スペースシャワーTVが主催するお馴染みのイベント、『スペシャ列伝』が毎年1回ツアーとして全国を回るようになってから今年で4回目。1月始めから全国8ヶ所を回り、本日赤坂BLITZにて最終日を迎えた。出演バンドはSISTER JET、avengers in sci-fi、andymori、THE BAWDIESの4組。THE BAWDIESのROYが、最初は対抗心を燃やしていたけど、だんだんこの4組で何かやりたいと思うくらい一体感が生まれてきたと言っていたけど、それぞれの音楽性をそれぞれの方向にぶつけながらも、出演者もオーディエンスも全員で楽しむような、心地よい一体感を覚えるイベントだった。出演4バンドのショートレビューをお届けします!
●SISTER JET
赤い文字で「HELLO」「JETS」と書かれた手作りのプラカードやフラッグを掲げながら会場をかき回すようにステージに現れたsister jet。いきなり“恋してクレイジー”の骨太なロックンロールで幕開け。「SISTER JETだよ! 調子はどう?」とワタルS(Vo/G)が声をかけるとすっかり温まったフロアからは大歓声が沸き起こる。準備は万端だ。そのまま“DJ SONG”“hello goodbye days”“さよならポケット”と飛び跳ねずにはいられない軽快なビートと甘酸っぱいメロディを繰り出していき、すっかりオーディエンスはSISTER JETの世界にどっぷり浸かる。ラストは「『俺は寂しいよ』って歌ってるけど、sister jetはみんなのそばにいるよ、という曲を作りました」といって2月3日にタワレコ限定でリリースされる新曲“MR.LONELY”を披露。「寂しい」感情もこんなにまっすぐ潔く吐き出しちゃえば、女々しいどころか清々しいとさえ思えるんだと、SISTER JETが展開する変幻自在なポップの魔力にすっかりやられてしまった。
●avengers in sci-fi
数多のエフェクターと電子機器の入念なチェックを終え、たくさんの喝采を浴びながら登場したavengers in sci-fi。「SAVE OUR ROCK……SAVE OUR ROCK……」とお馴染みの声が聞こえてくると、一瞬にして宇宙へ飛び立つような勢いで“Homosapiens Experience”をぶちかます! 勢いはそのままに“Beats For Jealous Pluto”へ雪崩れ込み、休むまもなくオーディエンスはハイジャンプで応戦。ふとステージ袖に目をやるとTHE BAWDIESのJIMがすごい勢いで踊り狂っていた。これから同じステージに立つ出演者をも虜にする熱狂ぶりがすごい。エフェクターを踏み込みフルに活用してギターやベースとは思えないサウンドを繰り出していく木幡(Vo/G)と稲見(B)。長谷川(Dr.)のハイスピードに駆け抜けていく重厚なビートも見事だ。“Universe Universe”や“HyperSpace Music”といった最新ミニアルバムからの楽曲も天を突き破るようなエネルギーに満ちていて、稲光のような白い閃光がバキバキに光る中、フロアは問答無用でラストまで踊り明かした。
●andymori
「赤坂、わっしょい!」という一言で堰を切るように大驀進していったのはandymori。“ベンガルトラとウィスキー”“everything is my guitar”とフルスピードに攻めたて、フロアを熱狂の渦に巻き込む。ちょうど1年前くらいに同じ「スペシャ列伝」で新宿LOFTのサブステージに登場し、前へ前へつんのめったような勢いでオーディエンスを圧倒していたのを思い出した。この1年のandymoriの快進撃には目を見張るものがある。“16”のような切ないメロディで聞かせるナンバーも、“ビューティフルセレブリティー”のようなミディアム・テンポの抒情的なナンバーも、突っ走っていく勢いと同じくらい熱情を込めて丁寧に歌い上げているのが良かった。「列伝ツアーが始まってから、ずっと赤坂を目指して飛んできたっていう曲をやります」といって“CITY LIGHTS”をプレイ。どこか異郷へと誘ってくれるようなカントリー調の懐かしいサウンドが赤坂を包み込んだ。ラストは“1984”。オレンジ色の夕日のようなライトが照らす中、何気なく流れていく日常の風景が紡がれた優しい一時だった。
●THE BAWDIES
トリを務めたのはTHE BAWDIES。いつものようにROY、TAXMAN、JIMがドラムのMARCYの方に向かい合い、緊張感を解き放つように4人で一斉に音を鳴らす! 「最高にハッピーな瞬間をみんなで笑顔で作り上げていきませんか!」というROYの一言で“KEEP ON ROCKIN'”で幕開け。始まったばかりなのに、いきなりフルスロットルで飛ばしていくTHE BAWDIESにフロアも負けじとハンドクラップの嵐とコール&レスポンスで応戦。凄まじい推進力と熱量でオーディエンスを引き込んでいく様はいつ観てもエネルギッシュだ。「俺らの仲の良さを日本中に見せつけましょう!」と弾むモータウンビートに揺られながら“I'M IN LOVE WITH YOU”で一頻り踊った後は、なんと新曲を披露! 「新曲は“HOT DOG”と言います。はさみます、熱くてうまい。それが長く続きます! ホットドッグ、召し上がれー!」となんともウマい曲紹介にフロアも大興奮。THE BAWDIES流の4つ打ちビートが炸裂する2010年を牽引していくに相応しい最高にゴキゲンなナンバーだ。「やっぱ愛じゃないですか? みなさん、包み込ますけどいいですか? そのまま包み込まれちゃってください。愛をくらえー!」というROYの“TINY JAMES”への愛情たっぷりな前ふりに思わずメンバーが噴き出し、入るタイミングを逃してしまったのには笑ってしまった。TAXMANから3月にニュー・シングル、4月にアルバム発売決定の発表があった後は、“IT'S TOO LATE”“YOU GOTTA DANCE”と強烈なダンスチューンを畳み掛ける。バンドもオーディエンスも完全燃焼で、狂喜乱舞の様子で自由に自分を開放していき最高に熱い空間を生み出していた。
アンコールでは、なんと出演4バンドが大集結し、THE BAWDIESのライブではお馴染みのレイ・チャールズの“WHAT'D I SAY”をやりたい放題、大セッション大会へ突入! これが本当にすごかった。小山田はステージを凄まじい勢いで暴れまくったり、avengersの長谷川とSISTER JETのケンスケがMARCYのドラムに合わせてドカドカとタムを叩きならしたり、それぞれにタンバリンやマラカスを鳴らしながらステージを所狭しとかけずり回ったり、avengersの木幡とandymoriの小山田もコール&レスポンスに参戦……と、この4バンドの大暴走は誰にも止められない! 小山田の自由すぎるシャウトにROYが入るタイミングを見失ってしまったと言っていたのがなんとも微笑ましい瞬間だったが、この4バンドの結束力と爆発力がもたらした最高に愉快な時間だった。最後には総勢13名が横一列に肩を組み合い一礼し、「ワッショーイ!」の掛け声で終了。2010年、この4バンドの猛攻勢には大注目です!(阿部英理子)
SISTER JET
1.恋してクレイジー
2.DJ SONG
3.hello goodbye days
4.さよならポケット
5.to you
6.LaLa Dance
7.MR.LONELY
avengers in sci-fi
1.Homosapiens Experience
2.Beats For Jealous Pluto
3.Radio Earth
4.Starmine Sister
5.Universe Universe
6.Hyper Space Music
7.NAYUTANIZED
andymori
1.ベンガルトラとウィスキー
2.everything is my guitar
3.僕が白人だったら
4.クレイジークレーマー
5.16
6.ビューティフルセレブリティー
7.CITY LIGHTS
8.FOLLOW ME
9.すごい速さ
10.1984
THE BAWDIES
1.KEEP ON ROCKIN'
2.EMOTION POTION
3.I'M IN LOVE WITH YOU
4.新曲
5.EVERYDAY'S A NEW DAY
6.TINY JAMES
7.IT'S TOO LATE
8.YOU GOTTA DANCE
アンコール1
1.新曲
2.I BEG YOU
アンコール2
1.WHAT'D I SAY(出演バンドメンバー全員)
スペースシャワー列伝JAPAN TOUR 2010 @ 赤坂BLITZ
2010.01.23