ランシド @ 新木場スタジオコースト

ランシド @ 新木場スタジオコースト
ランシド @ 新木場スタジオコースト
ランシド @ 新木場スタジオコースト - pic by Mitch Ikedapic by Mitch Ikeda
10月3日の福岡から4日:広島/5日:大阪/6日:名古屋/8日:仙台と北上して、締めに東京圏3公演(9日:Zepp Tokyo、11日:新木場スタジオコースト、12日:横浜BAY HALL)……という日程のはずが、さらに追加公演で1日:大阪BIGCAT/14日:渋谷クラブクアトロが加わった、ランシドの2009年ジャパン・ツアー。昨年4月にもパンク・フェス=『PUNKSPRING』タイミングでZeppツアーを回っているし、その前の2007年1月にもジャパン・ツアーを敢行しているランシドだが、今回は何と言っても実に6年ぶりとなる7thアルバム『レット・ザ・ドミノズ・フォール』を引っ提げての来日! 

……というタイミングではあるのだが。まだツアー中なのでセットリストは伏せるものの、蓋を開けてみれば新作からの曲はほんの数曲。それこそ今でも定番曲として熱烈支持されるオペレーション・アイヴィー時代の「あの曲」から、ラーズのソロ曲、アコースティック・セットまで含め、「新作ツアー」のライブというよりは、自分たちのキャリアのいちばん熱いところを満遍なく1つのセットリストの中にすべて焼き込んでいくような、いつも通りといえばあまりにいつも通りなランシドのステージだった。いわゆるネオ・パンク以前の、それこそザ・クラッシュ直系オリジナル・パンクのぶっとい反骨魂と、8ビートを基調にしたロックンロールの爆発力を、90年代初頭のバンド始動から今日に至るまで強く抱き締め続け、世界の最前線でアピールし続けてきたランシド。この日のアクトは、まさにそんな彼ら自身の核心をドカンと提示するようなものだ。1曲目が始まった瞬間に、フロアが液状化&沸騰したかのような勢いでオーディエンスが沸き返ったことは言うまでもない。

そして。見えない敵に抗うようにロウ・ポジションに構えたフルアコのギターを終始ぶん回しながら、ひりひりと観る者の胸を焦がすティムの歌も、20年越しのアメ車になおもバッキバキの推進力と安定性を与えるようなブランテンのドラムも、4人の強烈なビートに荒々しいうねりを与えていたマットのベースも、21世紀の今なおソリッドで鋭利なパンクの原風景を描き出すには十分だった。が、この日のカギは何と言ってもラーズだった。徹頭徹尾パンクの化身の如く満場のフロアに真っ向勝負。歌もギターも、触れた者すべてを「今、ここ」の世界の混沌を払拭する反抗と闘争へと巻き込むように、熱くダイレクトに響きまくる。アンコール含めて26曲を1時間半弱で駆け抜ける、暴走機関車のようなアクトだった。

ちなみに。前回のZeppツアーでは10-FEET/マキシマム ザ ホルモン/dustbox/GLORY HILLといった日本の00年代バンド陣をオープニング・アクトとして迎えていたランシドだが、この日のオープニングを飾ったのは、80年代ジャパニーズ・パンクの一翼を担い、2007年に再・再始動を果たした大阪の古豪:COBRA! しかも、名古屋/仙台/Zepp Tokyoでオープニングを務めたのは同じく80年代組のSA! さらに、元SOBUTのYOSHIYA(Vo)率いるRADIOTS、サイコ・ビリーの雄=BATTLE OF NINJAMANZなど、80~90年代の日本の「メロコア以前」のパンクを網羅していくような顔ぶれが揃っているのも面白い。今日は横浜BAY HALL。当日券も若干あるようなので、ぜひ。(高橋智樹)

セットリスト(10月19日追記)
1. フォール・バック・ダウン
2. ルーツ・ラディカルス
3. ラスト・ワン・トゥ・ダイ
4. ジャーニー・トゥ・ジ・エンド・オブ・ジ・イースト・ベイ
5. ナリッジ
6. サルヴェイション
7. ブラッドクロット
8. オリンピアWA
9. マクスウェル・マーダー
10. オー、オー、アイ・ラヴ・ハー・ソー(ラモーンズのカバー)
11. LA リバー
12. レディー・リバティ
13. イースト・ベイ・ナイト
14. ザ・11th・アワー
15. アイ・ワナ・ライオット
16. デッド・バディーズ
17. リジェクテド
18. フー・ウッドブ・ソート
19. セント・メアリー
20. サムシング・イン・ザ・ワールド・トゥデイ
21. タイム・ボム
22. ザ・ウォーズ・エンド
23. テンダーロイン
24. オールド・フレンド
25. リステドM.I.A.
26. レイディオ

アンコール
27. ルビー・ソーホー
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