウのそんな抑揚をパーフェクトに体現していた。「新作で一番好きな曲」とルークが紹介して始まった“Lie To Me”は、シンプルなピアノ主体でギミックを削ぎ落としたアレンジ。逆に“Why Won't You Love Me”はカラムのシンセが分厚いレイヤーを成していくシンフォニックなアレンジと、つくづくメリハリが効いている。そして新作のエレクトロ、ダンスを体現する“Meet You There”の大迫力のインスト・リミックスから、かつてのエモ、ポップ・パンクの代表的アンセムである“Jet Black Heart”へとシームレスで繋がれて歓喜の渦を巻き起こした瞬間は、この日のショウのテーマを象徴するシーンだったと言っていい。本編ラストは“Want You Back”、そしてアンコール・ラストは“Youngblood”と、過去のヒット曲ではなく、きっちり新曲でクライマックスに持っていけたのも、5SOSが正しい方向に進み続けているからこそだろう。(粉川しの)
<SET LIST>
Babylon
Talk Fast
Moving Along
She's Kinda Hot
Girls Talk Boys
Waste The Night
More
Better Man
If Walls Could Talk
Ghost Of You
Amnesia
The Only Reason
Lie to Me
Why Won't You Love Me
Valentine
Meet You There
Jet Black Heart
Want You Back
(encore)
She Looks So Perfect
Youngblood