MONGOL800 @ 日本武道館

MONGOL800 @ 日本武道館
MONGOL800 @ 日本武道館 - pic by RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)pic by RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)
初の日本武道館。というか、「初の」も何も、そういう大会場とかでは決して決してやらないバンドなんだろうと思ってから幾年月のタイミングで、いきなり発表された日本武道館、という方が、より正確かもしれません。
今年は10月には地元沖縄で初めての主催フェスもやった『MESSAGE』のとんでもないヒットから8年経って、もう、そういうことをやっても、そこにいろんな意味がくっつかなくなった、「ただやりたいからやった」というふうに、シンプルかつ純粋に受け取られるようになった、だからできたんだろうなあ、と、と私は解釈しました。

まず、武道館に足を踏み入れた瞬間から、「うわあ、モンパチだなあ」だった。アリーナはブロック分けされたスタンディングゾーン。ステージは、ただ黒くてでっかい台がどーんと置いてあるだけ、みたいな作りで、両ソデのモニター用PAとかも、囲われてなくてまるだし。そのステージのまんなかに機材がぎゅっと集まっていて、だから両端は、もうひとつずつバンドが立って演奏できるくらいスペースが空いている。こういう大会場に付き物の、メンバーを映す用の画面は、ステージの左右ではなく、2階席の上方に4箇所設置。ステージ両脇、斜め後ろまでお客さんを入れていたので、その人たちが観れるように、そういう作りにしたのだと思います。

で。10分押しで18:40、照明が落ち、スタンドも総立ちになり、メンバーが現れ、清作の「武道館、あっそびましょー」という第一声で、1曲目“あなたに”が始まった瞬間。
客電がすべて点いた。ほら、2回目のアンコールの最後で客電が点いて、明るい中演奏する、っていう演出、よくあるでしょ。いきなりあれだったのだ。で、頭の3曲、そのまんまやりきった。もう、「モンパチだなあ」と、笑ってしまった。おかしかったんではなくて、なんか痛快だったのでした。

その他も、もう徹頭徹尾、モンパチらしい武道館だった。ライブハウスまんまだった、ということではない。ライブハウスのモンパチも、巨大フェスに出ている時のモンパチも、僕は観たことがあるが、基本的にはどっちも同じだ。ただ、この日は違った。武道館ならではの「モンパチらしさ」を表現していた。

たとえば、照明。セットも何もないステージに比べて、照明はとても豪華でアイディアがこらされていた。ライブ後半になっても「あ、まだこんなパターンがあったんだ!」というくらい、いろんな……なんていえばいいんだこれ、いわばいろんな「光り方」があって、とにかくバリエーションが多くて、楽しかった。
楽しかったんだけど、ただし。照明のコンセプトが、「照明そのものを楽しんでもらう」であり、「メンバーを照らす」「メンバーをよく見せる」ものではないのだ。むしろ、メンバーの背後からピカーンと客席を照らす照明が当たっていることが多くて、3人がよく見えない時の方が多い。THE STONE ROSESの初来日公演を観た時、照明がオール逆光でメンバーが全然見えなくてびっくりしたのを思い出した。いや、あそこまで見えなくはありませんでしたが。でも、WOWOWの収録が入っていたけど、あれ、撮るのに相当困ったと思う。2月9日(火)19:00にオンエアだそうです。どんなことになっているのか、楽しみです。
とにかく、その「己を打ち出したがらなさ」も、とてもモンパチらしくてよかった。まぶしかったけど。

たとえば、セットリスト。下に書いていますが、ご覧のように“あなたに”で始まり“小さな恋のうた”“Happy end”“蛍の光”の3連発で終わるあたりは王道モンパチだけど、それ以外もいろいろやっていた。12曲目と13曲目の間に“きよしこの夜”をやったり。たまに打ち込みを使ってみたり。
中でも、特に圧巻だったのは、後半、17曲目“神様”あたりから20曲目“I’ll be”までの、最新アルバムの4曲を並べたブロック。「ハネて踊れて歌えるモンパチじゃない部分の結晶」みたいな、簡単に言ってしまうと「じっくり聴かせる」ことに徹した時間。
尋常じゃない集中力で、音が奏でられ、歌が歌われる。1曲、2曲と聴いているうちに、気がついたら、別の世界に連れていかれていた。そんな感じだった。基本的に祝祭ムードだった武道館が、その時間だけは別の空気に包まれていた。おごそか。そう、あんまり、バンドのライブでそういうことを感じることは少ないけど、「おごそか」という言葉が一番近いかもしれない。


あと、

「……すごい緊張してる。俺も、普通の人だったんだ」

という清作のMCが、妙におかしかった。バンドがどんなにとんでもない状況になろうが、とにかく「普通の人」でい続けようとして、ロック・シーンとか音楽業界においては明らかに型破りなやりかたでもそれを貫いてきた、そんな、いわば「異常なまでにがんばって普通の人である自分をキープしたバンド」が、MONGOL800だと、僕は思っていたので。
でも、それもなんか、とてもよかった。とにかく、いろんな意味で、メモリアルなライブでした。(兵庫慎司)

1.あなたに
2.Don’t worry be Happy
3.ラッキー8
4.Breakfast’@曙
5.HAPPY BIRTHDAY
6.ホルモン
7.ターコイズ
8.ガジュマルの木
9.亀
10.愛する花
11.Melody
12.月灯りの下で
12.5.きよしこの夜
13.冬の思い出
14.ドキドキ
15.リリー
16.矛盾の上に咲く花
17.神様
18.blue blues
19.not equal
20.I’ll be
21.琉球愛歌
22.face to face
23.Dandelion

アンコール
24.夢叶う
25.PARTY
26.小さな恋のうた
27.Happy end
28.蛍の光
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