1日目のライブで吹き荒れた豪雨もすっかり上がり、雲り空の中で行われた2日目。ハロウィンということもあり、ステージには所狭しとカボチャのオブジェが置かれている。客席には仮装をしているオーディエンスの姿も見られ、会場全体にお祭りムードが漂っている。そんな中、ほぼオンタイムでメンバーが登場。パワフルなエレクトロビートに続いて逹瑯(Vo)が“フォーリングダウン”の”最初の一声を発した瞬間、いきなり強烈なレーザービームが飛び込んでくる。その後も“零色”“ケミカルパレード”とニュー・アルバムからのナンバーが続いていくが、はじめて生で聴くそれらの楽曲が、もの凄い牽引力を持っていることに驚かされる。四つ打ちをベースにしたYUKKE(B)とSATOち(Dr)による重低音ビートは、思わずヘッドバンキングせずにはいられないほど強力。さらにミヤ(G)の閃光のようなギター・リフは、いつも以上にバリバリと鳴いていて、空の彼方まで突き抜けていくような勢いだ。LEDやレーザーを多様したデジタルな演出も楽曲ごとにハマっていて、音と光の洪水による幻惑的なカタルシスが築かれていく。
もちろん、“A.”や“アイアムコンピュータ”といったディープな楽曲も心地いい。特に逹瑯の伸びやかな歌声が印象的だったのだが、彼らがいくらサウンドスタイルを変えようとも、持ち前のヘヴィーさを失わない理由は、この逹瑯のボーカルによるところが大きいような気がした。まるで闇の底から響いているかのような野太さ。心の機微を歌い上げるような生々しさ。それらを伴った歌声を中心として描かれる楽曲世界は、たとえ淡々としたエレクトロビートを基盤としていても、最高にドラマティックに響く。それは、ジャジーなピアノの旋律が響きわたる“墜落”でも同じこと。ステージ後方のビル群の光もあいまって都会的なムードが築かれていたものの、暗黒舞踏会のような背徳感も同時に漂っていたのが面白かった。今回のアルバムタイトルは、「カルマ」。この言葉は、どんなにサウンドスタイルを変えようとも失われることのないムックらしさ=「業」があるということを暗示しているとメンバー自身もインタビューで語っていたが、それを力強く証明するようなプレイの連続に目を見張った。
終盤は、“ファズ”“咆哮”などキラーチューンの乱れ打ち! 2004年10月31日に行われた『朽木の灯』ツアーファイナル以来となる、今回の野音。その楽しさを思い切り享受するかのように、逹瑯のグロウルが炸裂し、SATOちのドラムが攻撃的に鳴り響く。客席ではヘッドバンキングが沸き起こり、無数の拳が荒波のごとく突き上げられる。中でも、エッジーなメロから高らかなサビへと一気に上り詰める“ライオン”のドライブ感と爆発力は圧巻! ラウドなサウンドの中にムックならではのロマンティシズムが詰め込まれたこの曲は、今後ライブの定番曲になっていくのではないか。と思えるぐらい、凄まじいエネルギーを放っていた。
アンコールではメンバーひとりひとりのユーモラスなMCが展開されたり、ハロウィンを祝うお菓子が客席にばら撒かれたりと、エンタテインメント性全開のパフォーマンスでライブを締め括った彼ら。ラストにプレイされた“フリージア”と、メンバーが去った後に鳴らされた“業”のスケール感あふれるサウンドは、今後もさらに進化していくであろうムックの未来を象徴するかのように高らかに鳴っていた。これから全国ツアーは年末まで続き、COUNTDOWN JAPAN 10/11への出演を経て、来年5月の武道館2Daysでファイナルを迎える。それまでにさらに血肉化され、熱を帯びていくであろう楽曲の数々に再び出会える日を楽しみにしつつ、日比谷公園を後にした。(齋藤美穂)
セットリスト
1.フォーリングダウン
2.零色
3.ケミカルパレード
4.オズ
5.A.
6.濁空
7.アイアムコンピュータ
8.蛍
9.月の夜
10.墜落
11.ポラリス
12.ファズ
13.咆哮
14.ライオン
15.名も無き夢
アンコール
16.オルゴォル
17.蘭鋳
18.フリージア
19.業