MONGOL800/日本武道館

MONGOL800/日本武道館 - All Photo by SARU(SARUYA AYUMI)All Photo by SARU(SARUYA AYUMI)

●セットリスト
01. Melody
02. PARTY
03. Love song
04. Real Life
05. 煩悩のブルース
06. 地球図鑑
07. HAPPY BIRTHDAY
08. 愛する花
09. 宝物
10. OKINAWA CALLING
11. honeymoon
12. あるがまま
13. 月灯りの下で
14. 神様
15. 小さな恋のうた
16. Iʼll be
17. 琉球愛歌
18. face to face
19. あなたに

(アンコール)
EN1.こいのうた
EN2.TRY ME ~私を信じて~
EN3.DONʼT WORRY BE HAPPY
EN4.夢叶う
EN5.Home


MONGOL800/日本武道館

「去年の今頃から20周年イヤーが始まっていて。制作したり、ツアーが始まったり、フェスがあったり……本当の締め括りでございます、『モンパチハタチ』! 今日の日をどれだけ楽しみにしてきたか、俺たちと一緒に勝負しましょう!」
開演早々から熱風のような多幸感に包まれたソールドアウト満場の日本武道館を、上江洌清作(B・Vo)のそんな言葉がさらなる高揚感の真っ只中へと導いていく――。

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リリース当時には実現しなかった「1stアルバムのリリースツアー」で全国ライブハウスを巡った「GO ON AS YOU ARE Tour 2018」、自身主催フェス「What a Wonderful World!!18」、オールキャリアを網羅した内容のホールツアー「Life is peaceful 2018-2019」、さらに新曲に初の個展に……と結成20周年=「モンパチハタチ」を全力で謳歌してきたMONGOL800。
その「モンパチハタチ」の大団円を飾ったのは、結成10周年(2009年12月)/15周年(2013年7月)に続き自身3度目となる日本武道館ワンマン「MONGOL800 20th ANNIVERSARY FINAL!! “モンパチハタチ at 日本武道館”」。その雄大なパンクロックの音像そのままに、どこまでも晴れやかで力強く「その先」への希望に満ちた音楽空間が、そこには確かにあった。

MONGOL800/日本武道館

「TISSUE FREAK RECORDS 20th」のロゴが映し出されたステージに上江洌清作、儀間崇(G・Vo)、髙里悟(Dr・Vo)とサポートメンバー=NARI(Sax・Flute/SCAFULL KING)&Seasir(Tp/DOBERMAN)が登場、「武道館! あーそびーましょー!」のキヨサクのコールとともに“Melody”で一面のクラップを巻き起こすと、“PARTY”のスウィンギンなビート感で会場丸ごと至上のパーティー空間へと塗り替えてみせる。
「『モンパチハタチ』、一緒にお祝いしてもらってもよろしいでしょうか?」というキヨサクの言葉に応えて巻き起こる歓声が、続いて3人編成で演奏された“Love song”では見渡す限りのシンガロングの輪となって広がっていく。我を忘れた非日常的な狂騒感によってではなく、今ここにある生活と現実そのものを祝福するようなモンパチの世界観と楽曲群が、序盤からクライマックス級の熱気を生み出していた。

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でっかい包容力とタフネスを備えたキヨサクの歌声。時に鋭利に熱気を刻み、時にしなやかに観客の歓喜と響き合うタカシのギター。シンプルなバンドサウンドにダイナミックな推進力を与えているサトシのドラム。パンクを軸にロックンロール/レゲエ/沖縄民謡など多彩な要素が血肉化されたバンドアンサンブル越しに、20年間に及ぶ3人の道程の証がひとつひとつ鮮やかに咲き誇っていく。
彼らのバンドヒストリーを祝福するかのような“HAPPY BIRTHDAY”の大合唱も、“愛する花”で客席一面に突き上がった歌声と拳も、すべてが最高の祝祭感に満ちた名場面だった。

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「2月の寒空の武道館を、一気に真夏の沖縄まで持っていきたいと思います!」と“OKINAWA CALLING”へ流れ込もうとした時、舞台に響き渡る「タカシ! タカシ!」の声とともに舞台中央にせり上がってきたのは、メンバーの高校の先輩でもあるというパーティーダンサー=粒マスタード安次嶺。《悲しみなんて笑い飛ばせ》という“OKINAWA CALLING”の上昇気流感も、「モンパチハタチ」を彩る新曲“honeymoon”の開放感も、渾身のダンスパフォーマンスと「797、798、799……MONGOL、800!」のコールで、武道館をさらなる快楽のレッドゾーンへ叩き込んでみせた。

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「先輩バンドには30周年とか40周年っていう人たちがザラにいるし。俺たちもどんどん突っ走っていくんで。これからもよろしくお願いします!」と「これから」への意欲を覗かせたタカシ。「高校入って、ドラムがほんまにできない初心者の俺をメンバーに加えて……あの頃、武道館に立ってるって誰が想像します? このふたりがバンドに誘ってくれなかったら、僕はここにいないんで。タカシもキヨサクも、本当にありがとう!」とメンバーへの感謝を伝えるサトシ。「3回目の武道館、毎回毎回景色が違って。続けることってほんと大変ですけど、大事だなって」と20周年の実感を語るキヨサク。それぞれの言葉に、今この瞬間の充実感が色濃く滲む。

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20年間の歴史を凝縮したようなセットの中、「お茶の間レベルでモンパチの名前を届けてくれたのは1stだったり、2ndの『MESSAGE』だったりするんですけど。個人的に好きなのは3枚目の『百々』っていうアルバムで」というキヨサクの言葉に続けて披露されたのは“あるがまま”。人生という終わりなき旅を、雨も風も受けながら自分を信じて歩んでいく――という決意の歌が、武道館にひときわ爽快な風を吹かせていた。
そしてライブ後半、熱気あふれる会場に凛とした切実さをもって響いたのは“神様”。《猿の成れの果て 歩いたと思ったら戦争ばっかりしててさ》というシビアな言葉と《神様お願いがあるのです 上手に騙して下さい》と皮肉交じりの真摯な祈りが、ひときわ決然とした趣のサウンドスケープとともに会場狭しと広がっていった。

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「見る限り、お客さんの層がね、ちっちゃい子からおっきい子まで来てくれて。見事に世代がチャンプルーしてるわけですよ、いい感じに(笑)」と満足げにキヨサクが語る。
「ありがたいことに、世代を超えて歌がちゃんとつながっていくっていうのが、身にしみてわかるんですけど。20年もやっていれば、すごいことが起きるんだなあと。世代を超えてたくさんの人が歌ってくれた、たくさんのアーティストがカバーしてくれたモンパチの曲が……なんと映画になることが決まりました!」と映画『小さな恋のうた』について触れ、同作品の全国公開日が5月24日(金)であることがキヨサクから明かされると、客席一丸の拍手と歓声が響き渡り、“小さな恋のうた”で「続き歌ってもらっていいですか?」と客席にマイクを向けるキヨサク&タカシに応えて、割れんばかりの大合唱が轟いていった。

MONGOL800/日本武道館

ライブ終盤に差し掛かるにつれて、“I’ll be”からエイサーの太鼓とともに強靭な響きを聴かせた“琉球愛歌”、さらに“face to face”へ……と夜の暗闇の底から夜明けへ至るような時間を描き出してみせる3人。キャノン砲の金テープ舞い踊る中、圧巻のシンガロングとともに本編ラストを飾った“あなたに”は、まさしくこの日の武道館に降り注いだ福音のようだった。

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アンコールではエイサー太鼓隊とNARI&Seasirとともに“こいのうた”(GO!GO!7188)、さらにダンサー・安次嶺も登場してのスカパンク祭囃子的なアレンジでの“TRY ME ~私を信じて~”(安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S)とカバー曲を連発。
さらに“DONʼT WORRY BE HAPPY”、“夢叶う”で一段と熱いシンガロングを呼び起こした後、「まだまだここから、もっともっと長いお付き合いをしましょう!」というキヨサクの呼びかけとともに、この日のフィナーレとして披露されたのは“Home”だった。目映いばかりのメロディに託された《don’t worry I’ll be back for you/my sweet home “OKINAWA”》のフレーズが、そして場内一面の《la la la la…》の大合唱が、バンドと僕らの未来を指し示すように高らかに鳴り渡っていった。(高橋智樹)

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