『SEAMO SCRAP&BUILD TOUR 〜全国天狗ビル建設物語』のセミファイナル、東京・代々木第一体育館という大会場。アルバムタイトル『SCRAP&BUILD』にかけて、全国16ヶ所に「天狗ビル」を建設する、出演者&スタッフはその建設作業員たち、という設定でのライブ。なので、全員が建設作業員の格好をしていて、この現場に臨んでいる。
映像、多数。その映像の中の小芝居・小ネタ多数。ゲスト、多数。ダンスチーム、DJ以外の楽器あれこれ、なども多数。そもそも曲数自体が多数。と、書きたいところ満載なんだけど、22日(日)に名古屋ガイシホールでのファイナルが残っているので、ネタバレになるので書けないのでした。
あの大ヒット曲は今聴いてもすごい完成度で、イントロからシメまでいちいちアガるな、ライブだとその鉄壁さがよりリアルに伝わるなあと、改めて思った。
SEAMOは、基本的にセンチメンタルでウェットな感動方向に突き進む曲の多いアーティストだと僕は思っているんだけど、特に、本編最後のあのヒット曲の、ある歌詞のワンフレーズに、ぐっときてしまった。
アンコールが始まる時の映像のギャグには「しょうもなー」と思いながらつい笑った。
とか、色々あるのですが、そんなふうにあいまいに書かれても、読まされる方も困ると思うが、とにかく、それだけでも伝えたくなるくらい、本人、大熱演。持てる力のすべてを使ってエンタテインしている感じで、感動的なものがあった。
おなじみ、天狗スタイルのあれもありでした。しかも「あ、おなじみだ」と思って観ていたら、ちょっと意表をつかれて驚く展開でした。
あと、ちょっとびっくりしたこと。この日の代々木第一体育館は、満員にはなっていなかった。ということは、普段、このライブレポートでは、わざわざ書かないようにしている。それを書いても、アーティストも、読む方も、誰もうれしくないと思うからだ。でも、なんでこうして書いたのかというと、アンコールの時のMCで本人が言ったのだ。「ここは本当にでかいです。正直、埋めることはできませんでした!」と。
オープニングの映像で「でかすぎるよ!」と自らつっこんだり、「本当は武道館がいいと思ったんだけどレミオロメンに2デイズで押さえられてました」と笑いをとったり、「でも、ここに来てくれたみなさんが友達1人連れてきてくれれば、ここは人が溢れます! 次、ぜひよろしくお願いします!」とお願いしたり、基本的にギャグにしていたんだけど、その「わざわざそのことに触れた」という事実に、「へえー、やるなあ」と思ったのでした。度量のでかさと、来てくれたファンに対する正直さの表れだと思った。
もうひとつ。最初に、スタッフ全員建設作業員の格好だった、と書いたが、このあとDVDを出すのか、映像カメラがいっぱい入っていた。で、そのカメラマンまで全員建設作業員の格好をしていたのが、秀逸だった。昔、筋肉少女帯のライブで、カメラマンが全員道化師の格好をしていて、「これいい演出だなあ。みんなこれを真似するようになるだろうなあ」と思ったんだけど、そうでもない。最近、大会場のライブは必ずカメラが入っているし、みんなもっとやればいいのに。と、思ったりもしました。(兵庫慎司)