[ALEXANDROS]/ZOZOマリンスタジアム

[ALEXANDROS]/ZOZOマリンスタジアム -  Photo by AZUSA TAKADA Photo by AZUSA TAKADA

●セットリスト
01.ワタリドリ
02.For Freedom
03.city
04.Cat 2
05.Waitress, Waitress!
06.spy
07.Forever Young
08.Starrrrrrr
09.Droshky!
10.Run Away
11.Girl A
12.ムーンソング
13.Oblivion
14.This is Teenage
15.Wanna Get Out
16.Famous Day
17.Kill Me If You Can
18.Waterdrop
19.Thunder
20.Travel
21.Leaving Grapefruits
22.LAST MINUTE
23.明日、また
24.I Don't Believe In You
25.Mosquito Bite
(Encore)
01.ハナウタ
02.Adventure
03.Kick&Spin


[ALEXANDROS]のワンマンライブ「VIP PARTY 2018」が、8月16日にZOZOマリンスタジアムにて行われた。同イベントは[ALEXANDROS]がファン感謝祭的な意味合いで定期的に開催しているもので、今回はバンド史上最大規模となるスタジアムでのワンマンライブとなり、3万5千人が彼らの歴史的瞬間を目撃しようと集まった。HP上で楽曲リクエストを行い、事前に「最強のセトリです」と明言していたこともあり、3万5千人分の期待値が抜群に高まった状態でスタートした本公演。オーディエンス×バンドの熱気の相乗はもちろんのこと、「本当に初めてのスタジアムなの?」と疑ってしまいたくなるほどにバンドがその規模感を手中にしていたこと、さらに途中悪天に遭いながらも最初から最後までメンバー4人が心から楽しんでいた様子が印象的なライブだった。

[ALEXANDROS]/ZOZOマリンスタジアム -  Photo by AZUSA TAKADA Photo by AZUSA TAKADA

雨予報ではあったものの時折雲間から月が見える天候の下で開演を迎えた午後6時過ぎ。BGMが途切れて照明がふっと落ちたのを合図に、ステージ後方にセットされたストリングス隊の生演奏が始まった。その優美なサウンドをバックに庄村聡泰(Dr)、磯部寛之(B)、白井眞輝(G)が順にステージにインしてドラマチックにアンサンブルを重ねていき、ステージからフロア中央に伸びた花道の先にあるサブステージに満を持して川上洋平(Vo・G)が登場! 会場の歓声が最大音量で響く中いよいよ“ワタリドリ”で幕を開けたのだが、スタジアムの大規模かつ開放的な空間いっぱいに響く楽曲の気持ち良さに冒頭からしきりに感動させられた。

[ALEXANDROS]/ZOZOマリンスタジアム -  Photo by 河本悠貴 Photo by 河本悠貴
[ALEXANDROS]/ZOZOマリンスタジアム -  Photo by 河本悠貴 Photo by 河本悠貴

そして曲が終わるとステージが隠れるほどのスモークが焚かれ、ステージ正面に設置された大スクリーンにはクールな映像と共にメンバーの名前や過去の「VIP PARTY」の開催歴がハイライト的に映し出された。ラストに「R U READY?」の文字が映し出されると、真っ赤な照明が強烈に彩る中で“For Freedom”を投下! 磯部の「行くぞマリンスタジアム!」との一喝からも漲る気合いを感じ、その後“city”、白井がコルナサインを促し吠えた“Cat 2”からの“Waitress, Waitress!”のトリッキーな流れを経て、川上がアコギに持ち替えての“spy”やド派手な爆竹が同曲MVを彷彿とさせる“Droshky!”、さらに夜空の下というシチュエーションに最高に映える“ムーンソング”などをぶっ通しで披露! その流れの最中に「これはもしかして…?」と思いつつ演奏中にスクリーンに目をやると、該当楽曲が収録されているアルバムのジャケットが曲ごとに映し出されていることに気付いた。MCで川上も「気付いている人もいると思うんですけど、1stアルバムから順を追って曲を演奏してきました」と話しており、そうして時系列順にプレイされるからこそ気付けることが多くあった。

[ALEXANDROS]/ZOZOマリンスタジアム -  Photo by AZUSA TAKADA Photo by AZUSA TAKADA
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路上ライブから始まり、様々な環境の変化を経て今回いよいよスタジアムまで辿り着いた[ALEXANDROS]だが、1stアルバムのリード曲である“For Freedom”の中で彼らは《What I have inside my hand/Is just a little tune that will turn into the gold》と歌っている。掌の中で温められていた曲が、数人を前にした路上時代、何十、何百人を前にしたライブハウスを経て、何千人規模のアリーナ、さらに万人規模のメッセ、そして3万を超える今回の公演で輝き、威風堂々と誇らし気に鳴っているように感じたし、まるでこのステージで歌われることを前提にしていたかのような逞しさがどの曲にも宿っていた。
その響きを全身に受けながら結成当時から揺らぐことのないバンドの姿勢に改めて感服させられたし、MCに入る前から雨が降り出すという最悪の状況ではあったものの、雨天時は中止すると決まっていたサブステージでのアクトも敢行し「雨が降ってきたけど、まあこれもウチららしいかなと思います」と笑っていたメンバーが頼もしかった。逆境や苦境を嘆き同情を乞うことは簡単だが、それらを笑い飛ばし、さらには迎え撃つ覚悟を持つことはそう容易いことではない。けれど、彼らの楽曲を聴きたいというファンの想いが託されたリクエスト楽曲を“Oblivion”から“Travel”まで(上記セットリスト参照)メドレー形式で披露していく彼らは、雨に濡れようが風に吹かれようが文句なしに楽しそうだったし、悪天すらも味方につけ“Waterdrop”、“Thunder”の連続を最高に映えさせたところも含めて流石!と感動しきりだった。そしてリクエスト楽曲第1位として「みんな失恋ソングには弱いんですね」とフル演奏された“Leaving Grapefruits”を経て、「終盤戦は次の[ALEXANDROS]をお見せしたいと思います」と披露されたのは、11月にリリース予定のアルバムからの新曲“LAST MINUTE”! さらに銀テープ砲が発射された“明日、また”や超絶クールな“I Don’t Believe In You”さらに最新曲“Mosquito Bite”という現在の強気なバンドのモードを豪快に示し、本編を締め括った。

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雨も収まってきた中で熱望されたアンコールでは、オーディエンスが携帯電話のライトを点灯してイルミネーションを作り出して4人の登場を待っていた。再びステージに戻ったメンバーはサプライズ的なその光景を目の当たりにして「凄い!」と心から感動した様子で、「ステージの照明を落として、この灯りの中でライブできないかな?」と急遽演出の変更を申し立て、そんな心温まる幻想的な光景の中で「この曲をフルでやるのは実は初めてです。もう聴いたことがある人もいると思うんですけど、良かったら一緒に歌って下さい」と“ハナウタ”を初披露。雨上がりの会場にストリングスを交えた優しくて柔いサウンドと叙情的な歌詞が生み出す世界にまるごと浸りながら、その余韻を抱えつつ“Adventure”の音景へと飛び込んだ。そんな極上の心地好さでオーディエンスを魅了したままイベントの幕を閉じる――と思いきや、そこはやはりロックバンド・[ALEXANDROS]。火炎砲での演出を交えながら「ラスト1曲、お祭り騒ぎできますか!?」と最後に回し蹴りをかますかの如くサイケデリックロックチューン“Kick&Spin”をド派手にぶち込み、バンド史上初の快挙を締め括った。

[ALEXANDROS]/ZOZOマリンスタジアム -  Photo by 河本悠貴 Photo by 河本悠貴

ラストに打ちあがる予定だった花火は強風に伴い中止となったが、来年行われるバンド初のアリーナツアーの発表が最高のプレゼントとなった。本編のMC中、磯部による「初スタジアム、やっぱり気持ち良いですね。景色もいいし。もっとデカいところでやりたいですね。そうだね、東京ドームとか色々ありますけど。デカいところでやりたいって気持ちが大事ですから」との発言もあったが、初のスタジアム公演の最中に「ドームでやりたい」と堂々と言うその姿に上昇意識が本当に尽きないバンドだなとつくづく思ったし、ライブが終わった時にそれは夢物語ではないという確信がきっと誰しもの胸に刻まれただろう。絶えず有言実行で邁進していく彼らのドでかい未来を、これからも共有していきたいと思える夜だった。(峯岸利恵)
[ALEXANDROS]/ZOZOマリンスタジアム -  Photo by 山川哲矢 Photo by 山川哲矢
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