サポート1名含む5名全員が、フォーマルなパーティ・スタイルで登場。「キャー」と歓声もすごいが、ほのかに色気を放つジェイコブはすでにかなりの女子人気を獲得しているよう。確かに蝶ネクタイでキメたジェイコブの姿を目にすると、パーティのエスコート上手そうだなー、といらぬ妄想も膨らむ。
メランコリックなキーボードのフレーズが引導する“ユー・アー・オール・アイ・ニード”で幕開け。甘く伸びやかなジェイコブの歌声は、やはり個性的。声量で圧倒するというよりは、ニュアンスで人を魅了してやまないタイプのボーカリストだ。
アルバム『エヴリシング・アバウト』は、曲がいいのはもちろんだが、作品全体から、ちょっといなたいファニーな親しみやすさが溢れていて、そこが大きなチャーム・ポイントになっている。彼らのつむぐサウンドは本当に耳なじみがいいが、それは構成を計算し尽くした結果というよりは、ストレートな音楽愛の結晶である、ということが、しみじみ感じられる作品なのだ。ライブは、そんな彼らの“音楽愛”が幸福な弾け方をみせる場となっていた。
序盤、フロアとステージが互いにしっくりくるヴァイブを手探りしつつ、という初来日ならではの雰囲気もあったが、バンドの演奏の調子も尻上がりにタイトになっていき、4曲目の“トゥー・メニー・ウェイズ”をパフォーマンスする頃には、手拍子があちこちから発生。一聴して口ずさみたくなるようなメロディが満載なことに加え、ライブでは、身体を揺らしたくなる、即効性満点なシンセのフレーズが強調して鳴らされる。ベタな必殺フレーズも満載なのだが、彼らが単においしいところどりをしているのではなく、ファンクやディスコ、ソウルの根底にある「愛」に対峙するスタンスをきちんと咀嚼したうえで、彼らがこうした必殺フレーズを繰り出していることが伝わってくるだけに、こちらもひたすら気持ち良く盛り上がれる。結果、まさにフロアは「“音”を介して、居合わせた人皆がハッピーな気持ちになっていく」という状況に。これはアーティストの意気込みがあるだけでは実現不可能なことでもある。ワーグナー・ラヴは見事、楽曲のクオリティーとTシャツをフロアに投げ入れたりするサービス精神と、手堅い演奏力でもって、この夜を、そんな至福の一夜にしてしまっていた。
特にアップ・テンポな楽曲の盛り上がりはすさまじく“ドゥー・イン・イット”などでは観客の間から自然とハンドウェーブも湧き上がり、“ビガー・ザン・ユー”では、軽快なイントロにのせて、ハンド・クラップが。彼らのパフォーマンスは、フェスなんかでもとてつもない効力を発揮しそう。(森田美喜子)
1.ユー・アー・オール・アイ・ニード
2.ゼイ・ドント・イーヴン・ケア
3.ネヴァー・ビー・ザ・ワン
4.トゥー・メニー・ウェイズ
5.エヴリバディー・ランズ
6.FAILURE
7.ドゥー・イン・イット
8.SOUS LA PLAGE
9.ビガー・ザン・ユー
10.アイ・ノウ
アンコール
11.ゴースト
12.ワントゥスリー