星野源×マーク・ロンソン/横浜アリーナ

星野源×マーク・ロンソン/横浜アリーナ - Photo by 田中聖太郎Photo by 田中聖太郎

昨年の幕張メッセ以来、約1年ぶりとなる星野源マーク・ロンソンのダブルヘッドライナーショー。今回は星野の「“POP VIRUS” World Tour」の一環として、横浜アリーナで2日間にわたり開催された。ここにレポートするのは、その2日目、12月10日の模様である。

星野源×マーク・ロンソン/横浜アリーナ - Photo by Masanori NarusePhoto by Masanori Naruse
星野源×マーク・ロンソン/横浜アリーナ - Photo by Masanori NarusePhoto by Masanori Naruse

まずステージに登場したのはマーク・ロンソン。DJ卓とアップライトピアノが置かれたステージの後方には総勢12人のストリングスセクションが控えている。マークがピアノを弾いて「コンニチハ、ヨコハマ!」という挨拶から最新アルバムのタイトルトラック“Late Night Feelings”に流れ込むと、そこからはヒット曲の大盤振る舞い。オーストラリア人シンガー、ダニエル・メリウェザーに加えて星野源を呼び込んで披露した映画『アリー/スター誕生』の主題歌“シャロウ 〜『アリー/ スター誕生』 愛のうた”では、ときどきアイコンタクトをしながらしなやかなギターサウンドを奏でるマークと星野の姿が印象的だった。そこからのDJセットではマイリー・サイラスが歌う“Nothing Breaks Like a Heart”と彼の父親であるビリー・レイ・サイラスが参加したリル・ナズ・Xの“Old Town Road”をミックスし、さらに自身のヒットチューン“Uptown Funk”と“Electricity”をつなぐという必殺コンボ。そして最後を飾ったのは、彼の名声を決定的にしたエイミー・ワインハウスの“Back to Black”と“Valerie”だった。そのさなか、マークは「ヨコハマ、この素晴らしい音楽を祝福しよう!」と客席に語りかけた。その「音楽」という言葉が指し示していたのは、今鳴らしている曲だけではなかったと思う。音楽の折り重なる歴史に対する敬意と愛情。マークは短いステージでそれを思いっきり溢れさせていたのだ。

星野源×マーク・ロンソン/横浜アリーナ - Photo by 渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)Photo by 渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

さて、転換を挟んでいよいよ星野の出番である。マークのステージがそうであったように、彼のライブもまた、音楽が生まれていく瞬間、そして音楽が続いていくことに対してのリスペクトがポップに爆発するステージだった。まずは“Pop Virus”のギターフレーズを静かに爪弾き始めると、そこにSTUTSのMPCから繰り出されるビートに合わせてまばゆいストロボライトが光り、徐々にテンションを高めていく。そして「一緒に歌おう!」と“SUN”へ。いうまでもなく、マーク・ロンソンの“Uptown Funk”に感化されて生まれたという、ふたりをつなぐ1曲である。総勢9名のバンドを従えた華やかなサウンドに、客席一面大合唱で応える。さらにステージがピンクの光で彩られた“桜の森”のアウトロでは星野の一心不乱のカッティングにますます客席の興奮は募る。

星野源×マーク・ロンソン/横浜アリーナ - Photo by 田中聖太郎Photo by 田中聖太郎

「改めましてこんばんは、星野源です! いや、マークのステージ素晴らしかったっすね」という挨拶からコール&レスポンスを経て、次にやる曲について話し始める星野。ライブで演奏するのはかなり久しぶり、しかし「8年前にやろうとしたことが今にガッツリつながっている」というその曲はアルバム『エピソード』からの“湯気”だ。ストップ・アンド・ゴーを織り交ぜて客席に笑いももたらしながら、ひたすら味わい深いセッションが繰り広げられる。そこから新曲“Ain’t Nobody Know”へ。この2曲のシームレスなつながりに、先ほどの星野の言葉がよみがえってくる。そこから“地獄でなぜ悪い”をきらびやかにぶち上げると、STUTSのMPCを拍子木代わりに始まった“KIDS”ではそのSTUTSとドラムの河村“カースケ”智康のソロの応酬によるバトルも勃発する。

星野源×マーク・ロンソン/横浜アリーナ - Photo by 渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)Photo by 渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

そして「あー、プリン食べたい!」という一言から“プリン”へ。曲中でピタッと音が止まって「お約束」のハマ・オカモト(B)によるトークコーナーが始まる。「どうもみなさんこんばんは」と話し始めたハマ。ステージの真ん中にあぐらをかいて星野(暑かったのか上着を脱いでいる)と和やかに話し始める。バイオリンの岡村美央が空港で「免税店」を「脱税店」と言い間違えたとか、うどんに七味入れすぎとか、他愛もない話が進むなか、ギターの長岡亮介が「今日はトイレ行かないの?」と星野に尋ねる。前日の公演の途中で突如催してトイレに行くという事件があったそうで、それに便乗して自身もついていったカースケも交えてひとしきり盛り上がる。それ以上でもそれ以下でもない、そこにことさらの意味など求めてはいけない余興。だが、こういうところにこそ星野源の音楽はある、と思う。音楽と生活と生理現象が一続きになっているというか、そうでなければ音楽などやる意味がない、と大げさにいえばそんな信念が星野源の音楽を普遍的なものにしているのだと改めて思うのである。

星野源×マーク・ロンソン/横浜アリーナ - Photo by 田中聖太郎Photo by 田中聖太郎

さて、再び曲に戻ってビシッと収めると、“ドラえもん”を経て日本でやるのはこのツアーが初という“Same Thing”へ。オロノ(スーパーオーガニズム)のパートをパペットに託しつつ、《Wabi sabi》のシンガロングも巻き起こしてみせた。そして「最高ですね! 気持ちがいい。よければ『あの歌』で一緒に踊りません?」と“恋”を投下。ステージの左右に張り出した花道を走って客席に近づきながら笑顔で手を振る星野の姿は、まぎれもないポップスターだ。本編ラストは“アイデア”。ダイナミックなバンドサウンドから素朴な弾き語りを経て、ラストは力いっぱいドラを叩き、ライブはいったんの大団円を迎えた。

星野源×マーク・ロンソン/横浜アリーナ - Photo by 田中聖太郎Photo by 田中聖太郎

アンコールでは、「ベリースペシャルゲスト」と呼び込んだマーク・ロンソンがギターを弾いて“Week End”。マークと2度もハグして悲鳴のような歓声を浴びつつ、最後は“Hello Song”でここにいる全員との再会を誓って2日間の横浜公演はフィナーレを迎えた。「いろんな場所に行って、いろんな人とコミュニケーションを取って、心から実感できたのは……音楽には本当に国境はないですね。こんなに通じ合えたり、分かり合えたり、一緒に歌ったり。そういうことができるんだな……」。最後の曲を始める前、星野はそう感慨深げに語っていた。過去と現在。生活と芸術。星野とマーク。そして横浜アリーナに集まった多くのオーディエンスと星野。伝染力の強いポップ・ウィルスで生まれたつながりが、また次の出会いを生み出していく。ふたりのステージはその方法論こそ違えど、そんなポップミュージックの力を誇っているように思えた。(小川智宏)



【セットリスト】
■マーク・ロンソン

1. Late Night Prelude
2. Late Night Feelings (feat. Lykke Li)
3. Ooh Wee (feat. Ghostface Killah, Nate Dogg, Trife & Saigon)
4. Stop Me (feat. Daniel Merriweather) w/ダニエル・メリウェザー
5. シャロウ 〜『アリー/ スター誕生』 愛のうた w/ダニエル・メリウェザー、星野源
6. Nothing Breaks Like a Heart (feat. Miley Cyrus)
7. Old Town Road (feat. Billy Ray Cyrus)[REMIX]
8. Uptown Funk (feat. Bruno Mars)
9. Electricity
10. Back to Black
11. Valerie (feat. Amy Winehouse)

■星野源
1. Pop Virus
2. SUN
3.桜の森
4.湯気
5. Ain't Nobody Know
6. 地獄でなぜ悪い
7. KIDS
8. プリン
9. ドラえもん
10. Same Thing
11. 恋
12. アイデア
(アンコール)
EN1. Week End(feat. マーク・ロンソン)
EN2. Hello Song



終演後ブログ
【速報】星野源×マーク・ロンソン、横浜アリーナ公演を観た
「“POP VIRUS” World Tour」、横浜2日目。星野源とマーク・ロンソンのダブルヘッドライナー・ショー。 マークがクライマックスでプレイした2曲には、音楽の偉大なる永遠が刻まれていた。そして星野は昔やろうとしたことが今につながると言って、久しぶりの過去曲と最新曲を並べて…
【速報】星野源×マーク・ロンソン、横浜アリーナ公演を観た
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする