日本のインディーシーンの発信地ともいうべき下北沢のレコードショップ、ハイライン・レコーズの10周年記念イベント「10年目の夏」。4月には下北界隈のライヴハウスをハシゴしての1週間ライヴ企画を行ったが、今回はその夏祭り的スペシャル!
ハイラインにゆかりのあるアーティスト7バンドが出演する豪華なイベントなのだが……なんと、途中でバンプ・オブ・チキンが登場!!という大きなサプライズもあった!
そもそも、開場時間にいきなりフロント・アクトとしてニュー・カマー、UNISON SQUARE GARDENが出演。3ピースならではの疾走感と夏にふさわしいカラフル・ポップなメロディー、そして「海開きだというのにお台場に集まったみなさん。音楽の海を泳ぎ倒して帰ってもらいたいと思います」というMCで早くも客席の心を掴んでいた。
続くhare-brained-unity、4つ打ち+ごりごりの激しいバンド・サウンドによるキラキラのダンスチューンでフロアを一気に盛り上げる!お馴染みの大仏ダンサーズや新曲も披露し、最後はハイラインとつながりの深いナンバー"ハルカ"を残して去っていった。
打って変わって、LOST IN TIMEはタイトでエッジの効いたサウンドと情緒溢れるメロディでシンプルなギターロックのカッコよさを存分に見せつける。今日の晴れの日にふさわしい“約束”が印象深かった。
客電が消え、ブルース風のSEが鳴り響く。お馴染みのSEに客が早くも反応する中、ハイライン・レコーズ第一弾アーティストであるバンプ・オブ・チキンが突然の飛び入りだ!4人のシルエット、藤原がギターを掲げ、升がドラムセット台に立ち上がると一気に沸く。『ユグドラシル』からの激しいナンバー“乗車権”で幕を開ける。そして2曲目は、ライヴでは初めて聴くことになる"涙のふるさと"!
《会いに来たよ 君に会いに来たよ》という藤原のやわらかなヴォーカルで会場はいきなり温かい空気に包まれた。そして5曲目となるラストは、ファースト・アルバムから“ガラスのブルース”!原点ともいうべきナンバーが轟くばかりに会場を沸かせた!今年多くの夏フェスに登場するバンプの前哨戦ともいうべきライヴとなった。
さて、そんなサプライズの後に登場したランクヘッド、さすがにやりにくいのでは……と心配するも本当に余計なお世話だった。登場した瞬間「とべーっ!」というMC に煽られながら、灼熱のランクヘッドの世界へ。“夏の匂い”“きらりいろ”といったシングルも網羅した圧巻のステージに、会場は一体となった。
続くFULLARMOR は、先日初の幕張メッセという大役を終えたストレイテナー日向、ホリエらによるツイン・ベースのインストゥルメンタル・セッション・バンド。セカンド・ミニアルバム『ZION 』をリリースし積極的に活動中の彼らだが、4年半前のファーストがハイラインからの限定発売だった。台風は去ったというのに、耳をつんざく嵐のようなサウンドにやられっぱなし。マッチョなのにどこか美しい透明感のある、とてもオリジナルなステージだった。
そしていよいよ、POLYSICS!実は、彼らも今年10周年を迎え、今春、総括的ライヴをやったばかりなのでもう、この場は完全にお祭りモード!最初から本編ラスト“Baby BIAS”でのクラップでの大団円まで走りっぱなしの30分。アンコールではインディー時代のナンバーも披露、牧歌的なまでのニューウェイヴ/テクノへの愛情が、10年を経て暴力的かつオリジナルなサウンドとしてシーンを席巻しているさまを思うと感慨深かった。
そして5時間、7バンド――という大掛かりなイベントの幕は閉じた。(井上貴子)
HIGH LINE RECORDS 10th ANNIVERSARY 〜10年目の夏〜 @ ZEPP TOKYO
2007.07.16