なにぶんツアーは昨日キック・オフしたばかりなので、セットリストおよび個々の曲目掲載は割愛するが、3月に発表したアルバム『WORLD SKA SYMPHONY』収録曲を軸にしつつ、そこに先月末に発売されたばかりのミニアルバム『Goldfingers』の楽曲をどっさり盛り込み、さらにここ最近のスカパラ・ライブ・アンセムも過積載気味に乗っけたアンコール含めて2時間強のアクトが一瞬で過ぎ去っていくような、激濃の内容。もちろん『Goldfingers』の、菊地成孔のサックス・プレイをフィーチャーしたあの曲や、上原ひろみのピアノを導入したあの曲も、さらには中田ヤスタカがリミックスしたあの曲も(なんとリミックス・バージョンのほうで!)、スカパラ9戦士バージョンでパワフルに披露していく。
何より、スカやロックンロールのみならずジャズやディスコや70年代レアグルーブまで繰り出す彼らの自由自在なフォーメーションと、1音1音からナパーム級の歓喜が弾ける圧倒的なエネルギー! 時にスカ重戦車のような迫力で、時にコミカルなほどに茶目っ気たっぷりに、そのアンサンブルを楽しむ9人。ミニキーボード抱えてステージ前列に飛び出し超絶オルガン・ソロをキメる沖祐一(Key)も、侠気あふれる加藤隆志(G)&谷中の激烈ソロ合戦も、トランペットをメロディオンに持ち替えて“メリーさんのひつじ”から『火曜サスペンス劇場』のアイキャッチまで披露するNARGO(Tp)も、あの独特のフォームで軽やかに爆裂ドラミングを見せつけながらカラフルな歌を披露する欣ちゃんこと茂木欣一(Dr)も、ステージ上の誰もが点獲り屋状態。闘うようにシリアスに突き詰められた9つの高度なプレイアビリティが、誰もが笑い出さずにいられないくらいの祝祭感をもって鳴り響いていくのである。特に今回、幅広い音楽性を表現する上で、沖の鍵盤のウエイトが従来より高くなった印象はあるが、それでもキーボードが突出した印象は皆無。1人が前線へ飛び出せば、他のメンバーがフォローしつつさらに前進し、そこへまた他のメンバーが……と、サッカーというよりはオール・ブラックスのラグビーのような鉄壁のチームワークでもって、会場の2000人のハートに楽曲を叩きつけていく。
「サンキューサンキューサンキューサンキューサンキュー! 今夜めちゃめちゃ愉しいね! アルバム・タイトルに『シンフォニー』ってつけといてよかったよ! これぞ『スカ・シンフォニー』だね!」と、欣ちゃんの語り口は喜びのあまり戦場カメラマン=渡部陽一寸前の妙なテンションになっていたし、アンコールのメンバー紹介MCの際には加藤「最終日かと思った!」、沖「最高の褒め言葉です。あんたらアホや!」と口々に言いながら最高の笑顔を見せていた。川上つよしが「今年は春のツアーがなくて暇だったので、自分のアルバム(川上つよしと彼のムードメイカーズ『moodsteady』)作っちゃいました!」と語って笑いを誘っていたが、ツアーを待ちきれなかったのは、僕らオーディエンスよりも、誰よりもステージ上の9人だった……ということが、もはや世界レベルで鍛え上がったタフでプレシャスなサウンドから熱風のようにあふれ出していた。
21年目に入ってまたどんどん進化してる気がする、と最後にGAMOが語っていたのが印象的だった。フェス含め、ここからツアー30本を回って、この歓喜はいったいどこまででっかくなってしまうんだろう?という震えるような期待感を、この場にいた誰もが抱いたに違いない。そんなアクトだった。次は7日:山梨・韮崎市文化ホール公演!(高橋智樹)