昨年のセロからバトンを託された今年のMCは、劇団ひとり。「今回、MCを任せていただき、身に余る光栄です! この思いをオープニングで表現したい! ここで劇団ひとり、人生で初めてのバク転をします! バク転教室にも行ってきました! 2時間で1万7000円でした!」と熱血な宣誓の後、渾身のバク転! あいにく頭から落ちてしまったが、「ケガはしてません!」。声を嗄らしてシャウトしながら、終始その意気込みのほどを身体全体でアピールしていた。
そして、このイベントの華はライブやMCだけではない。賞を授与するプレゼンターや、ライブ・パフォーマーの紹介者として、実に多彩な人たちが登場する。「ベスト・ポップ・ビデオ」部門では湘南乃風がケイティ・ペリーにトロフィーを渡したり、BoA&ショーン・ギャレットのアクトを紹介するのが黒スーツ姿でビシッとキメたACIDMANの3人だったり、「ベスト・グループ・ビデオ」部門のプレゼンターがAI+ブルーマン・グループという異色の顔合わせだったりするのも楽しい。あと、「ベスト・ロック・ビデオ」に選出されて登場したマキシマム ザ ホルモンは、ナヲがライブ定番の「三度の飯より飯が好き!」コールをかましたり、なぜかぼそぼそと外人風にしゃべるダイスケはんの言葉をナヲが通訳してみせたり、ライブ並みにフロアを沸かせていたのが印象的だった。
そういった多くの著名人が入れ替わり立ち替わり登場し、(2ステージあるとはいえ)8組のアクトが展開され、時にディレクターに扮したっぽい劇団ひとりの「なんで打ち上げ会場押さえてないんだよ!」という寸劇もアイキャッチ的に差し込まれ……それらが全部2時間という枠に収まっていることを考えると、思わず頭がクラッとした。事実、前日のリハーサルは明け方近くまで行われていたらしい。ついでに、これに近いことを毎週やっている『Mステ』などのことを考えて、さらにクラッとした。
ダンサーを従えてビシッとキレのある歌とダンスを披露したBoA&ショーン・ギャレット、銀ラメのコスチュームを煌めかせながら鮮やかにフロアを魅了したシアラ……といったR&B系のアクトが続いた後で、AAAに「この会場の温度を5度くらい上げてくれる人たちを紹介してもいいですかー!」という煽りとともに名前をコールされたのは、9mm Parabellum Bullet! 普段のラフな出で立ちとは打って変わって黒のスーツと白のシャツに身を包んだ4人(滝は相変わらずヒゲ面で、インナーはTシャツだったが)が、ここぞとばかりに鳴らしたのは“Living Dying Message”。日本ロックの最前線を爆走する勢いそのままに、衝撃波のようなツーバスの音塊と破壊力200%のギターの轟音を叩きつけ、びりびりと鳴り響く残響音を残して帰っていった。KENJIの足の負傷のため、EXILEは13人編成でこの日のステージに臨んでいたが、それでもタイトな生バンドのサウンド&火の玉がぼんぼん飛びまくる特効とともに展開されるアクトは迫力充分!
昨年はサプライズ・ゲストとしてU2・ボノが登場して会場を沸かせていたVMAJ。今年のシークレット・ゲストに贈られた賞は「ストリート・アイコン賞」。「僕も、この人たちに影響されたし、それでTERIYAKI BOYZ(R)を始めました」とNIGOが最大限の賛辞を贈ったのは……ビースティ・ボーイズ! ステージ後方のスクリーンの陰から登場した3人は、いかにも散歩の途中といった風情でステージを気軽に闊歩してみせていた。そして、榮倉奈々の紹介で登場したのはレミオロメン。サポート・ギター&8人編成のストリングス・チームとともに“Sakura”を披露。高らかに、そして軽やかに歌い上げる藤巻の後ろでタイトなリズムを刻みながら、神宮司がオーディエンスに向けて左腕を大きく左右に振ってみせるなど、この晴れの大舞台を存分に楽しんでいることが伺える。
いよいよ終盤戦、ステージにはケイティ・ペリーが登場! ついさっき、バックステージでKREVAと一緒にコーラ瓶を笛にしてぷーぷーやってた、キュートで気楽な人と同一人物とは思えないほどのテンションで、バキバキにキメまくったメイクで、そして和服をモチーフにした(?)らしい超ミニ・ドレス風なコスチュームと扇子で、満員の会場を圧倒しまくっていた。「ベスト・アルバム・オブ・ザ・イヤー」のプレゼンターとして登場した昨年のMC=セロが「サプラーイズ!」の決め台詞とともにカード・マジックをキメてみせれば、今年のMC=劇団ひとりも負けじと「私も1つサプライズやります! びっくりした時の松本明子の顔!」と苦笑を買いながらもフロアの温度を上げてみせたところで、残すところあとわずか。
「泣いても笑っても、これが最後のパフォーマンス!」と劇団ひとりに呼び込まれたのは、ブラック・アイド・ピーズ! それこそ『ウルトラマン』の三面怪獣ダダか『ウルトラセブン』のガッツ星人のような白黒縞のダンサー隊を擁したBEPの4人によるフィナーレの曲はもちろん“Boom Boom Pow”! 速射砲のようなアグレッシブなヴォーカリゼーションと、さいたまスーパーアリーナを揺さぶる重低音! 眩しいレーザー光線が、最高の夜を彩る打ち上げ花火のように巨大な空間を飛び交っていた。
あれよあれよと立て続けに授賞が続いた後で気がつけば、「パーフェクト・イヤー」だった昨年に引き続いてEXILEが三冠を制した形となった今年のVMAJ。最後、ビジョンに映し出された劇団ひとりの顔はなぜか半泣きだ。「最後の受賞者は……お前たちだよおっ! これにて全プログラム、おしまい!」……圧倒的に長く、圧倒的に短い2時間は、こうして終わった。果たして来年は誰がEXILEの牙城を脅かすのか? 今から楽しみだ。(高橋智樹)