XIIX/マイナビBLITZ赤坂

XIIX/マイナビBLITZ赤坂 - All Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)All Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)

●セットリスト
1.E△7
2.LIFE IS MUSIC!!!!!
3.XXXXX
4.Light & Shadow
5.Fantome
6.4:43 AM
7.曙空をみつけて
8.5:03 PM
9.夕映えに紛れて
10.Saturdays
11.新曲
12.ilaksa
13.Answer5
14.Stay Mellow
(アンコール)
EN1.新曲



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UNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介(Vo・G)と米津玄師ゆずSuperflyらのサポートとしても活躍する須藤優(B)による新バンド・XIIX。アルバム『White White』でデビューした彼らが、リリース翌週、東京・大阪で初ライブを開催した。この記事では、1月27日・東京公演の模様をレポート。

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アルバム1曲目のインスト曲“White White”がSEとして流れるなか、メンバーが入場。静寂を挟み、まず鳴らされたのは“E△7”だ。この日はXIIXにとって初めてのライブだが、観客にとってもそれは同様。互いに若干探り合っているような、緊張感に近い空気が漂っている。1曲終え、「こんばんは、XIIXです!」と斎藤。どこからともなく秒針の音が鳴り、“LIFE IS MUSIC!!!!!”が始まる。

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XIIXの音楽では、生身のバンドサウンドと作り込まれたトラックとが分断されることなく共存している。ライブでは、河村吉宏(Dr)、山本健太(Key)を迎えた4ピースサウンドに、4人では再現しきれない音をHIRORON(Manipulator・DJ)が加える形でそれが表現されていた。元々XIIXをセカンドプロジェクト的な位置づけにするつもりはなく、「やるからにはしっかりとクオリティの高いものを」という心持ちでいることをインタビューなどで明かしている斎藤と須藤。音源における継ぎ目のない端正なサウンドには、そんな彼らなりの美学が表れていたが、ライブだとその構築美をはみ出す瞬間も多々あり、彼ら自身もそれもまた一興だと楽しんでいる様子である。例えば“LIFE IS MUSIC!!!!!”では、バンド全体で鳴らすキメの合間に各メンバーがオカズ的なフレーズを挟み、曲が進むにつれてその割合がどんどん増えていく。エッジの効いたプレイをするサポートメンバーも刺激をもたらし、波に乗るように、斎藤のボーカルにリズムが出てくる。ライブが始まった時より明らかに勢いづいている。

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同期によるストリングスもドラマティックな“Light & Shadow”を終え、一旦MC。2人でライブの始まりを振り返ったあと、斎藤が改めて「お披露目ライブなので気楽に楽しんでもらえたらと。ピチピチの34歳新人がお届けしますので、不束者ですがよろしくお願いします」と挨拶する。

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MC明けには鍵盤のインタールードがあり、斎藤と須藤がハイチェアに腰かけ、そして斎藤はアコースティックギターに持ち替え、“Fantome”をしっとりと演奏。ここで須藤以外のメンバーが捌け、ベースソロによるインスト曲“4:43 AM”が始まった。例えばピアノという楽器の大きな特長に「メロディ、ハーモニー、リズムを1台で鳴らせる」ことがあるが、この時の須藤のソロにもそれに似た趣があり、ベースという楽器の奥深さに気づかせられる。弦の響きや繊細なタッチにオーディエンスもじっと聴き入っているようだ。そこに斎藤が合流し、“曙空をみつけて”を演奏すると、今度は斎藤が一人ステージに残り、ギターソロによるインスト曲“5:03 PM”がスタート。ループマシンを使用し、その場で弾いたフレーズが重ねられ、曲の輪郭が次第に浮かび上がる。そしてそのまま“夕映えに紛れて”へ。後半ではバンドが加わり、音源にはない部分も演奏される。

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2度目のMCでは須藤が、『White White』がライブをあまり想定せずに作ったアルバムだと明かし、ライブアレンジに悩んだが楽しくやれていると手応えを語った。さらに「初めはどうなるかと思ったけど、(斎藤と)一緒にやるにつれて、お互いのいいところを引き出せる関係性になれてるなと思って」と続ける。

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斎藤が「僕らの溢れ出る制作意欲がガシガシと新曲を作らせておりまして」と語っていたように、アルバムには収録しきれなかった曲が10曲程度、アルバム完成後に作った曲が3曲程度既にあるらしく、MC後には未発表の新曲が披露された。ギターのカッティングから始まる鋭いロックチューンと思いきや、転調を経て、最終的に壮大なスケールを描く曲だ。ここからクライマックスへ向けて急加速。マイクがあるため定位置から動けない斎藤に対し、須藤は他のメンバーの方に駆け寄ったりステージ前方に出て行ったりしている。他アーティストのサポートミュージシャンとしてステージに立っている時にはあまり見られない光景だ。“Answer5”の間奏では、斎藤がメンバーを紹介しつつのソロ回しも。自分の番になったらどうするのかと思いきや、「俺ー!」と叫びながらギターを思いっきり掻き鳴らしていた。

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本編ラストは“Stay Mellow”。高速ラップの直後に別のメロディを歌い始めるラスサビ前、こういうところでこそ同期でボーカルを重ねてしまえば楽だろうにそうはせず、難易度の高さに顔を歪めることもなく一息で歌ってみせるのが斎藤宏介というボーカリストである。そしてアンコールでは、先ほどとはまた違う新曲を披露。「僕たちまだスタート地点に立ったばかりで。このメンバーでちょっとずつ階段を上っていきながら、長く長く続けていきたいと思います」という斎藤の言葉に観客が温かな拍手を送った。

そうして記念すべき初舞台は終了。これまでの各々の活動で培われた演奏力。とはいえ、それをひけらかしはしない品の良さ。楽曲や音作りなどに滲み出るメンバーの趣味趣向。バンドという形態に求めるもの。初ライブならではの初々しさもありつつ、XIIXを形作る個性がしっかりと伝わってくるような良いライブだった。(蜂須賀ちなみ)

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