去年のアルバム『CAVE PARTY』リリース時のツアーは、最低限ステージ・セットらしき装飾があったりして、一応「ロック・ショウ」としてのフォーマットを感じさせていた。が、今回は違う。バックに白幕があるだけのステージに、楽器と機材があるだけ。素っ気ないくらいシンプルなステージに現れた4人は、かけつけ3杯的な勢いで“クロマニヨン・ストンプ”“ギリギリガガンガン”“あさくらさんしょ”“東京ジョニー ギター”“連結器よ永遠に”まで15分かけずに爆走。「どんどんいくぞ!」というヒロトの声とともに、さらに“まーまーま”“うめえなあもう”。BLITZいっぱいのオーディエンス、あっという間に絶頂状態だ。
会場の熱気をざくざくと切り裂いていくマーシーのギターもスリリングだが、驚くのはやっぱりドラムだ。昨年中野サンプラザで観た時も、イスありでキャパ2000人以上の広い会場をびりびり震わせる桐田勝治のツーバス・ドラミングに度肝を抜かれたが、それをキャパ1300人そこそこの赤坂BLITZで観ると、そのすごさが改めてわかる。クロマニヨンズよりビートが速かったり派手だったりするバンドはたくさんいるが、この「普通に一般道走ってるオープンカーが実はジェット・エンジン積んでる(だからいつでも暴走できる)」みたいなタフさとヤバさを醸し出すことができるのは、クロマニヨンズの8ビートくらいだ。
一方、ヒロトのMCはといえば、「楽しんでるかー! はじめましてクロマニヨンズです。今、世界的にも珍しいチューニングというものをやっております」とか「オモロー!なことを1つだけ言います。……うんち!」とか相変わらずくだらなさの極致を爆走していたが、それがさらにフロアの沸騰具合に油を注ぐ結果となって、異様なテンションを生んでいる。そして、ひとたび歌が始まると、≪ただ生きる 生きてやる≫(“エイトビート”)のような剥き出しの闘志を吐き出すヒロト。最高だ。「じゃあまだCDに入ってないやつやりましょう!」と言って披露した、でっかいハネ系ビートが印象的な“渋滞”を経て、「ここから先はブワーッと行くので、アキレス腱を伸ばして……アキレス腱は切れると長引くので気をつけてください!」と場の空気をほぐし――“エイトビート”から一気にアクセル全開! 本編18曲がものの1時間ちょっとで終了。
アンコールでは全員上半身裸、ヒロトは「Tシャツ1枚」(Tシャツをパンツ代わりに履く)で登場。CMでお馴染みの「日テレGO! GO!」を「赤坂GO! GO!」にアレンジしてみせた後、“レッツゴー宇宙”そして“くじらなわ”。お客さんの名前を盛り込んだコール&レスポンスの前に、ヒロトがポロッと言った「ロッケンロールって当たり前でつまんないと思ってるでしょ? でも、やってみると結構気持ちいいのよ」の言葉が、クロマニヨンズそのもののような気がしてグッときた。最後は“タリホー”で完全燃焼!(高橋智樹)
1.クロマニヨン・ストンプ
2.ギリギリガガンガン
3.あさくらさんしょ
4.東京ジョニー ギター
5.連結器よ永遠に
6.まーまーま
7.うめえなあもう
8.ヒャクレンジャー
9.ゴーロマンス
10.ワハハ
11.悲しみのロージー
12.渋滞
13.エイトビート
14.夢の島バラード
15.キラービー
16.歩くチブ
17.弾丸ロック
18.紙飛行機
アンコール
19.レッツゴー宇宙
20.くじらなわ
21.タリホー