場内は上までぎっしりの超満員。作品リリースするごとにテーマ・カラーを設定してきたKREVAだが、今のテーマ・カラーは「青」とあって、ステージの白幕にあてられた照明も青、オフィシャル・グッズも青が基調になっており、場内には“青”が溢れている。なぜかそこにいるだけで、シャキっとした清々しい気持ちになってくるから、“色”の持つパワーは不思議だ。
暗転後、幕がせりあがると、ステージ上壇にはKREVAのシルエットが。威風堂々としたたたずまいは、試合直前のアスリートのよう。ここまでの積み重ねに対する自信をみなぎらせながら、本番に向けて高めてきた集中力、緊張感がビシバシ伝わってくる。「Yeah〜〜!」という雄たけびに続いた“成功”のイントロとともに、フロアが一気にはじけて、床がしなる。1万名以上のオーディエンスによるハンドウェーブは、実に壮観。
「ようこそ意味深2へ」という第一声ののちメンバー紹介を。ステージ中央にKREVA、その背後にDJブースが3台という、すっきりしたステージ・セット。“THE SHOW”“あかさたなはまやらわをん”“Have a nice day!”と一気に畳み掛かけ、フロアも沸点に。そうして絶頂へ達したところで、燕尾服を着用しているだけに「水嶋ヒロです…」と笑いをとりつつ「いいライブは、いいお客さんにめぐまれないとできない。今日はいいライブになりそうな予感でいっぱいです」「今日アンコールっていうのがないんですよ。はっきり言って“意味深”っていうのは、普段やらないことをやるライブなんです」と、のっけにアンコールなしという衝撃の告白を。「だからこそ、思い残すことのないように目いっぱい楽しんで」という言葉に続けて、「熊井吾郎のいない2DJスタイル」「俺の曲じゃない、俺の曲っていうのがたくさんあってそれをやります」と“意味深2”の方向性をちゃんと提示してみせる。アンコールなしというのは、残念ではあるけれど、それもひとつの挑戦だし、今夜これまでになかったような楽しいことが間違いなく起きる、という期待感が一気に高まる。アメとムチといったら言い過ぎかもしれないけれど、こういうメリハリのつけ方が本当にうまい!
確かに客演の多いKREVA。SEEDA、L-VOKALといった気鋭のMCから、ポップ・フィールドのシンガーまで、まさに引っ張りだこ状態だが、なんと今夜は千晴との共演に続いて、三浦大知が登場!! プロ・シンガーとしてキャリア12年は伊達じゃなく、歌声に圧倒的な華があって、ダンスも上手いし、ステージ上の身のこなしも貫禄たっぷり。歌が上手いだけのシンガーではどうしたって醸せない、スターとしてのオーラが漂っている。斬新な展開なだけに、フロアにはごく序盤、様子見な空気も流れていたが、3曲目の“Magic Remix〜勝手にリミックスシリーズVol.2”の頃にはすっかりハンドウェーブが巻き起こっていた。本当にあのパフォーマンスを生で体感することができて良かった。KREVAとのボーカルの掛け合いも最高で、KREVAも「次への可能性をみせられたと思ってます」といっていたれど、KREVAとモダンなR&Bマナーとの相性の良さ(個人的にはNe-Yoとカニエ・ウェストの共演を思い起こしたりも)にあらためて感じ入った次第。
暗転後、ステージ中央には機材ブースが。「まだ慣れないのでとちったりするかもしれないけど、座ってみてください」とのMCに続いて、本日初登場(おそらくライブでは世界初かも)のDVJVが登場。DVD(つまり映像と音)をDJのように、ミックスできるというスーパー最新鋭の機材(お値段70万円!)。まずは、実際に、映像素材と音が、その場でどういう風にミックスされていくのかのレクチャーを。映像面のエフェクト機能が本当に多彩で、コマ割り、反転などが自由自在。ステージ背後のスクリーンにとんでもない映像が、瞬時に映し出されていく。今まで、DJとVJは分かれていたけれど、今後はDJが音も映像も操れるようになるわけで、機材の進化が、アーティスト達のステージ上での新たな表現を広げていくことを、居合わせた全員が実感したのではないだろうか。KREVAは“希望の炎”のPVと前回のツアーのライブ映像を、その場でミックスして、まさに場内全員が初体験となるパフォーマンスをみせた。ここで重要なのは、新しいことをやることそれ自体ではなく、KREVAが自分のオーディエンスと一緒に、“上昇”してみせているところだ。“お前の成功は俺の成功”と歌う彼の心意気を、こうやって一つ一つ形にしていっているところが本当にカッコイイ。
そして、「意味深2でしか聴けない曲を」ということでYMOの“君に、胸キュン。”カバーを。ジャンル関係なく“グッド・ミュージック”を愛するKREVAらしい選曲。SONOMIとの“ごめんね”へと続く、キラキラのミラーボールが似合う、夜のトキメキを想起させるようなスウィートな流れも、これまでにありそうでなかったKREVAの姿をみせていたと思う。
ここまででも、十分に「自己最高記録更新」な展開だけど、ここからもすごかった。さかいゆうとの“生まれてきてありがとう”では、パフォーマンス全体にこれまでにない荘厳さを宿しており、KREVAの表現が新次元へ足を踏み入れたことを実証してみせていた。キーボーディスト4名による、その名も「クレイジー鍵盤バンド」を従えてのパフォーマンスも、1台1台の鍵盤がどんな音色を出すのか解説しながら、演奏をスタート。漠然と聞き流していた音のハーモニーに対しても、耳が敏感になっていく。“イッサイガッサイ”“ストロングスタイル”は「アンコールがない」だけに、限られた時間の中で完全燃焼することの快感を味あわせてくれるような爆発的な盛り上がりをみせた。ダンサーなど出演者全員のカーテンコールで、見事締めくくったと思ったら、最後にもう一つサプライズ・プレゼントが。なんと中央スクリーンで、新曲“瞬間speechless”を、今日の会場で収録したリハやオーディエンスの映像とともに流したのだ。加えて、次のシングル『赤』を発売予定であること、秋にはニュー・アルバムを発売し、冬には全国ツアーを行う予定であることも発表。今夜の成果が、アルバムにどう反映されていくのか、今から楽しみでしょうがない。(森田美喜子)
1.成功
2.THE SHOW
3.あかさたなはまやらわをん
4.Have a nice day!
5.無礼KING feat.KREVA(千晴)
6.STOP!! feat.三浦大知(千晴)
7.YOUR LOVE feat.KREVA(三浦大知)
8.Magic Remix (KREVA×三浦大知)勝手にリミックスシリーズVol.2
9.M★A★G★I★C(久保田利伸楽曲)
10.I Wanna Know You
11.君に胸キュン。(カバー楽曲)
12.midnight(SONOMI楽曲)
13.ごめんね feat.KREVA(SONOMI新曲)
14.生まれてきてありがとう(feat.さかいゆう)
15.くればいいのに
16.スタート
17.アグレッシ部
18.音色
19.イッサイガッサイ
20.ストロングスタイル
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VTR:瞬間speechless(新曲 7月リリース予定)