あいみょんが森山直太朗・秋山璃月・レキシと繰り広げたサプライズづくしの2デイズ! 対バンツアー「ラブ・コール2」全公演レポート〜Part3・大阪編〜

●7.10 vs. レキシ

あいみょんが森山直太朗・秋山璃月・レキシと繰り広げたサプライズづくしの2デイズ! 対バンツアー「ラブ・コール2」全公演レポート〜Part3・大阪編〜
2日目の対バンはレキシのライブでスタート。会場の最寄駅からすでに、レキシと言えばの「稲穂」を背負う人多数。会場ではライブ開始前から、その稲穂たちが光りながら揺れ、レキシの登場を待つ。ほら貝のSEをバックにメンバーがステージイン。バンドサウンドが軽快に鳴り始め、レキシこと池田貴史が現れると大歓声が迎える。池ちゃんは「なになに? 思った以上にあたたかいよ。これワンマンライブ? すごい! 優しい!」と、予想以上の歓迎ぶりに満面の笑み。「でもひと言いいですか? 稲穂はまだ早いですよ。稲穂の曲じゃないです。最初はみんなで『クレヨンしんちゃん』に思いを馳せましょうか」。そう言われたら、『映画クレヨンしんちゃん』の主題歌“ギガアイシテル”が始まると思うもの。その裏をかいて、池ちゃんは《北千住駅の》と歌い出し、あいみょんの“ハルノヒ”を一節。そう、隙あらば自分たちの曲の合間に、連想の赴くまま自由に様々な楽曲をぶち込んでくるのがレキシのスタイル。だからセットリストだけ見れば曲数はとても少ないと感じるが、実際はその曲の中にアドリブも含めて何曲もの曲が組み込まれているのである。オーディエンスも心得たもの。ようやく“ギガアイシテル”の本編が始まると、大歓声でバンドサウンドのグルーヴに身を委ねる。

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「じゃあさっき早とちりで振ってた稲穂を出しますか?」と促すと、会場中で光る稲穂が揺れ出す。「すごい。そうですよね。みなさんそれが振りたくて来てるんですもんね。それさえ振れればいいんですよね?」と自虐的。そして「ありがとうございます。そうなんです。日本の時代は狩りの時代から稲作の時代へと移行したわけです。今からその説明をたっぷり30分、え? いらない? じゃあ稲穂振りますか」と会場を見渡しながら、「それでも私は稲穂を振らないという人もいますね。あ、君はもう稲穂なんか振らないですか?」と語りかけると、「そんな曲もありましたね」と、あいみょんの“君はロックを聴かない”のメロディで、「♪君は稲穂なんか振らないと思いながら/少しでも土器に近づいてほしくて」と歌い出す。このくだりからの“狩りから稲作へ”は、最高にかっこいいバンドサウンドで面白いように観客をのせていく。そして「今日初めてレキシを観るっていうお客さんには、こっから未知の世界。なんでこんなの観に来てしまったんだろうって思うかもしれない」と言いながら、楽曲の途中に、DREAMS COME TRUEの曲や、ドラマ『北の国から』、そしておなじみ『キャッツ』と、好き放題にネタを展開させていく。笑い声が絶えない。

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さらに「次は、兵庫県からお越しのあいみょんさんからのリクエストで」と、“年貢 for you”。そしていつもはビニールのイルカが何頭も客席でぽんぽん跳ね上がる“KMTR645”。この日は事情により「イルカぽんぽん」はできなかったけれど、サビの《キュキュキュ》は大シンガロングで盛り上がり、健介さん格さん(G/奥田健介)のギターソロも炸裂。曲終わりでドラムセット台からジャンプをキメた池ちゃんだったが、勢い余ってつんのめり、あわやステージから転げ落ちそうになる場面も。

ラストはビッグサプライズ。“きらきら武士”へと曲が移行する前に、池ちゃんが “マリーゴールド”のサビを、「♪武士わらのー」と歌い出し、それが「♪藤原の烏帽子の君が」という替え歌に発展すると会場中からも歓声が。さらに今度は本意気で“マリーゴールド”をソウルフルな歌声で一節。その歌声には大喝采が起こる。池ちゃんが「出てきてほしいなあ」とつぶやくと、ステージにはあいみょんと、朝倉真司=朝ちゃん! もちろん会場は大歓声。池ちゃんは「あいみょんに声援が起こるのはわかる。おまえはなんだ!」と、朝ちゃんに暴言(笑)。そう、朝ちゃんは実はレキシとの共演経験があり、「となりのトロ遺跡」というレキシネームも持っている。その流れから、「あいみょんにもレキシネームを」ということに。この日の対バンで、あいみょんにどんなレキシネームが授けられるのか、筆者も密かに楽しみにしていた。かくして、その場で池ちゃんが捻り出したのは、「ミョン万次郎」というイカしたネーミング。あいみょんも「やったあ! めっちゃ嬉しい」とはしゃいでいた。

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かくして、ミョン万次郎ととなりのトロ遺跡を交えての“きらきら武士”がスタート。あいみょんは白い扇子を歌詞のカンペ代わりにして、池ちゃんとのハーモニーも響かせながらとても楽しそうに歌う。朝ちゃんはタンバリンで盛り上げる。「武士」「武士2回」「武士3回」「武士25回」のコール&レスポンスで最高潮。バンドサウンドのグルーヴに体が揺れっぱなしだ。笑いっぱなし、歌いまくり、踊りっぱなしの1時間はあっという間。ライブが終わったあとも、しばらくざわめきが止まないほどだった。


あいみょんが森山直太朗・秋山璃月・レキシと繰り広げたサプライズづくしの2デイズ! 対バンツアー「ラブ・コール2」全公演レポート〜Part3・大阪編〜
レキシの最高のライブエンターテインメントに触れ、すでにライブに臨む準備は上々のあいみょん。レキシの残した高揚感をそのまま引き継ぐように、陽気にグルーヴするバンドサウンドが会場を満たす。あいみょんの「楽しみたい」「楽しませたい」というエンタメ心にさらに火がついたようで、歌声にもいつもよりメロウなニュアンスが滲む。“桜が降る夜は”のボーカルもとびきりブライトで、朝倉のコーラスも気持ちよく重なる。バンドアンサンブルの躍動もフレッシュな多幸感を感じさせた。あいみょんはレキシのライブについて、「ほんと最高のステージを観せてもらいました。ずっと舞台袖にいて、稲穂も振ってたから、今日はずっと自分のライブをやってる感覚。ほんま楽しかった」と語り、「あいみょん!」という掛け声には「あいみょんじゃないやん。ミョン万次郎!」と、レキシネームを授かったことが本当に嬉しそうだった。

「みんなもうらやましい?」と自慢げに顔をほころばせ、「(レキシネームを授かるのは)一緒に歌ったらっていう条件付きやから、それはもちろんオッケーで。今回の『ラブ・コール』はコラボが多くて、昨日は直太朗さんとも一緒に歌わせてもらったし、対バンならではやなと感じております。みなさんも楽しんでくれてすごく嬉しい。ありがとうございます」とあらためて感謝の気持ちを言葉にしたあいみょん。この日のライブは開演前も本当に楽しかったようで、「私もあまり楽屋にいないタイプというか、廊下で誰かが楽しそうにしてると、なになになに?とか言って出てきちゃうタイプなんです。でも池ちゃんはそれ以上に楽屋にいないの。何回、池ちゃん個人の楽屋を覗いても姿がない。バンドメンバーのところにいたり、とにかくずっと元気いっぱいで。ライブもエネルギーいっぱいやん? すごいよね。あのエネルギーを見ると、私もまだまだ廊下に出てしゃべっていていいんやって思っちゃって。なるべく喉を使わないようにと思うのに、おしゃべりがすごく楽しい方なので」と、池ちゃんへのリスペクトの言葉がどんどん出てくる。「みんなも(ライブで)いっぱい笑ったでしょう? もう嫌やわ。大ウケやったやん、人の曲で(笑)」と拗ねてみせたり。「メンバーさんもアドリブで合わせてるって言ってたからびっくり。うちのメンバー、それやられたら心臓痛いよね」とも。

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後半には「みなさん、私にも振ってくださいね、稲穂」と言って歌い出した“マリーゴールド”。きれいに光る稲穂が、マリーゴールドの色に見えなくもなくて、この景色、この対バンじゃなきゃ実現しなかったなと思うと、今日という日がまた貴重に思えてくる。そして「大きな声で『あれ』聴かせてください」と言って始まった“ふたりの世界”も最高。恒例の《セックス》のコールが完璧に揃う。「めっちゃ大きい《セックス》でした。おつかれさまでございました」とあいみょんもいい笑顔。

その後もいつものようにあいみょんが客席とコミュニケーションをとっていると、なぜかローディーのような動きで池ちゃんがギターのqurosawaに話しかけている。どうも様子がおかしい。「何? 見間違い?」とあいみょんが言葉を促すと、池ちゃんは「もうひとり呼びたい人がいる。なぜか袖にたまたまいたんだよ」と呼び込むと、悲鳴のような歓声。現れたのはなんと森山直太朗。「うそ! 上で観てるんじゃなかったの?」とあいみょんも驚きの表情。森山は「スタッフの方から、手持ち無沙汰だろうからって、これ(稲穂)渡されましたよ」と、なんだかもう今日は全体的に可笑しい(笑)。「歌ってもらいましょうか?」と池ちゃんが振れば、大歓声が期待値を上げる。ステージにギターが運び込まれると、森山は「じゃあ、昨日あいみょんとふたりでアンコールで歌った、“生きとし生ける物へ”。サビだけね」と言ってギターを弾き始める。それを少し離れて妙に真面目な顔で見つめたり、写真を撮ろうとしたりする池ちゃん。そのコントラストがまた笑いを誘うが、あいみょんは気を取り直して「せーの」で歌い始める。美しい歌声。ふたりのハーモニーが会場に澄んだ空気のように広がっていった。

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その曲から池ちゃんは“贈る言葉”(海援隊)へとつなげて、またひとしきり笑いをとる。さすがだ。あいみょんが「直太朗さんと池ちゃんでした!」と紹介すると、ふたりは申し合わせたかのように同時に「逃げろー!」と言ってステージを小走りに去っていった。その息の合い方にもあいみょんは感動していた。「次の曲に行きにくすぎる(笑)。でも私もふたりのように盛り上げたいと思います」と、鳴り響いたのはタイトなビートとローの効いたベース、そしてスカのリズムで牽引するエキセントリックな鍵盤の音。そう“鯉”である。あいみょんの深い情緒感を漂わせる歌唱が最高にクール。qurosawaから八橋義幸へとパンするギターソロもスリリングだ。オーディエンスの体も気持ちよく揺れる。終盤、あいみょんはあらためて森山直太朗とレキシへの賛辞を口にした。「あんなふうに陽気でひょうきんな大人に私もなりたい」と。そう、あいみょんが選ぶ対バン相手は音楽性だけでなく人間性にもシンパシーを感じるアーティストばかりなのである。最後は「レキシ最高!」と叫び、大阪2日目は大団円。そして満ち足りた余韻の中、また客席に下りて、たくさんの人とハイタッチをしたりピックを投げたりプレゼントしたり。こうしてサプライズだらけの2日間は名残惜しく過ぎていったのだった。(杉浦美恵)


AIMYON vs TOUR “ラブ・コール2”
2024.7.9&7.10 大阪 フェスティバルホール

●セットリスト(7.9)
森山直太朗

01. しまった生まれてきちまった
02. レスター
03. 愛し君へ
04. ラクダのラッパ
05. papa
06. 夏の終わり
07. 坂の途中の病院
08. どこもかしこも駐車場
09. 金色の空
10. 生きてることが辛いなら

秋山璃月
01. 偏見
02. 目の位置
03. trueman
04. みため
05. 勝手な彼女
06. まわる
07. グッドバイソング
08. 原始時代

あいみょん
01. ポプリの葉
02. 桜が降る夜は
03. 満月の夜なら
04. die die die
05. ハート
06. 会いに行くのに
07. そんな風に生きている
08. 裸の心
09. ねむい
10. 貴方解剖純愛歌 ~死ね~
11. マリーゴールド
12. 生きとし生ける物へ

●レキシ/セットリスト(7.10)
01. ギガアイシテル
02. SHIKIBU
03. 狩りから稲作へ
04. 年貢 for you
05. KMTR645
06. きらきら武⼠


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