リリー・アレン @ 代官山UNIT

リリー・アレン @ 代官山UNIT - リリー・アレンリリー・アレン
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2月に待望のセカンド・アルバム『イッツ・ノット・ミー、イッツ・ユー』を発売したリリー・アレン。本国イギリスやカナダ、オーストラリアなど各国チャートで1位に輝き、全米でも5位を獲得するなど、世界的に好調なセールスを記録中だ。そんな新作を引っさげての来日が早くも実現。狂おしいまでのキュートさをふりまきながら、格段にスケール感が増したパフォーマンスで、場内を圧倒してみせた。

なお、今夜のライブはMySpaceが主催するライブ・シリーズ=シークレット・ショーとして、応募者の中から当選者のみ招待という形で開催されたもの。元祖MySpace発アーティストとして名を馳せ、現在も頻繁に日記を投稿するなど「MySpaceの申し子」的存在なリリー・アレンだけに、今回の企画も日本単発ではなく、ワールドワイドに展開。東京だけでなくニューヨークとロンドンでも同様のシークレット・ショーが開催されるという。

暗転した満員の場内、まずステージに姿をみせたのはギター、ドラム、ベース、キーボードのサポート4名。“エヴリワンズ・アット・イット”のイントロにのってリリーが登場すると、フロアからはひときわ大きな拍手と歓声が。

リリーといえば、ワンピドレスがおなじみだけど、今夜は、ちょっとラフなバイカー・スタイル。白いノースリーブ・カットソーに、黒いフリンジ付のレザージレを羽織って、デニムのホットパンツに足元はスニーカー。髪を結い上げているせいか、顔のちっちゃさが際立つ。もともと小柄だけど、スリムになって小動物的キュートさも倍増。そして、こんなカジュアルな格好をしていても、以前にはなかった艶っぽさが染み出ているところがやばい。かわいすぎる!!! リリーの登場後しばらくは、場内がその姿に見惚れてしまっている状況だった。女の子がかわいく成長していく姿は、見ているだけで幸せな気持ちにさせてくれるものなのだ。

そして、あの天衣無縫な歌声が伸びやかに放たれていく。早くも1曲目で、ビール瓶を片手にパフォーマンス。「ハロー、トーキョー」のMCに続いた“LDN”は、さりげなく歌詞の「LONDON」の部分を「TOKYO」に言い換えて披露。ロデオっぽい軽快な“ノット・フェア”ではコミカルな新境地をみせた。終盤“リトレスト・シングス”では、おなじみになったタバコも登場。愛情溢れる声援(?)が送られたりも。

セットリストは、ニュー・アルバムの楽曲が中心。1曲ごとにリリーが曲名を紹介するスタイルで、新作お披露目のショーケースという趣が強い。招待制イベントとあってか、新作の曲を、今日ここで初めて聴く、というオーディエンスも少なくなさそう。

バック・バンドは、本格的なツアーはこれからという時期であることからタイミングがずれたりしてしまう場面もあったけれど、どの面々も、スキルの高さをうかがわせる演奏ぶり。こうした鉄板の演奏は、キッチュなノリの前作よりも、流麗な新作の世界観にはまる。新作はCDで聴くと端整にまとまっている印象もあるが、それは焦点が定まっているとも言い換えられる。つまり、フォーカスを定めて力強い演奏を繰り出せば、ダイナミズムがどんどん引き出されていくタイプの曲が多いのだ。

そんな演奏にのせて、リリーは始終笑顔で、おおらかに歌い上げている。これまで観てきたライブに較べると、シンガーとしてのリリーが、目一杯羽をのばしているようにもみえる。とりわけ新作の曲で、歌い手としての表情が抜群に豊かになっていくのだ。今まで、あまりにも強烈な彼女の存在感・タレント性の高さもあって、陰に隠れがちだった、リリー・アレンの「歌唱」の個性と魅力を強烈にアピールするパフォーマンスだった。“ノット・フェア”で漂わせたファニーな色香も最高だったし、“バック・トゥ・ストリート”のような速射砲ボーカルや、そこでみせるメロウネスは彼女でしか表現できないものだろう。

インタビューによれば、リリーは、2ndを制作していく際、ライブでの再現性やパフォーマンス栄えを随分意識していたよう。まさにその真価が発揮された歌いっぷりだったと思う。あの新作は、是非ライブで体感すべきものなのだ。

ラストのブリトニー・スピアーズ“ウーマナイザー”カバーは、ツアーを頑張る自分へのご褒美!?と思わせるくらい、カラオケ・パーティ・ノリで楽しんでいたけれど、あっけらかんとそんなパフォーマンスをやってのけるところが、またなんとも彼女らしい。6月の日本ツアーが今から楽しみでしょうがない(森田美喜子)

1.エヴリワンズ・アット・イット
2.LDN
3.アイ・クッド・セイ
4.ノット・フェアー
5.ファック・ユー
6.フード・ハヴ・ノウン
7.22
8.ネヴァー・ゴナ・ハップン
9.バック・トゥ・ザ・スタート
10.リトレスト・シングス
11.スマイル
12.ザ・フィアー
13.ウーマナイザー
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