京都大作戦2010~今年も子供に戻りな祭~(1日目)@京都府立山城運動公園

「去年も、いろんな問題があった。でも、それをあえて言う理由は1つ! みんなにケガをしてほしくない! みんなといつまでも『京都大作戦』をやっていきたいからや!」とフェス開幕前のステージで声を限りに叫び上げるTAKUMA。「どこかに向かっているわけでも、何かを解決するためにやってるわけでもないんですよ! 『ずっと続けていく』ために一生懸命やってるんですよ!」と、この日のトリのアクトで高らかに叫び上げるTAKUMA……そう、10-FEETがその音楽で、そして自身が地元・京都で開催するロック・フェス=『京都大作戦』で形にしようとしているのは、まさにその「生き続ける」という闘い方だ。実質的に日本の夏フェス・シーズンが、「10-FEETが地元・京都で主催する一大ロック・フェス」たるこの『京都大作戦』からスタートすることに勝手に一抹の誇らしさを覚えずにいられないのは、何も10-FEETファンだけの話ではない。このフェス自体がロック・アーティストの意志であり、あまりにも巨大でタフな表現として胸に響くからだ。そしてそれによって、「主催者」「出演者」「オーディエンス」が鋼の絆で結ばれお互いリスペクトし合い、だからこそ誰もが最高の向上心を持ってステージに臨むーーという「魂の拡大最生産」的状態が、早くも4回目の企画にして3回目の開催(2007年は台風直撃で開催中止のため)にしてデフォルトのものとなっているのが、どのアクトからも伝わってくる。

前日の雨で地面は若干ぬかるんでいたものの、『京都大作戦』1日目は「曇り」の予報を跳ね返して思いっきり快晴。そして11:30、10-FEET&会場一丸の「作戦!」「開始!」の掛け声でもって、いよいよ開幕! 「始まったぞ! 始まったぞ!」という木下の絶叫とタフな爆音を最高の号砲として、メイン・ステージ=「源氏ノ舞台」の巨大なフィールドに響かせたlocofrank。「夏だこらああああっ!」といきなり“夏のお嬢さん”ど根性カバーで2万人の度肝を抜いた怒髪天。タテのりレゲエの強靭なビート、そして「お前らがほんとのスーパースターだ!」と叩きつけた“SUPERSTAR”で何度も一同タオル大回転状態を作り出したFIRE BALL with HOME GROWN。「今日の『京都大作戦』を、世界でいちばんすごいフェスにしようぜ!」と“世界を変えさせておくれよ”で激烈な歓喜の風景を描き出したサンボマスター……そのプレイとMCのすべてが決定的瞬間のような、最高にハッピーでスリリングな時間だった。

メイン・ステージ「源氏ノ舞台」、そしてハカイハヤブサ/Turntable Films/花団/SiM/NUBO/GNz-WORD/STANCE PUNKSといった多彩なメンツが顔を揃える「牛若ノ舞台」の2ステージで交互にアクトが行われる形式は昨年と同じ。そして、今年は公園内の、「牛若ノ舞台」近くの体育館を「鞍馬ノ間」と名付け、ストリートボール・リーグ=SOMECITYのエキシビジョン・マッチとDJのコラボを「観戦」する、という新たなトライアルが行われている。

そして「源氏ノ舞台」後半戦。速射砲のようなラップとメロウな歌、獰猛で爽快なビートでもってフィールドを揺らしつつ「みなさまこんにちは、いやクンニちは! 箸休めの時間がやってまいりましたよ!」と余裕で言ってのける快楽の策士=ケツメイシ! 「京都! 燃え尽きる準備はできてるか!」というJESSEの絶叫から“神”“ZERO”“Get the Mic”連射へ雪崩れ込んでロックの刃をぎらりと光らせるRIZE! 「10-FEETのお三方は『これでライブ終わらしてきていい』って言ってたけど、10-FEETを呼ぶためには地面の揺れが足りねえんじゃねえか!?」という卓郎の煽りから“Black Market Blues”で2万人を大ジャンプに導く9mm Parabellum Bullet! そして……

19:05、いよいよ主催者にしてヘッドライナーの10-FEET登場! ステージに立ち、高らかに人差し指を掲げるTAKUMA。「今、本部に聞いたところ、大きなケガした人は1人もいないそうです!」。うおおおおと大歓声! 「10-FEETの意志」と「フェスの運営」と「オーディエンスの高揚感」が一体になった瞬間だ。後はもう、怒濤のクライマックスへ昇り詰めるだけ!と誰もが知っている。“VIBES BY VIBES”の宇治を揺らす大ジャンプに「やるねー!」と笑顔のTAKUMA。“super stomper”ではJESSEがステージに躍り出てスピーカーよじ上って熱血フリースタイルMCをかましたり、“recollection”でゲストとして登場したつじあやのの「あのー、みなさん、ただいま! つじあやのです!」という言葉にでっかい歓声が沸き上がったり、「グリーンエリアの人! ケータイのライトつけて!」というTAKUMAの声で斜面の芝生が光の海に変わったり、“goes on”でフィールドがひときわでっかいジャンプで揺れまくったり……10-FEETのタフな共闘関係が、そして「ロックと生きていく」ということが、この上なく熱く幸せな風景として、宇治の山に出現していた。

アンコールの“CHERRY BLOSSOM”で2万人のタオルが空に舞い上がり、1日目は作戦大成功! もちろん2日目も、ここ京都からレポートします。(高橋智樹)
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