Dragon Ash/Zepp DiverCity(TOKYO)

Dragon Ash/Zepp DiverCity(TOKYO) - All photo by TAKAHIRO TAKINAMIAll photo by TAKAHIRO TAKINAMI

●セットリスト
01.Viva la revolution(paint the lily mix)
02.Run to the Sun
03.Fly Over feat. T$UYO$HI
04.ROCKET DIVE
05.Walk with Dreams
06.Ode to Joy
07.光りの街
08.ダイアログ
09.Beautiful
10.Let yourself go, Let myself go
11.Mix it Up
12.For divers area
13.百合の咲く場所で
14.Aim High
15.Jump
16.Fantasista
17.TIME OF YOUR LIFE
18.Lily
(アンコール)
EN1.A Hundred Emotions
En2.陽はまたのぼりくりかえす
En3.Curtain Call


Dragon Ash/Zepp DiverCity(TOKYO)
「T$UYO$HIと駆けずり回った2019年、その集大成のライブを観てやってください! 自信を持って言わせてよ。――これが今のDragon Ashだよ!」
ライブ序盤の“Run to the Sun”の曲中、フロア狭しと吹き荒れる雄叫びのようなシンガロングを全身に受けながら、Kj(Vo・G)は力強く叫び上げていた。強靭に鍛え続けたミクスチャーロックの剛性と爆発力、オーディエンスと培ってきた揺るぎない信頼関係が、眩しいくらいの狂騒祝祭空間を描き出す。最高の一夜だった。

Dragon Ash/Zepp DiverCity(TOKYO)
楽器隊のみの5人編成で普段は回れない小規模な会場を巡る「THE FIVES」、7人フルラインナップでの「THE SEVENS」の二段構えで9月から日本全国をサーキットしてきた、Dragon Ashのワンマンツアー「DRAGONASH TOUR 2019 “THE FIVES” / “THE SEVENS” supported by Canva」が12月27日、東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でファイナルを迎えた。
夏フェスシーズン直前のKenKen(B)戦線離脱という困難な状況を、盟友・T$UYO$HI(The BONEZPay money To my Pain)をサポートに迎えて乗り越えた今回のツアー。そのファイナルを飾ったこの日のアクトは、Dragon Ashという日本屈指のロックバンドのアイデンティティを、ステージとフロアが一丸となって再確認するような、濃密な一体感に満ちていた。

Dragon Ash/Zepp DiverCity(TOKYO)
Dragon Ash/Zepp DiverCity(TOKYO)
BOTS(DJ)による“威風堂々”のイントロダクションが流れる中、 Kj、桜井誠(Dr)、HIROKI(G)、T$UYO$HIが登場、ステージ両袖のお立ち台でATSUSHI(Dancer)、DRI-V(Dancer)が赤と青のフラッグを掲げる中、1曲目から鳴り渡ったのは“Viva la revolution”! ライブ終盤を彩ることの多いアンセムが、ブレイクビーツ風のリズムを擁したロックアレンジでいきなり飛び出した段階で、これまでのツアーとは異なる空気感を誰もが感じていたことと思う。
そのままオンビートで“Run to the Sun”、さらにT$UYO$HIとの絆の象徴とも言うべき最新配信シングル“Fly Over feat. T$UYO$HI”の超硬質な重轟音が鮮烈に響き渡ると、フロアは刻一刻とカオティックなまでの多幸感に包まれ、hide“ROCKET DIVE”カバーのダンサブルな躍動感とともに、会場は序盤から歌声とクラップとクラウドサーフに沸き返っていく。

Dragon Ash/Zepp DiverCity(TOKYO)
Dragon Ash/Zepp DiverCity(TOKYO)
「歓喜の歌だ! 飛び跳ねろ!」のKjのコールとともに熱くフロアを揺らした“Ode to Joy”といった最新アルバム『MAJESTIC』の楽曲群から、亡きIKÜZÖNEが最後のレコーディングを行った楽曲“Walk with Dreams”、Kjがアコギを構えてのラテンテイストの“Beautiful”(2007年アルバム『INDEPENDIENTE』)、さらには90年代のシングルナンバー“Let yourself go, Let myself go”……とバンドの足跡を今この一夜に丹念に凝縮したような選曲に、1曲ごとに驚きと感激の声が巻き起こる。
そんな中、「当たり前のように横にいた人がいなくなったり、俺たちにとってはとても困難な1年ではあったけど、それでも俺たちは音楽がやりたいし、こうやって平日のライブハウスを全国で埋めてくれる――今俺たちが音楽をやれる理由を曲にしてきたんで、聴いてください」というKjの言葉とともに披露されたのは、最新曲“ダイアログ”。ハンドマイクのKjが「君」との真摯な魂の対話(dialogue)を歌い上げるラウドバラードが、観る者の体と心を震わせる。

“Mix it Up”の超弩級のロックアンサンブルから、ロックとライブハウスとオーディエンスへの不朽の賛歌“For divers area”へ……とライブは後半に差し掛かりなおも熱量を増していく。“百合の咲く場所で”、“Aim High”と『LILY OF DA VALLEY』(2001年)の楽曲を畳み掛けたところへ、『MAJESTIC』からの“Jump”、さらにロックの高揚感の結晶の如きキラーナンバー=“Fantasista”! 歓喜の超特急の如き展開に、Zeppはよりいっそう熱い大合唱と熱狂の風景へと塗り替えられていく。
そして――盟友の新たな旅立ちに捧げた“TIME OF YOUR LIFE”に続けて本編の最後に演奏した楽曲は“Lily”だった。ラストのサビで《間違いを犯し 許された昨日を/誰かを許す今日に変えていけるよ》のフレーズを観客の歌声に託し、《咲き誇れ》と渾身の絶唱を響かせるKjの姿は、無防備なほどに露わでダイレクトなエモーションを物語るものだった。

Dragon Ash/Zepp DiverCity(TOKYO)
「どんな時でも、ライブハウスやロックバンドや音楽を傍に置いてくれて、ありがとうございます」――アンコールの“A Hundred Emotions”の前、Kjはそんなふうに感謝の想いを伝えていた。さらに、桜井やBOTSをはじめメンバーひとりひとりがファンとT$UYO$HIへの感謝を口にしていたのも印象的だった。
「Dragon Ashのみんなには『ベース弾いてくれてありがとう』って言われるけど、Dragon Ashをやっていなかったら俺はたぶん今頃、家でひとり悶々としてヤバかったと思います。逆に、誘ってくれてありがとう!」というT$UYO$HIの言葉に、ひときわ熱い拍手喝采が広がる。

Dragon Ash/Zepp DiverCity(TOKYO)
初期曲も数々飛び出したこの日のアクト、アンコールではバンドの運命を切り開いた名曲“陽はまたのぼりくりかえす”も披露され、激動のロックシーンにおいて誰よりも連帯と共闘を体現してきたDragon Ashの在り方を改めてくっきりと立ち昇らせていた。
この日のラストナンバーは“Curtain Call”。演奏中にお互いへのリスペクトをこめてハグを交わすKj&T$UYO$HIのシルエットが照明の中に浮かび上がり、7人一丸のダイナミックな音像&艶舞がオーディエンスのシンガロングと渾然一体となって、ツアーの終幕を目映く彩っていった。(高橋智樹)
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