磯部正文@渋谷CLUB QUATTRO

磯部正文@渋谷CLUB QUATTRO
磯部正文@渋谷CLUB QUATTRO
磯部正文@渋谷CLUB QUATTRO
今年10月に発表した1stソロ・アルバム『SIGN IN TO DISOBEY』リリース・ツアー。大阪、名古屋と巡って、今夜は3本目にしてセミ・ファイナルとなる東京公演だ(残すは12月11日の仙台公演)。ゲストに招かれたのは、旧知の盟友・BACK DROP BOMB(以下BACK)。2001年頃の「DELTA SOUNDS TOUR」(キャプヘジ&ハスキン&BACKの3マン!)などを彷彿とさせるような、一部好事家にはたまらない組み合わせとあって、会場のクアトロはチョー満員となった。

先鋒のBACKは、新ギタリスト・寿千寿(コトブキチトシ)が加入後、初なるステージ。その寿、大阪からその名を轟かせたアヴァンギャルド・バンド、ZUINOSINの元メンバーとあって、出で立ちからして破天荒。蝶ネクタイに燕尾服、そしてリンプ・ビズキットのウェス・ボーランドのごとく顔面を赤、白、黒にべったりメイクアップを施し、一種異様な存在感を放っているのだ(それが妙にバンドに馴染んでいるのだが)。BACKならではの、軽妙にして重量級のビートにあわせて激しく身体を揺らし、遂にはだらだらとヨダレまで垂らして(!)パフォームする寿は、クールにSGギターをかき鳴らす田中仁と好対照をなして視覚的な興奮を煽っていた。“REMIND ME”、“Bounce It”、“That’s The Way We Unite”とセットもテッパン。キラキラのラメ入りマイクで高らかに吠える白川、スキンヘッドにブルーのロングコート姿で速射砲的にライムする小島の2MCも堂々たる風格で、格の違いをまざまざと見せつけたBACK。現在は楽曲制作にも取りかかっているそうなんで、今後の活動の活発化に期待!

しばしの転換を挟んで、いよいよ、磯部正文BANDの出番である(ちなみに登場SEはWEEZERの「Smart Girls」)。ステージにはフロントにイッソン、向かって右隣にギター・田渕ひさ子(bloodthirsty butchers、toddle)、左にキーボードの下村亮介(the chef cooks me)、その後方にはベース・戸川琢磨(Comeback My Daughters)、最後尾にはドラムス・恒岡章(CUBISMO GRAFICO FIVE)がスタンバイ。そう、今年7月14日の初ライブ@新代田FEVERと同メンツにして最強の布陣での登場だ。「今日は来てくれてありがとう!磯部正文BAND、はじめます!」と、いつも通りのTシャツ&ジーンズ姿でイッソンが呼びかけて、アルバム同様“Sound in the glow”からライブはスタート。すると、フロアは熱烈なオイ・コールに沸き瞬時に沸点へ!バンド最年少のシモリョー(下村)が、ぴょんぴょん飛び跳ねたりステージ前でタンバリン打ち鳴らしたりと、元気いっぱいのパフォーマンスで狂騒を煽る。続く“Paper airplane”を歌い切って、イッソン、思わずガッツ・ボーズ!リハーサルから手応えを感じていたイッソンだけれど、バンドの仕上がりは期待以上だったのだろう。前述の初ライブではいきなりハスキン・ナンバーの連発という“奇襲”を仕掛けてきた磯部正文BANDだったが(不意打ちを食らったオーディエンスは激アガり!)、それから約半年を経た今の磯部正文BANDは――ギミックや戦略を織り込まずとも――今の磯部正文BANDのままに音を鳴らせば十分に勝っていけるという、驚くべきバンドとしての強度を身につけていた。短期間でここまで仕上げてきた事実にイッソンの本気を見る思いだったし、また、バンド・ポテンシャルの高さにも改めて感服(まぁ、メンツがメンツだしね)。中でも、シモリョーのタンバリンから鳴らされた“Medley relay”、続く“花の咲く日々に”(この夜は日本語バージョンでした)は早くもすっかりアンセム化していて、シンガロングに沸くオーディエンスとの一体感はこの夜のハイライトのひとつと言えるものだった。

序盤からギターの弦を切ってしまうほどの熱演で突っ走ったイッソンだが(「力が入ってる証拠でしょう。今日は後2~3回切りますから」と本人談)、ブレイクでは客席からの「イッチャン(LOW IQ 01)のモノマネやって!」とのリクエストにも気さくに応え(さらに哀川翔、「笑ゥせぇるすまん」のモノマネでも爆笑を誘っておられました・笑)、「いやホントに、お仕事お忙しいなかありがとうございます。平日の、師走に……ありがたいです。ホントに」と、噛み締めるように感謝を届けていた姿も印象的だった。あ、あと、ツイッターで話題になってた“改名”の話題にも触れ、「サンプラザ中野くんみたいに、“磯部くん”、とか?いいね、“磯部くん”って(笑)」とひと盛り上がり。結局、嘘か真か、「餅の倉夢男」にするそうなんで、以後お見知りおきを――。

また、中盤には「新しい曲ばかりでも何なんで……」と会場をざわつかせ、「僕が前に一生懸命やってたバンドの、解散ライブのDVDで一番最後の曲を」と、待ってましたのハスキン・ナンバー“QUESTION”を放てば、フロアは堰を切ったようように一気に大バースト!さらに“欠けボタンの浜”、んでもって「今は、この5人で、歩いてる」との前口上から「Walk」!(泣いてまうやろー!←心の叫びです)アンコールでも、「もうハスキンの曲なんて二度とやらないから!」と言いつつ“The steady-state theory”を繰り出して、モッシュ&ダイブを大量発生(そのアンコールでは、ラスト・チューンに雪崩れ込む直前、「明日、ひさ子ちゃんの誕生日なんです」と、ステージ上でイッソンから花束の贈呈、全員でハッピー・バースディを唱和という心温まるひと幕も)。全てをやり切ってステージを去る間際、「テンパってたのか、ちゃんとメンバー紹介してなかったんで」と、取って付けたようにメンバー紹介してたのがなんか妙に笑えたし、イッソンらしいなあと微笑ましく思いました。余談ですが、“イッソン”の表記の件、ライブ中にご自身が「個人的にカタカナが好き」とおっしゃってたのでカタカナにさせていただきました。以前からカタカナで表記してた自分としては、なんだか勝ち誇ったような気持ちになったことは、兵庫氏(http://ro69.jp/blog/hyogo/44023)にはくれぐれもご内密に……。(奥村明裕)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする